【第三章/獣人の国・邪竜と女神編】王太子に離縁されました?上等です。最強の皇帝陛下の【魔眼】と共に、世界攻略を致しますので!【R18・完結】

猫まんじゅう

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1. 竜王の統べる国、ドラファルト

【ドラファルト入国の際の注意書き】
1.第7章からなる超長編予定です。こちらはドラファルトの入国窓口になります。
第三章『ドラファルト、邪竜と女神篇』は約55話位を想定しています。
2.ドラファルトはR18の淫習と造語がある獣人の住まう国です。玩具やスライムなどが多く出ます。獣人の苦手な方も、入国の際はご注意ください。
3.最後に、猫まんじゅうの作品は変態が多めとなっています。たまに出す閑話回はコミカルですが大半がシリアスで重めです。

ドラファルトは和装の国、以下独自用語。
※1”翳手儀”:ドラファルトのR18設定儀式
※2 ”獣蕾”:人間でいう陰核

*******************************************


 竜王の統べる獣人の国、ドラファルト。
 獣人族の中でも圧倒的な力を持つ竜人が代々支配する国。彼らは弱肉強食、力こそ全て、である。
 さらに雄の言うことは絶対であり、雌はそれに従わなくてはいけない、男尊女卑の激しい国でも有名だ。


 そんな国で次代の竜王となるロンファの王位継承の即位式が目前に迫っていた。


 他国には明かされていないが、ドラファルトは現竜王による指名制ではない。代々次代の竜王を決めるのは神の火剣、フランベルジュである。

 神の剣が火剣という事からも分かるように、ドラファルトでの魔法は火魔法にかなり重心が偏っており、火剣フランベルジュに選ばれし歴代の竜王はドラファルトを守る強大な力を得る。

 そして次代の竜王として、剣に選ばれたのが第一王子であるロンファであった。

 強欲で豪胆な性格の者が多い竜人族の中でも、彼はとても穏やかで優しく、そして強さを兼ね揃えている。竜人族としてはかなり稀な性格であるロンファは、この男尊女卑で格差の激しいドラファルトを変えたいと心からそう願っていたのだ。




 ────── 遡ること数日前、
 ロンファは竜王宮にある執務室で魔法による文を受け取って笑みを漏らした。
 窓の外、庭園にはこの世界ではドラファルトでしか見られないと言われる桃色の桜の木が満開に咲いている。


「ヴィクトール先輩、本当に来てくれるんだ。嬉しいな、」


 それを扉の側で佇んでいた次期宰相ルイネがそれを聞いて疑問を口にする。


「ロンファ様、即位した暁にはやはり皇国と手を取られるので?」

「そうだね、僕はそれが一番良いと思っているんだ」


 ルイネはロンファと共に魔法学園に行っていた為、元々ヴィクトールを先輩として見知っていた。


もあります。慎重になさっては?」


 “過去の番の件”、それは皇国初代皇帝の妻、女神『サーシャ』がその当時のドラファルトの王族の番だったという逸話である。
 番は獣人族にとっては“生きる理由そのもの”。その竜人は番を失ったことで邪竜へと堕ち、ドラファルトで討伐されたと語り継がれている。以降、皇国との仲は表面上は良いものの、国内には未だ毛嫌いする者も少なくないのだ。


「まあね。でも逸話でしょ?そもそも邪竜なんかに身を堕とすその竜人が悪いんだよ。それに、ヴィクトール先輩の奥様も来られるって······よかった、」

「······ロンファ様。やはりあの皇后、リリアーナ様への気持ちを捨てきれないので?」

「お前ね、そういう事は言わなくてもいいんだよ」


 ロンファはルイネをギロリと睨み付ける。

 事実、ロンファは皇国でリリアーナに心奪われていた。一目惚れ、とでも言うべきか。だから今も、リリアーナが来国時に着る着物を作らせている。
 だが、感情くらいコントロールできるし立場や国にとって大切な事くらいは弁えているつもりだ。自分が邪竜などに身を堕とすことなど絶対にないと断言できる。ロンファは溜息を零した。


「でもロンファ様は竜後宮があるではないですか。あれも廃止されるおつもりですか?」


 竜後宮は王族の王子達のため、王のため、に用意される側室達の花園である。
 この世界の各国にある王族の花園の中でも、ドラファルトのものは少し趣向が変わっており、全獣人族のそれぞれの種族の中から自分の好みの雌を一人ずつ選び住まわす事ができるのだ。


「うーん、僕はね、そんなに多くの女の人に囲まれても困ってしまうよ」

「しかし、お世継ぎは必須ですよ?特にあの皇帝と手を取られるのなら、御子は早い方が」

「分かってはいるんだけどね·····」


 ロンファは外に咲く桜の木を見た。
 美しい······けれど、これも好意を寄せる女性と見ればまた見え方は違うのだろうか。
 世継ぎ世継ぎと急かされるそれも、好きな女性となら早く欲しいと、懇願するものなのだろうか?


