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【第5章:聖都リュヴァーン編】 第3話「試練の始まり――開幕、武器職人世界大会!」
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大会当日、聖都リュヴァーン中央の大火炉前に設けられた巨大アリーナには、世界中から集まった武器職人とその弟子たちが一堂に会していた。
鋼と火の匂いが交錯する中、天を仰ぐようにそびえ立つ《聖炎の塔》が、厳粛な鐘の音を響かせる。
第43回 武器職人世界大会――ついに幕が上がった。
「……これが、世界トップレベルの職人どもか」
ヴァルトは会場を見回しながら、無意識に喉を鳴らした。
並ぶ参加者たちの雰囲気は、まさに“戦場”。
刀匠、槌打ち、魔導鍛冶、精霊工房――各国の代表者たちが、堂々と己の作品を掲げている。
その中央、静かに立つ男がいた。
長身、銀の髪、目元には深い切り傷。
――帝国の誇る天才職人、シグリット・オルグレン。
「彼は前大会の準優勝者。そして今回の本命だ」
隼人の隣に立つ若い女性がそう呟いた。
彼女の名はカリナ・エル=ヴァルト。
大会の進行役であり、火神エルの直系とされる“鍛冶巫女”。
「隼人=ハヤト殿、あなたの出場は特例です。武功ではなく、“魂を打つ”資質を買われてのもの」
「……期待していますよ」
隼人は一礼し、隣に立つヴァルトを軽く肘でつついた。
「お前もちゃんと礼しとけ。大会中は俺たちも“師弟”なんだからな」
「へいへい……ったく、こんな格式ばったの、性に合わねぇ」
だがヴァルトの眼差しは、既に“職人”としての覚悟に満ちていた。
やがて鐘の音が止む。
火炉の奥、壇上に姿を現したのは、全身を黒金のローブで覆った老人――大会主審・オルステッド卿。
その声が、大会の始まりを高らかに告げる。
「諸君。武器とは、ただ敵を倒す道具ではない。
それは“想いを繋ぐ意志”であり、時に――世界を変える神具となる」
「今大会の課題は明白である。
“魂を宿す武器”の創造」
観客席に、どよめきが走る。
“魂”という曖昧で掴みどころのないテーマは、多くの職人にとって難題だった。
「審査期間は十日間。武具の種別、形式は自由。だが――持ち主の魂が込められていなければ無価値とする」
「すなわち、技術だけでは勝てぬ。鍛冶における“生き様”をもって、武器を語れ――!」
鐘が三度、鳴った。
大会の幕が、正式に上がったのだ。
◇ ◇ ◇
「隼人。まず、あのアスラ鉱石でどんな武器を打つんだ?」
作業場に戻ったヴァルトが問う。
隼人は炉に火を入れながら、静かに呟いた。
「“刃”じゃない。今回は――“槍”を作る」
「槍? 意外だな。お前って剣のイメージだったが」
「今回は、魂の“貫通力”を重視したい。信念で貫く武器。形より“意志の直進性”だ」
そう言って、隼人は鉱石を火炉に入れる。
赤黒く燃えるアスラ鉱石が、ゆっくりとその姿を変えていく。
彼の頭の中には、かつての仲間――戦場で命を散らした兵たちの姿が浮かんでいた。
彼らの“願い”を貫く槍。
倒れた者たちの意志を、次代へと受け継ぐ“貫通の象徴”。
「この槍には――“終わりなき意志”を刻む」
隼人の声は、静かに熱を持っていた。
その頃、別の作業場。
仮面をつけた黒衣の職人〈ヴェルト〉が、どす黒い結晶を槌で打っていた。
「魂を宿す武器……くだらん。
だが、この大会は――“奴”を抹殺するには好機だな」
その眼は、隼人の姿を正確に捉えていた。
──大会は始まったばかり。
技と魂、野望と宿命が交差する、火の十日間が今、幕を開ける。
鋼と火の匂いが交錯する中、天を仰ぐようにそびえ立つ《聖炎の塔》が、厳粛な鐘の音を響かせる。
第43回 武器職人世界大会――ついに幕が上がった。
「……これが、世界トップレベルの職人どもか」
ヴァルトは会場を見回しながら、無意識に喉を鳴らした。
並ぶ参加者たちの雰囲気は、まさに“戦場”。
刀匠、槌打ち、魔導鍛冶、精霊工房――各国の代表者たちが、堂々と己の作品を掲げている。
その中央、静かに立つ男がいた。
長身、銀の髪、目元には深い切り傷。
――帝国の誇る天才職人、シグリット・オルグレン。
「彼は前大会の準優勝者。そして今回の本命だ」
隼人の隣に立つ若い女性がそう呟いた。
彼女の名はカリナ・エル=ヴァルト。
大会の進行役であり、火神エルの直系とされる“鍛冶巫女”。
「隼人=ハヤト殿、あなたの出場は特例です。武功ではなく、“魂を打つ”資質を買われてのもの」
「……期待していますよ」
隼人は一礼し、隣に立つヴァルトを軽く肘でつついた。
「お前もちゃんと礼しとけ。大会中は俺たちも“師弟”なんだからな」
「へいへい……ったく、こんな格式ばったの、性に合わねぇ」
だがヴァルトの眼差しは、既に“職人”としての覚悟に満ちていた。
やがて鐘の音が止む。
火炉の奥、壇上に姿を現したのは、全身を黒金のローブで覆った老人――大会主審・オルステッド卿。
その声が、大会の始まりを高らかに告げる。
「諸君。武器とは、ただ敵を倒す道具ではない。
それは“想いを繋ぐ意志”であり、時に――世界を変える神具となる」
「今大会の課題は明白である。
“魂を宿す武器”の創造」
観客席に、どよめきが走る。
“魂”という曖昧で掴みどころのないテーマは、多くの職人にとって難題だった。
「審査期間は十日間。武具の種別、形式は自由。だが――持ち主の魂が込められていなければ無価値とする」
「すなわち、技術だけでは勝てぬ。鍛冶における“生き様”をもって、武器を語れ――!」
鐘が三度、鳴った。
大会の幕が、正式に上がったのだ。
◇ ◇ ◇
「隼人。まず、あのアスラ鉱石でどんな武器を打つんだ?」
作業場に戻ったヴァルトが問う。
隼人は炉に火を入れながら、静かに呟いた。
「“刃”じゃない。今回は――“槍”を作る」
「槍? 意外だな。お前って剣のイメージだったが」
「今回は、魂の“貫通力”を重視したい。信念で貫く武器。形より“意志の直進性”だ」
そう言って、隼人は鉱石を火炉に入れる。
赤黒く燃えるアスラ鉱石が、ゆっくりとその姿を変えていく。
彼の頭の中には、かつての仲間――戦場で命を散らした兵たちの姿が浮かんでいた。
彼らの“願い”を貫く槍。
倒れた者たちの意志を、次代へと受け継ぐ“貫通の象徴”。
「この槍には――“終わりなき意志”を刻む」
隼人の声は、静かに熱を持っていた。
その頃、別の作業場。
仮面をつけた黒衣の職人〈ヴェルト〉が、どす黒い結晶を槌で打っていた。
「魂を宿す武器……くだらん。
だが、この大会は――“奴”を抹殺するには好機だな」
その眼は、隼人の姿を正確に捉えていた。
──大会は始まったばかり。
技と魂、野望と宿命が交差する、火の十日間が今、幕を開ける。
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