シナリオを退場した悪役令嬢は、賢者様をハッピーエンドに導きたい!!

冬野 冷

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第二章 乙女ゲームの舞台、それはルミワ魔法学園!!

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 なんやかんやあったけど、無事アリス嬢を救出することができた。その後レイン様の元に帰ったんだけど・・・・・・帰ってくるのが遅いって心配されました。うん、屋上で悶えてたからね。
 まあ、その後特に問題はなく、レイン様と一緒に学園内を探索して寮に帰ったよ。レイン様とのお散歩デート、楽しかったな~。デートと思ってたのは私だけかもしれないけれど・・・・・・。





 学園生活二日目。学科申請を終えた私たちはこれから一週間は特に何もせず、寮にいてもいいんだけど、私がレイン様に会いたかったので『もしよかったら、明日錬金術科を訪ねてみませんか?』ってお誘いしてみたんだ。レイン様もいいよって言ってくれたので、今日も一緒にいます。今日もレイン様と一緒に登校する。朝はもちろんレイン様が迎えに来てくれて、これって登校デート!とか考えたりしながら登校した。レイン様と手をつないで歩いてたけど、今回は隠蔽は使っていない。レイン様が堂々としているところを見るに、今日も暗示をかけているようだ。私はすっごく恥ずかしかったけれど、よくよく考えたらパーティーでエスコートされているのと同じじゃない? そう思ってからは特に意識しなくなった。いや、恥ずかしさがなくなってからはこの気を逃してはならないとばかりに手をつないでいる。
「エリシア、錬金術科ってあっちだったっけ?」
 校門を通過したところで、レイン様が軽く首をかしげながらそう言った。くぅっ!!かわいい!!あざとい!! そんなことを考えながらそうですよ~と返事をした。あぁぁあ、かわいい! レイン様LOVE! 
 レイン様と錬金術科の校舎へ向かう。校舎内を覗くと昨日のような状態ではなく、閑散としていた。気配を探ると下のほうから反応があったので、ほとんどの人は地下室のようなところにいるみたい。受付っぽいところにはなぜかリュウちゃんが座っていた。
「あれ? なんでリュウちゃんがここにいるの?」
「あ! シアちゃん、遊びに来てくれたの~?」
「う、うん」
「僕がここにいる理由? それは他の奴らが実験に夢中になって引きこもったまま実験室から出て来ないからだよ~! あっはっはっは~! はぁ~」
 リュウちゃんはそう言って机に突っ伏してしまった。
「なんなの、ちゃんと受付当番決めてたのにあいつ引きこもりやがって。僕にもやりたいことたくさんあるのに押し付けてきやがって。大体何なの?『課長は外面がいいから』って理由で受け付けさせられるとか。意味わかんないんですけど。何で転生しても苦労してんの僕。この心労前世のブラック企業に勤めていた時よりもやばいよ。だいたい錬金術科に日本人転生者集まりすぎなんだよ。ファンタジーにあこがれるのはいいけど、いつも米栽培機とか作ろうとするのやめろ。なんで錬金術科に入って米の品種改良始めてんんの? 気持ちはわかるけどさ? 周りから変な目で見られてるのに気づけ日本人転生者ども。科学の便利道具作るのはいいけどさ、なんでそこでタ〇コプター作ろうとしてんの。あれ、二次元だからできたことであって、現実でやると首だけが飛んでくから。まじでやめて。いつも先生たちから注意されてるのに何でやめてくれないの・・・・・・あと副科長、あいつは絶対に引っ張り出してやる」
 ぶつぶつと独り言を言い始めたリュウちゃん。な、なんか魂が抜けてるような・・・・・・そんなに大変なんだね。というか、ここの日本人転生者たちって米の品種改良してるんだ。どんな風になってるのかな。・・・・・・あとで誰かに聞いてみようかな。
「えっと、リュウちゃん、お疲れ様。もしよかったらこれ食べて」
「うぅ~、ありがとー。シアちゃんってば相変わらずの女神っぷり・・・・・・って、これカツ丼! え? カツ丼!?」
「うん、カツ丼だよ。リュウちゃん、これ好きだったよね?」
「なんで・・・・・・米を口にできただけでも十分だったのに」
「何とか豚に近い肉のモンスターを見つけてね・・・・・・ほかの材料は見つけてたから、あとは肉を見つけるだけだったんだよ」
 リュウちゃんは勢いよく立ち上がって、私を見た。
「醤油は? みりんは?・・・・・・もしかして味噌も?」
「リュウちゃん・・・・・・ヴァルテス家の本気、舐めないでよね」
「まさか・・・・・・」
「すでに、量産体制に入ってるよ! もうすぐ売り出されると思う」
「流石シアちゃん! この広い世界から、初めて米を見つけ出し、量産に成功した我ら日本人転生者の救世主!!」
「お嬢様のわがままだと言われても、私はやめない! なぜなら、この道の先に私たちの和食が待っているのだから!!」
「任せて! シアちゃんの覇道を止めようとする者がいたら、僕たちが徹底的に排除するから!!」
 私がそう宣言すると、リュウちゃんから頼もしい返事が返ってきた。いつの間にか集まってきていた日本人転生者らしき人たちも同意してくれた。
「米、味噌、醤油、日本酒!!」
「みりん、ポン酢、魚醤も欲しい!!」
「私も協力するわ!」
「ダシも大事だろ! 鰹節作ろうぜ!」
「海苔! やっぱ海苔は必要だろ!?」
「味噌汁! 豆腐の入った味噌汁が飲みたい!!」
「「「「「「必ず和食を実現して見せる!!」」」」」」
「・・・・・・日本人転生者をそこまで突き動かすものって、いったい何?」
 和食に思考がトリップしていた私たちは、レイン様がそばにいたことも忘れて盛り上がってしまった。カツ丼も放置していたから冷めちゃったし・・・・・・魔法で温めなおしたけどさ。もちろん、今ここに集まっている日本人転生者たちの分も出したよ。そのまま第16回目米パーティーに突入したよ。同士な先輩たちと交流ができたのはいいことだよね。そして、米パが終わったころには、新たなる食材の情報を得ることができた。筍とか、これはもう取りに行くしかないでしょ!!

