オリンピック選手金メダリストが転生後、最高の武器屋のマスターになった

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【第5章:聖都リュヴァーン編】 第1話「鍛冶の聖都へ――世界大会の招待状」

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灰識派との激戦を終え、ゼィレア王国を離れた隼人たちは、東方にある聖都リュヴァーンを目指していた。

その街は、世界中の職人や戦士が集う“武と技の都”。

何百年も続く伝統を持ち、「鍛冶神エル=ヴァルトの落とした火」が今も祀られる、鍛冶の聖地である。

そしてそこでは――

《第43回 武器職人世界大会》が、間もなく開催される予定だった。

◇ ◇ ◇

「で? なんで俺まで一緒に行くことになってんだよ」

ぶっきらぼうに言ったのは、元・灰識派の幹部であったヴァルト。

隼人の隣で馬車に揺られながら、不満げに頭をかいていた。

「そりゃお前、立派な“弟子”だろうが。今回の大会、二人一組の“師弟制”なんだからな」

「……勝手に師匠ヅラすんな。そもそも俺、鍛冶なんてまだまともに打てねぇし」

「なら、教えてやる。世界レベルの現場で、魂を鍛えるんだよ」

隼人は笑った。

その目は、これから先に待つ試練を楽しんでいるようにも見える。

馬車が小高い丘を越えたとき、二人の目に壮麗な街が現れた。

リュヴァーン――それはまさしく“鉄と炎の芸術”の街だった。

各工房から立ち上る蒸気、無数の武具店、行き交う職人たちの真剣な眼差し。

中央広場には巨大な火炉があり、火神像が今もゆらめいていた。

「すげぇな……これが、世界の鍛冶師が集まる都か」

「でも気を抜くな。ここはただの街じゃない。
技術だけじゃ通用しない、魂の在り方が試される場所だ」

隼人たちが宿に到着すると、早速一通の封書が届けられていた。

――《大会組織委員会より、選抜招待のお知らせ》

内容はこうだった。

貴殿の武器製作技術は、先日のゼィレア戦線における特別功績により注目され、
正式に「第43回武器職人世界大会」への特別招待を行います。

同時に、審査対象としてある重要なテーマが記されていた。

《課題》:“武に宿る意志”を持つ武器の創造
※審査基準:技巧・創造力・素材解釈・戦闘適性・魂の伝達性

「魂の伝達性……。ただ強いだけの武器じゃダメってことか」

ヴァルトがつぶやく。
隼人はにやりと笑って立ち上がった。

「じゃあ、素材集めから始めようか。
本当に“意志を持つ武器”を打つには……それにふさわしい“心を持った素材”が必要だ」

「心を持った……素材……?」

隼人は頷いた。

「リュヴァーンには“生きる鉱石”や“意思を宿す獣骨”が眠ってる。
それを手に入れなきゃ、世界と戦う土俵にすら立てねえ」

こうして、隼人とヴァルトの“聖都素材探索”が始まった。

だがその背後では、すでに複数のライバルたちが動き出していた。

その中には――

・帝国の天才鍛冶公子〈シグリット・オルグレン〉
・魔導と鍛冶を融合させる東大陸の少女〈ミア=ルゥ〉
・“灰の楽園”の遺志を継ぐ謎の黒覆面職人〈ヴェルト〉

……そして、裏でこの大会を支配しようとする“黒の鍛冶神教団”。

大会はただの競争ではない。
世界の未来を左右する、武と意志の戦場となっていく――。
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