【第二章/皇国・慣らし五夜編】王太子に離縁されました?上等です。最強の皇帝陛下の【魔眼】と共に、世界攻略を致しますので!【R18・完結】

猫まんじゅう

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45. バロンの暴走と、重罪※

※この回が間違えて先に投稿されていました。申し訳ありません!!再投稿!


 慣れない転移魔法に、バタバタッと大きな音を立てて竜王が床に尻もちをついた。


 そしてヴィクトールは目の前の光景に怒りを必死で抑える。


 部屋の中は獣人族の香だろうか、独特な香りが充満していた。そして寝台の上には白い狼の耳と尻尾を生やした下着姿のリリアーナが息を切らして座り込んでいたのだ。


 部屋の奥には気を失っている彼女のメイド、ラナーと彼女を抱え首元に刃物を突き付けている金髪の竜人騎士がいる。



「嗚呼、やはり貴女はボクの番。美しく、香り高い、儚げなのもまたそそられる。可哀想に、こんな国に囚われて······すぐにボクの物にしてあげるから······」



 劣情に歪んだ顔でリリアーナに近づきながら手を伸ばし、動けずに蹲る彼女の腕に触れて─────

 ─────バロンは焦って彼女から飛び退いた。
 そして奇声を発する。



「ッうわあああ!なんだっ!!闇が、誰か······誰かァッ、」

「バロンッ!お前、何てことをしているんだ!」



 頭を抱えて悪夢に魘された様に寝台でのたうち回るバロンをロンファは掴んで感情のままに揺さぶった。
 それを見た金髪の竜人が直ぐに人質を放り投げて、バロンの元に走ったのを見て、すかさずヴィクトールの影達がラナーを救出する。



「さあ、竜王タオリャンよ。確証は得られただろうか?それにしても、人の妻に手を出そうとするとは。ドラファルトの国としての意向であれば······、
 我が国に喧嘩を売っているのか?」

「な、な、なにを。息子になにを、······した?」


 リリアーナに下心をもって触れたため、”ルドランテ”が発動したのだろう。
 バロンは手の先から闇に呑みこまれるような錯覚を見て、それに囚われていた。


「ここでも息子の心配が先とは。呆れたな。
 一先ず、今後の国の方針は家族で和気藹々と決めると良い」


 ヴィクトールは怒りを抑えながらゆっくりと寝台に近寄ると耳と尻尾の生えたリリアーナを抱いて自分の寝室に瞬間転移する。
 そして彼女を寝台に下ろすと苦しそうに顔を歪めたリリアーナの瞳がヴィクトールを捉えた。


「······っ、ヴィクトールさま·····目が······怒って、、······申し訳ございません」

「リリアーナ、今回の事は怒っているぞ、お前とて簡単に許すつもりはない」

「はい······罰はなんでも、受けます、ので」




 ─────半刻ほど後、

 ヴィクトールは夫婦の寝室の長椅子に座って脚を組み、優雅に酒を飲んでいた。

 竜王が言葉で煽ってきた際や、バロンがリリアーナに触れた時、本当であればその場で殺してやりたいくらいには怒っていた。本当に、よく耐えられたものだな、とヴィクトールは心の中で自画自賛する。

 これも、”ルドランテ”が彼女を絶対に危険に晒さないと確信していたからだ。
 現にバロンは闇に囚われ、きっと明日までは苦しみに藻掻くだろう。


 「ざまあみろ、」と高らかに笑ってやりたいくらいだ。


 だが、あともう一匹、鼠がいるな。
 ヴィクトールは静かに開いた繋ぎ部屋になっているリリアーナの部屋の扉を見た。


 そっと足を忍ばせて入ってきたのはベルリアーノ伯爵の長女マリアである。


 リリアーナの物を使用しているのか、サイズの合っていない夜着を身に纏い、上から厚手のローブを羽織り寝台へと近づいていく、その女をヴィクトールはじっと見つめる。


 神経を寝台の方に集中させているからなのか、マリアは長椅子に座るヴィクトールには全く気づかぬまま、寝台の横で動きを止めた。
 そして、寝台の上のふっくらと盛り上がった寝具を見る。人が中にくるまっているであろう事は明らかで、たまにもぞもぞと動くのを確認して、マリアは寝具に手をかけ、それをそっと捲った。




「イっ、イヤアアアァ!!!」


 

 直後、叫び声を上げて、彼女は寝台から転げ落ちる。そして腰を抜かした彼女は口を魚のようにパクパクと開いた。


「ああ、夜這い、をしようとしていたのだったな?
 俺は此処にいるのだが?」


 寝室の寝台とは別の方向からヴィクトールの声が響き、マリアはそちらを振り返る。
 長い脚をゆっくりと動かして彼女に近づいたヴィクトールは、無言で目の前を通りすぎると寝台に腰かけた。そして彼女を見下ろすと口を開く。


「皇后のメイドの拉致を後助し、脅した挙句、ドラファルトの手の内に放り込み。それに無断侵入とはな。
 罪は重いぞ、分かっているのか?」


 未だ声が出せずにいる彼女を一瞥し、その目線を辿って、怯える元凶となったそれをヴィクトールは乱暴に引っ張った。



「 ────── なあ、リリアーナ?」

「ヒィッッ!!!」



 マリアは息を呑む、縄でぐるぐるに縛られ、声も発せられない様にされたそれは、リリアーナ、その人であったからだ。

 一瞬、死体のようにも見えたそれをマリアはじっと凝視する。

 彼女の美しい白銀の髪からひょこんと生えた大きな白い耳にふさふさの尻尾。目はとろんと虚ろで苦し気に浅い呼吸を繰り返している、この国の、皇后陛下。



「リリアーナ、夫を未だに信じてくれないとは。
 本当に、つれない、なあ?」



 ヴィクトールは香に充てられている彼女をそのまま縛り、身動きの取れない状態で寝台の寝具の中に埋めていたのだ。


「んんッ、はぁぁ、っ······っん」


 未だ身体の熱は体内に留まったままで辛いのだろう、脚を動かしてその捌け口を探している彼女を紐ごと引きずるように手繰り寄せれば、彼女の吐息が漏れた。


「リリアーナ、私達は自国の貴族令嬢の秩序を守り、教育がなっていない者にはきちんとそれを指示さなければいけない。そうだろう?」


 そういって妖艶に微笑んだヴィクトールはリリアーナの手を纏めて縛ってある紐を除き、他の部分の縄を解いていく。
 そして、床にぺたりと座り込んだままのマリアに言葉を発した。



「お前、人の寝室に、それも皇帝の寝室に、無断侵入してきた。その意味が分かっているのか? 覚悟はあるのだろうな?
 そんなに俺と閨を共にしたいのなら、そこにいるといい。見せてやろう、」


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