平隊士の日々

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元治元年卯月二十九 新選組平隊士の日記(外伝)楢崎龍の日記

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楢崎龍の日記  元治元年卯月二十九  


ここのところ、土佐の坂本様が頻繁に来らはる。
よっぽど、鰹料理が気に行ったのだろう。
ただ、集まる人は徐々に減っている。

今日もお昼に来られて、友人が何人か来られた。
食事を配膳しながら、聞くともなく、話を聞いてしまい、
友人が帰った後、坂本さまと少し話をした。

「坂本さまは亜米利加国の話をなさいますが、
御友人は尊王の話ばかり、話がかみ合っていませんが、
大丈夫なのですか?」
「いゃぁ、あしゃもともと土佐勤王党にいたもじゃき。
勤王の気持ちはあったんじゃ。」
「勤王をやりはったんどすか?
それじゃ、うちととと様と一緒で極道や。
とと様も勤王やりはって、幕吏りにつかまり、家業の医者も出来のうなり、
とと様は病気になり、死にはって、
うちは奉公に出され、妹たちもみんな別々や。」
「ちがうちゃ、勤王と言ってものう、みんな武市が好きじゃっと、
だから、武市がのう、土佐を勤王にして、
何時かこの日ノ本をうごかすんじゃって、言う夢に参加したぜよ。
勤王を直接やったわけじゃないぜよ。」
「そうどすか。それなら、極道と言ったのは取り消しますえ。」
「あしゃ、新宮馬之助と勝先生を斬りに行った時、
勝先生から色々な話を聞き、
この国がこのままじゃ外国に蹂躙されるだけの国になると思う。
尊王も大事じゃが、今は力を付ける時じゃとおもっちょる。」
「はぁ? 斬りに行った方の話を聞いたのですか?
普通は問答無用で斬るんと違いますか?」
「あぁ、面白い話をたくさん聞いたんじゃ、
かの国亜米利加国では、殿様だろうと将軍様だろうと、平伏して会う必要は・・・
政治の話は詰まらんか、
そうじゃの、それじゃ、かの国亜米利加国じゃ男女が人目をはばからず、
手を繋いで歩くんじゃと、デートと言うんじゃ。
どうじゃ、お龍、デートしてみんか?」
「いややわ。このいけず。私はそんな女じゃありまへん。」
「そうかのう、良いと思うんじゃがのう。」
「じゃぁ、今度、来たら仕事終わりにデートしてあげますよって、
また来てくださいね。」
「おおわかった、じゃ次来た時にはデートじゃ。」
そう言って、坂本さまはかえりしまはった。
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