【完結】君と恋を

文字の大きさ
上 下
50 / 65
その後の二人

小話 4※

しおりを挟む
 

 誘われるがまま唇を合わせれば、優しく触れ合った唇は温かく。
 胸の内側から溢れる愛しさの洪水に溺れるような顔で微笑んだ裕を見て、蓮もまた優しく瞳を揺らした。

 そろりと頬に這わされた蓮の指が肌を撫でてくる擽ったい愛撫に身を捩り、裕がクスクスと笑い声を漏らす。
 そうすればやはり蓮は優しく微笑み、こめかみにそっと唇を落としながら、裕。と甘い声で裕の名を囁いた。

「ん、」
「好きだよ、裕」
「俺も、好き」

 好きだと互いに言い合ったあと、ふわりと重なっていた唇の隙間からぬるりと入り込んだ蓮の舌先が、裕の舌に絡まってゆく。

 くちゅり。と途端に響く水音に鼓膜が揺れ、優しく舌を吸われては上顎をなぞってゆくその快感に、裕の体がまたしても熱く火照り始めた頃、蓮の指がするりとトップスの中に潜り込んだ。

 脇腹や腹、臍の窪みをなぞり、それから胸元へと移動してゆく、蓮の大きな掌。
それにぞくぞくと裕が背筋を震わせていたが、突然蓮は唇を離し、

「……裕もブラ着けてんの」

 なんて問いかけてくる。
 そんな蓮のちゅっと離れた唇を名残惜しそうに見ていた裕が、え、うん。詰め物はしてねぇけど。と返せば、いきなり勢い良くバッと服をたくしあげられてしまった。


「わっ、いきなりなに、」

 そう焦りながら咄嗟に腕で押さえようとした裕を無視し、可愛らしい真っ白のフリルが付いたブラジャー姿を見下ろした蓮。
 それから数秒行動を停止して、しかし、その浮いた隙間から覗く可愛らしいぷくりと立ち上がったピンク色の乳首に、突如天を仰いだ。

「……えっちすぎるでしょ」
「……はぁ? なにいっ、んっ、」

 蓮の突然の行動に目を白黒させていた裕だったが、不意にするりと隙間に手を差し込まれ、つんと尖っている桃色の突起をきゅっと摘ままれ、思わず声を詰めらせてしまった。

「っ、……あっ、や、やぁ、」

 ふにふにと乳輪を撫でられ、女物の下着を着けたままなぶられる事になんだか恥ずかしくなってしまった裕が、「も、あっ、やめ、 ……」と真っ赤な顔を隠しながらそう呟いたが、

「……かわいい」

 なんて更にツボをだめ押ししてしまったようで、蓮が胸元を撫でながら顔を近付け、優しく顔を隠す腕にキスをしかけてくる。
 それはまるで、どけて。と言うような仕草で。
 それにうぐっと声を詰まらせた裕だったが、そろそろと腕を横にずらし、恥ずかしさで唇を噛んだまま枕をきゅっと握れば、降ってくる蓮の唇。 
 ちゅ、と触れ合った唇から漏れる声はくぐもり、もう片方の手は優しく頭の後ろに回されて、甘く優しく溶かすように触れてくる蓮にとろんとした瞳で柔い快感に浸っていた裕だったが、くにくにと指の腹で乳首を押し潰されてしまえば甘い電流が背筋を走り、ぶるりと身を震わせた。

 んんぅ。と堪らず声を漏らしたが、未だに塞がれ優しく絡まる蓮の舌は離れる様子はなくて。

「んむ、っ、ん、ふ、」

 ぴちゃ、と絡まり合う舌と触れてくる指先の感触に、もうだめ、息苦しい。と首を振れば、一度ぐるりと咥内をなぶって蓮の舌がずるりと名残惜しげに出ていく。
 ぷつり、と途切れた銀色の糸が裕の唇の端に留まり、ぬらぬらと光る唇の隙間から吐息を溢しては、

「はっ、ふっ……、はぁ、」

 と裕が荒い息を整えている合間にも、目尻やこめかみ、鼻先へと労るように優しく落とされる蓮の唇。
 それはひどく優しいのに、胸元を弄ぶ指先は尚も裕の快楽を揺り起こすかのように這わされたままで、尖端を優しくこねくりまわされたかと思えば窪みに爪を立てられ、ビクッと裕は肢体を跳ねさせた。

