東欧の戦場

白い鯨

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泥沼

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「ズドーン」
 近くで砲弾の音が聞こえて、目を覚ました。
疲れすぎたのだろう、こんなところで寝るなんて。
すぐさま、ライフルを手に取り、構えた。
 
 ここは戦場、人殺しが仕事になるところだ、
最初は抵抗はあった、わざと、弾をずらしたりもした、でも、隣の戦友が敵の弾に撃ち抜かれて、ようやく気づいた
あぁ、ここは戦場なんだ
やらなきゃこっちがやられるんだ
戦友を殺されたこともあって、頭に血が上ったのだろうか、気づくと目の前にいた、人間が倒れていた。
自分がやったのかどうかも分からない、
いや、自分がやったのだろう、どうしても否定したいのだろう。

 戦争とは恐ろしいものだ、人を殺人マシーンに変えてしまう、
そんな殺人マシーンを人々は「英雄」と呼ぶ。
町で人を殺せば殺人
戦場で人を殺せば英雄
おかしいが、おかしくはないのだろう、みんながおかしくなっているから
戦争とは恐ろしいものだ、民衆を狂気の集団に変えてしまう。
「あの国は我々の敵だ、あの国の国民はみな悪魔だ」
実際にあったのだろうか?
いや、必ずしもそうではないはずだ、
頭のおかしな指導者に先導されて、そうなっていく。
プロパガンダだ。

 私だって好きでこんなところに来ているのではない、国のためだ、家族のためだ、と煽られて来たのだ、しかし、来てみれば、本当に家族のためなのだろうか?国のためになったとしても、家族は喜ばない、なぜなら、自分の子供や親が
人殺しとなってしまうからである。
戦場での経験を武勇伝のように語る人間は、ある意味異常だ、勲章をもらった?
それは、人殺しの証明だ。
兵士を助けて、勲章をもらったとしても、その助けられた兵士はまた戦場へ、いかなくてはならない、今度は怪我ですまないかもしれない。もし、その兵士が帰って来なかったら、戦地へ送ったのは誰だろうか?
「急げ!敵が撤退していくぞ、追い討ちをかけろ!」
 太っ腹でいかにも偉そうな大佐殿が、大声で叫んでいる、
こっちはもう、二日も食べていないと言うのに、追い討ちをかけろと言う。
「敵が撤退していくぞ、我々の勝利だよくやった」
これくらいの労いの言葉はないのだろうか?
仕方なく、私は前進する。命をかけて。





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