 米パが終わり、レイン様と帰宅した。予想外の収穫に内心上機嫌だったんだけど・・・・・・部屋に戻ってから気づいた。
 あぁ~もう、なんで和食とか米のことになると周りのことが見えなくなるの? はっ! まさかこれは呪いなの!? 日本人転生者の宿命的なやつなの!? そんなことより、レイン様にひかれてないかな?
 ・・・・・・死ぬ。これでレイン様に嫌われてしまっていたら・・・・・・ふふふ、どこかの山にでも引きこもろうかな。
 そんなことを考えていると、チリンチリンと鈴の鳴る音がした。これはレイン様からもらった通話用の魔道具。私が持っているものはレイン様が持っている通話用魔道具と対になっているんだよ。いつも一緒にいるから使うことってめったになかったんだけど・・・・・・まさか、今回のことで私が嫌いになったの!? 私、追い出されちゃう? 
 通話に出るのが怖い。うぅ~、でもいつまでもレイン様を待たせるわけにはいけないし・・・・・・。私が意を決して魔道具を起動する。すると、レイン様の声が聞こえてきた。
「エリシア、ごめんね? 部屋に戻ったばかりなのに連絡しちゃって・・・・・・」
「う、うぅん!! 全然気にしてないよ!! それより、どうしたの?」
「えっと、その、明日はどうするのかなって。できたらエリシアと一緒にいたいんだけど・・・・・・」
「ふぇあ!?」
「え、エリシア?」
「あ、その、ちょっと空にユーフォ―が・・・・・・」
「ゆふーふぉー?」
 ・・・・・・よっしゃあああぁーー!! 嫌われてなかった! 嫌われてなかったよぉ!! よかったぁ、これで弟子やめろとか言われてさらに嫌いとか言われたら立ち直れなくなるところだったよぉーー!!
「えっと、明日だよね? 今日は米パーティーが始まってまともに見学できなかったから、もう一度錬金術科に行こうかと思ってるんだけど・・・」
 狂喜乱舞してる内心を必死に押し殺してレイン様の質問に答える。
「ああ、そういえば。結構長い間いたから、すっかり見学した気になってた・・・・・・」
「でしょ? レイン様はどうする?」
「ん、僕も行くよ」
  レイン様から了承の返事をもらえた。ホントに良かった!!
「あ、そうだエリシア。今日のことなんだけど・・・」
「は、はい!? な、なんでしょうか!!」
 ま、まさかの時間差? 時間差の攻撃なの、レイン様!?
「エリシアがこの前作ってたのって、カツ丼だったんだね」
「え? そ、そうだけど」
 私が学園に入る前、家の厨房を借りてカツ丼を作ってたんだよね。大量に。その時もレイン様がそばにいたんだよ。この世界にない料理だから私だけで作ってたんだけど、その間、レイン様にずっと見られてたんだよね・・・・・・。見られながら料理するのは恥ずかしかった。
「エリシアが作ったカツ丼、おいしかったよ。今度は僕のためだけに作ってほしいなぁ」
「っ!!」
 予想外の言葉に、私は胸を撃ち抜かれた。『僕のためだけに作ってほしい』って・・・・・・うあぁぁ!! レイン様よりも料理の腕は低いのに!! おいしかったって言ってもらえたし!! まあ社交辞令かもしれないけど・・・・・・返事? それは『Yes』一択だよね!!
「も、もちろん! 今度はレイン様のためだけに作るよ! 食べたいものがあったら何でも言ってね!! まあ、レイン様が作る料理よりは味が落ちるけれど・・・・・・」
「そんなことないよ。君が僕のために作ってくれる、僕だけの料理だもの。おいしいに決まってる」
「っ!っ! もっと料理の腕上げるから!! それで、レイン様においしいもの作ってあげるね!!」
「うん、楽しみにしてる。でも、無理はしないでね?」
「はい!」
「ん、そろそろ時間かな。エリシア、明日は今日と同じくらいの時間に迎えに行くね。またあしたね」
「うん、またね」
 レイン様との通話が切れた。
 キャーー!! レイン様と! 明日も一緒に入れる!! 嫌われたかもと思っていたからいつもよりうれしい!!
 明日に備えて今日は早く寝ようかな。よーし、明日も頑張るぞー!! 






++++++++++++++++++++++++++++++


読んでくださってありがとうございました!
新しくお話を投稿したのでお知らせします。
+『転生したらハイスペックな婚約者様ができました。そんなの聞いてないんですけど!?』+
 昨日投稿しました。短編ものです。思い付きで書いたので設定はがばがばかも・・・・・・。恋愛系です。
+『断罪者 ~絶望を知った少女が救済する物語~』+
 もう少しで1章が完結しそう。シリアスものです。女性が主人公です。最近続きを投稿しました。

もし、気になったら読んでみてください!! 

第二章の5話を編集しました。
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感想 9

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みんなの感想(9件)

sebuhari
2020.07.05 sebuhari

面白かったです。続き気になります

解除
梨花
2020.05.05 梨花

久しぶりの更新だー

解除
sebuhari
2019.09.09 sebuhari

次回は何日に更新せれるんですか?

解除

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