「あっ、あっ……あっ」

 漏れる裕の小さな喘ぎ声が部屋を満たし、空気へと溶けてゆく。

「……気持ちいい?」

 なんて耳朶に唇を寄せ、縁をなぞりつつ囁かれてしまえば、顔を染めあげて頷くしか術はなく。

「……ん、あっ、気持ち、いい……」

 と裕が甘い声で呟けば、嬉しそうに蓮の瞳が揺れた。


 すりすりと頬同士をくっつけ、甘えるような仕草を見せる蓮のその態度は実に可愛らしく、胸がきゅんと鳴るままに幼子が母に甘えるような仕草をする蓮に無い筈の母性を擽られた裕が頭をくしゃりと撫でれば、蓮が顔を上げる。
 その顔にふにゃりと裕が微笑めば、愛しげに目を細めつつも、顔を傾けてちろちろと首筋を舐めてゆく蓮の長い舌。

 ぬるつく舌先が薄い皮膚をなぞってゆく感触に、んっ。と裕の唇から声が漏れてゆく。
 筋を舐め、鎖骨の窪みを辿る舌は熱く、チリチリと焼けるような熱さにふっと息を吐いたその時、きつく皮膚を吸われた裕はひくりと顎を上に向けた。


「ああっ……」

 悲鳴のような声をあげ、鬱血の痕を残された事を知る裕。
 その声に気を良くしたのか、ガリッと鎖骨ごと甘噛みした蓮の愛撫にまたしてもビリビリと電流が走り抜け、裕はひくりと肢体を戦慄かせては、胸元にある蓮の髪の毛を乱暴に掻き抱いた。

 それにふっと笑い、ずるっと制服とブラをたくしあげた蓮が、ちろりと伸ばした舌先で裕のぷくりと尖った桃色の突起をなぶってゆく。

「ひっ、あっあっ、」

 薄暗い部屋の中、浮かぶ嬌声。

 覆い被さる蓮の下で、頭を振り乱して胸をなぶられる快楽に身悶える裕からはもう、いつもの快活さはうかがえない。
 けれどもツンと尖った尖端に触れてくれたのは最初だけで、あとはわざと乳輪をねっとりと舌全体で舐められる感触に、もどかしくなり揺れる腰のまま、

「っ、なんで……、ていうかさっき誠也達にしたみたいに、ブラ、外せってぇ、」

 と抗議したが、

「ごめん、そんな事してる余裕ない」

 なんて興奮した様子の蓮にそう返され、……なんだよそれ。と小さくべそを掻きながらも余裕のない蓮の態度に、裕はきゅんきゅんと胸をときめかせてしまった。

 だが、尚も一向に胸の突起には触れてくれず。
 胸を挟み寄せもみもみと揉みしだいたり、ちろちろと周りをねぶるだけの蓮に、きゅっと唇を結んだ裕が、

「……も、ちゃんと、触ってって、れんっ、」

 なんて甘えた声を出せば、そのおねだりが聞きたかったのだと言わんばかりにジュッと強く先端を吸われ、待ち望んだ刺激に裕の口から悲鳴のような声が散った。


「あああっ」

 ビリビリと身を焦がすような刺激が体を貫き、与えられる快楽にのめり込み瞳を閉じては感じ入ったような吐息を溢す裕を見て、蓮もまた己の芯を熱くしてゆく。
 だが、裕にさらなる快楽を与えたがる蓮の指はするりとスカートの中に入り込み、すりすりと内腿をなぞりながら、秘部へと伸びていった。

 しかしその指が触れたのはいつもの感触ではなく、つるつるとした狭い面積の布の感触で。

「……下も女の子のパンツなんだ?」

 なんて胸の突起を歯で挟みながらそう呟いた蓮にカァッと顔を真っ赤にし、しかし裕は小さく頷いた。

 そのウブな仕草と淫らに吐息を溢している姿のギャップに、堪らないといった表情をした蓮がぐいっと裕の足を割り開かせ、捲れあがったスカートから覗く上とお揃いの可愛らしい真っ白なショーツを、爪の先でなぞっていく。

「あぁんっ、」
「……濡れてるね。それに、苦しそう」

 そう囁いた蓮が、狭い。と窮屈そうに頭をもたげ小さく震え露を滴らせている裕の陰茎を下着越しにきゅっと握れば、その直接的な刺激に、

「ひぅっ、あっ、だめっ、あっあっあっ」

 と背を仰け反らせ、淫らな声をあげた裕がポロリと涙を溢す。
 それを蓮が勿体ないと舌先で拭って飲み込めば、当たり前だがしょっぱい味がした。




 蓮の手によって翻弄される快楽と、女性物のショーツの慣れない感触に、びくびくと浅ましく震える裕の体。
 ぐちゅりと鳴り響く粘着質な音が耳まで犯し、背徳感と飽和する快感が押し寄せては、裕の理性を奪ってゆく。

