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【第7章:黎明の大地と神代の決戦】第15話 「潜入――黒き帳の中へ」
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夜の帳が黒火谷を包み込む頃、谷の奥深くにある古代の祠では、影の牙の残党たちが密かに集まっていた。その中心に立つのは、かつて“影の牙の刃”と恐れられた男、カイ――。漆黒の外套に身を包み、眼差しだけが異様な光を放っていた。
「……隼人。君は強くなりすぎた。あの時の若者が、まさかこの世界で俺たちの脅威になるとはな」
彼の背後には、かつての影の牙の幹部たちの姿があった。皆、隼人によって仲間を倒された者たちだ。復讐の念が彼らを結びつけていた。
「次の標的は、“忘却の工房”の結界石。奴らが今、黒炎竜の守りを受けているうちに……抜け道を作る」
カイの指が静かに祠の祭壇を撫でる。黒曜石のように鈍く光るそれは、かつて神代の時代に禁呪を封じたという“霊脈の碑”――影の牙が封印を解こうとしている、最悪の兵器だった。
•
一方、拠点の工房では、隼人たちが新たな素材を加工していた。灰獣の骨から取り出された「魂喰いの核」は、強力な魔力を秘めており、鍛冶素材としても極めて希少だ。
「……これで、対カイ戦用の装備が作れるはず」
隼人は炉の前で、ハンマーを構える。鉄と魔力が混ざり合う音が、谷に響いた。
だが、製作に集中していたその隙を突いて、何者かが工房の結界に干渉した。空間が一瞬、きしむような音を立て、赤い警戒の光が室内に満ちる。
「侵入者!? まさか、こんな早く……!」
リサが素早く魔導器を起動し、敵の接近を示す魔方陣を展開した。その中心には、黒い影がはっきりと浮かび上がる。
「カイ……いや、これは陽動!? 本命は――!」
瞬間、工房の裏門から爆音が響いた。リュミエルが結界を再強化する間、隼人は即座に刀を手に取り、裏門へと駆け出した。
そこには、数人の影の牙の忍びが立ちはだかっていた。
「止めても無駄だ。俺たちは、あの男の意思で動いている!」
「だったら……止めるしかねえな!」
隼人は刀を逆手に構え、低く踏み込んだ。敵の一人が仕掛けてきた短剣を紙一重でいなし、炎を纏わせた刀で一閃――。その瞬間、敵は閃光に包まれて吹き飛んだ。
だが、戦いのさなか――背後からもう一人の敵が跳ね上がる。気配を消した奇襲。だが、それを止めたのは、突如現れた小柄な影だった。
「隼人さん、下がって!」
風を切る音とともに、投げられた短剣が敵の肩を貫く。隼人の背を守ったのは、新たな仲間――銀髪の少女、ソフィだった。
•
ソフィは影の牙の元工作員で、カイに拾われ、戦闘と潜入の技術を叩き込まれた。だが今は、彼のやり方に疑問を抱き、密かに工房側に寝返っていた。
「あなたたちが……この世界を救えるのなら、私の力、貸します」
少女の瞳は冷たく澄んでいた。過去を知り、裏切りの痛みを知ってなお、彼女は光の側に立つことを選んだのだった。
隼人は彼女のまっすぐな言葉に頷いた。
「ありがとう。仲間として、信じさせてもらう」
カイの影が谷を覆い始める中、隼人たちはついに、“黒き帳”の本拠地――影の牙の隠れ砦への潜入を決意する。
だがその砦には、思いもよらぬ存在が彼らを待ち受けていた。
かつて隼人がこの世界に転生して間もなく出会った、一人の剣士――死んだはずの旧友の名が、そこにあった。
「……隼人。君は強くなりすぎた。あの時の若者が、まさかこの世界で俺たちの脅威になるとはな」
彼の背後には、かつての影の牙の幹部たちの姿があった。皆、隼人によって仲間を倒された者たちだ。復讐の念が彼らを結びつけていた。
「次の標的は、“忘却の工房”の結界石。奴らが今、黒炎竜の守りを受けているうちに……抜け道を作る」
カイの指が静かに祠の祭壇を撫でる。黒曜石のように鈍く光るそれは、かつて神代の時代に禁呪を封じたという“霊脈の碑”――影の牙が封印を解こうとしている、最悪の兵器だった。
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一方、拠点の工房では、隼人たちが新たな素材を加工していた。灰獣の骨から取り出された「魂喰いの核」は、強力な魔力を秘めており、鍛冶素材としても極めて希少だ。
「……これで、対カイ戦用の装備が作れるはず」
隼人は炉の前で、ハンマーを構える。鉄と魔力が混ざり合う音が、谷に響いた。
だが、製作に集中していたその隙を突いて、何者かが工房の結界に干渉した。空間が一瞬、きしむような音を立て、赤い警戒の光が室内に満ちる。
「侵入者!? まさか、こんな早く……!」
リサが素早く魔導器を起動し、敵の接近を示す魔方陣を展開した。その中心には、黒い影がはっきりと浮かび上がる。
「カイ……いや、これは陽動!? 本命は――!」
瞬間、工房の裏門から爆音が響いた。リュミエルが結界を再強化する間、隼人は即座に刀を手に取り、裏門へと駆け出した。
そこには、数人の影の牙の忍びが立ちはだかっていた。
「止めても無駄だ。俺たちは、あの男の意思で動いている!」
「だったら……止めるしかねえな!」
隼人は刀を逆手に構え、低く踏み込んだ。敵の一人が仕掛けてきた短剣を紙一重でいなし、炎を纏わせた刀で一閃――。その瞬間、敵は閃光に包まれて吹き飛んだ。
だが、戦いのさなか――背後からもう一人の敵が跳ね上がる。気配を消した奇襲。だが、それを止めたのは、突如現れた小柄な影だった。
「隼人さん、下がって!」
風を切る音とともに、投げられた短剣が敵の肩を貫く。隼人の背を守ったのは、新たな仲間――銀髪の少女、ソフィだった。
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ソフィは影の牙の元工作員で、カイに拾われ、戦闘と潜入の技術を叩き込まれた。だが今は、彼のやり方に疑問を抱き、密かに工房側に寝返っていた。
「あなたたちが……この世界を救えるのなら、私の力、貸します」
少女の瞳は冷たく澄んでいた。過去を知り、裏切りの痛みを知ってなお、彼女は光の側に立つことを選んだのだった。
隼人は彼女のまっすぐな言葉に頷いた。
「ありがとう。仲間として、信じさせてもらう」
カイの影が谷を覆い始める中、隼人たちはついに、“黒き帳”の本拠地――影の牙の隠れ砦への潜入を決意する。
だがその砦には、思いもよらぬ存在が彼らを待ち受けていた。
かつて隼人がこの世界に転生して間もなく出会った、一人の剣士――死んだはずの旧友の名が、そこにあった。
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