「ロンファ様。今回の即位式でも今年適齢期を迎える雌達が多くきます。
 即位式前には手翳儀シェイギ※1もありますし、好みの匂いや、獣蕾ジュウレ※2を持った者がいるかもしれませんよ?」

「あのさ、雌、雌。って、その言い方どうにかならない?」
「ですが、我々は獣人ですので······、」


 ロンファは頭を抱えた。
 やはり、今のドラファルトは男尊女卑があまりに激しい。彼女達は基本的に自分達で自由に恋をし、結婚する資格を持たず、男の言いなりとなって番い、子を成すのだから。

 それが顕著な儀式が”手翳儀シェイギ”だ。 

 手を翳されたら秘部を晒し、相性を確認させるための儀式である。現在の獣人国では適齢期を迎えた貴族令嬢は先ず国王に謁見し、これを行う。
 ドラファルトでは一般的に妻や側室を娶る際、獣蕾ジュウレを重視している。それが好みの物か否かを見極めるために、この”手翳儀シェイギ”で判断するのだ。


「これも、どうにかしないとな。ヴィクトール先輩はきっとドラファルトの伝統儀式である”手翳儀シェイギ”を知っている筈だとは思うけど。
 それでも憂鬱だな、あんな破廉恥な儀式をリリアーナ様の目の前で見せるなんて······」

 
 彼女に失望されるのは嫌だな。とロンファは背もたれに凭れ掛かると大きく息を吐く。
 直後、使いから来客の知らせがあり、ロンファは真っ赤な羽織の裾をサッと払い、立ち上がった。そして入ってきた人物を見て、笑顔で口を開く。


「リューイ!久しぶりだね、」
「ロンファお兄様!此の度はおめでとうございます」


 美しい所作で腰を折る竜人の彼女は、竜王の長女で妹にあたる竜姫リューイである。
 赤い髪に赤い瞳、エルフの母似の長い耳と美貌を持つ彼女はとても穏やかな性格だが、芯のある強い女性だ。竜人らしく体力もあり、剣技や体術も秀でている。

 それに加えて、彼女は獣人族の弱点でもある魔法の適性が高く、『血操魔法』という特殊能力を持ったとても優秀な姫でロンファも彼女には信頼を置いていた。
 


「ありがとう。リューイ、準備は進んでいるかい?」

「はい。女官や部屋の選定ももう進めています。そういえば、兄様。あの豪華な貴賓宮、どなたが来られるのですか?」

「ん?ああ、あそこは、皇国の皇帝陛下と皇后のためのものだよ」

「皇帝······、陛下。ルドアニア皇国、でしょうか?」


 茫然と言葉を呟く妹に、ちらりと目を向けたロンファは頷いた。


「そうだよ? 何かあった?」

「いえ、そうではなく、ロンファ兄さま。頼みがあるのですが······」

「頼み?まあ、可愛い妹のためなら聞けることであれば聞くけれど、」

「私を······皇帝陛下の側室に、推薦して頂けませんか? 無理であれば、話をする機会だけでも!」

 その言葉に、ロンファは驚きに目を見張る。

「え!?リューイ、本気なのかい?」


 そして、うーん、と顎を抑え深く考え込んだ後、彼は立ち上がってリューイの頭を優しく撫でた。


「そうだなぁ。皇帝は皇后を溺愛しているから、無理だとは思うけど。まあ、可愛い妹の為だから頑張ってみるよ」


 ロンファはリューイににっこりと微笑むと、ルイネに促されるように足早に部屋を出ていく。



「ごめんなさい。ロンファ兄様······、私にはもうこれしか、方法がないの······」

 だから、ロンファには小さく呟いた、その彼女の言葉は聞こえていなかったのだ。
 

********************************

 第三章は邪竜を中心に、色々と明らかになります。今後は独特の文化を基盤にそれにそったRシーンも増えていきますが、戦闘描写や切ない描写等も多いです。

 ※リューイ姫
 お気づきの方もいるかと思いますが、後半のリューイ姫が皇帝の側室になりたい理由となる物語が春の短編祭のため作成した内容という流れでした。
 彼女の『血操魔法』はかなり強力です!第三章には必要不可欠となりましょう!
 尚、短編内容は本編には全く支障ありません、ご安心を。
感想 3

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