「あっあっ、だめっ、だめ、まっ、」

 そう息も絶え絶えに喘ぎながらも、嫌々と首を振ってイキたくないと告げる姿は、なんとも艶かしくて。

「……我慢しないでイっていいよ」

 なんて囁いては、目の前の突起に歯を立てる蓮。

「ひんっ」

 その刺激に犬のような鳴き声をあげつつ、それでも耐えた裕は、はぁはぁと荒い息を吐きながら、震える唇のまま、声を絞り出した。

「あっ、あっ、……なん、で……、一緒、いっしょがいいっ……」

 涙で濡れた瞳。上気した頬。
 だらしなく開かれた唇から涎を垂らし、それでも懸命に我慢しては、一緒にいきたい。と震えている姿を見て、蓮がごくりと喉を鳴らす。

 その全てに容易くドクンッと心臓は脈打ち、下半身に溜まってゆく熱に促されるまま片腕でガチャガチャとベルトを性急な手付きで外し前を寛げた蓮が腰を押し付ければ、重なった熱さに二人、小さく声を漏らした。


 ぬるぬると滑る蓮の先走りと、裕の先走りでぐちゅぐちゅに濡れたショーツが、握り込んだ蓮の手を濡らす。
 ショーツの上から裕のカリ首を自身の鈴口でぐりっと刺激すれば、あられもない悲鳴をあげ背を丸める姿に、蓮もまた、ぐっと奥歯を噛み締めた。

「あああっ、あ、もうだめっ、気持ちいい、」
「……っ、くっ、」

 手の中でずりゅっと絡み、ショーツに擦れる互いの陰茎に、高ぶった声と吐息を溢し、覆い被さっていた蓮が裕の唇を塞ぐ。

 舌先が絡まり合い、咥内で響く水音。

 下からも上からもぐちゅりと粘着質な音が耐えず響き、どうしようもない激しい快楽に二人、ぎゅっと目を閉じる。

 ごりごりと陰茎を押し付け合い、ショーツの上から限界まで膨らみしとどに濡れる竿を強く握り込まれれば、ドクンッと一際大きく震え、溢れた先走りがまたしてもショーツに染みては濡れてゆく。
 脳は酸欠だと叫んだが、互いに離さないと舌を絡ませては唾液を啜り、裕は汗で濡れる蓮の首に腕を回し、強く強く抱き締めた。



 ぶるり。とどちらも迫る快楽に身を震わせ、吐息も悲鳴も口の中で消えるまま、昂りに抗う事なく気持ちよさに呑まれドクンッと精液を吐き出した二人は、はぁはぁとくっついたまま、荒い呼吸を繰り返した。

「ふ、あ、は、ぁ……」

 目をとろんと蕩けさせ、離れた唇から繋がる糸を滴らせたまま、ひくんひくんと震える裕。
 ぷつっと途切れた唾液が裕の顎から伝ってゆくのを指先で拭った蓮は、ぐちゃぐちゃになってしまった裕を、上がる息のまま見下ろした。

 足を開かされ、ひどく乱れたセーラー服姿で息を乱す裕の股間は、蓮の精液でどろどろになっている。
 そして裕もショーツの中で果てたせいで、隙間からどろりと白い白濁を溢れさせており、それがツゥ、とお尻へと流れじわりとシーツに染みていくのを眺めた蓮は、未だ息が整わない裕の額に優しく口づけをし、くらくらと目眩がしてしまいそうな熱にフーッと息を吐いて天を仰いだ。

 蓮の顎から垂れた汗が煌めきながら裕の顔に落ちたが、それすらも愛しそうに目を細めた裕のその蕩けた顔を指先でうりうりと撫で、

「ぐしょぐしょになっちゃったね」

 なんて微笑み、ぬるぬると濡れるショーツをするりと脱がした蓮。
 その言葉通り、糸を引きぬらぬらと濡れるショーツが太股を通ってゆく感触に、ううっ、と裕が顔を赤くする。
 しかし、ていうか誰のせいで。と恨みがましく眉を寄せれば、その下がった眉にちゅっとキスを落としながらも、もっと気持ち良くなろう。とまたしても蓮が体をまさぐり始めるので、敏感になったままの体をビクンッと震わせた裕は期待するよう、あえかな息を吐いてしまったのだった。




 
しおりを挟む

処理中です...