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レジェンド・オブ・グローリア

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 ……光から生まれた輝き人と、闇から生まれた魔の人の戦いは、最果ての島で終焉した。

 魔の人は封じ込められるときに、こう言った。

「輝かしき神よ、吾はふたたび、復活する。そのときこそ、光は枯れ、朝は沈み、闇の翼が舞い降りるだろう」

 輝き人もまた言った。

「血の魔王よ、では私もそのとき生まれ変わろう。光は必ず大地を祝福するのだ」

 その後、輝き人は三人の息子を呼んだ。

「これより、この島を聖なる地と呼ぶ。お前たちは人々へ平和と繁栄を与えよ」

 ひとりめの息子は言った。

「では私は平和を与えましょう」

 ふたりめの息子は言った。

「では私は繁栄を与えましょう」

 さいごの息子は言った。

「では私はひとつの命を与えましょう」

 輝き人がその意味を問うと、光の加減で色の変わる瞳をきらめかせた。

「平和と繁栄は、兄者さまたちがそれぞれお与えになる。ならば私は、遠く未来における大切な日のために、ひとつの命をさずけようと思うのです。それは、かぼそく儚い蝋燭の火のようであっても、人々の足元を照らす明かりとなるように。幾時代過ぎようと、けして消えることなく、父上さまが甦るそのときまで……」


 それは、幸いなる島グローリアで語り継がれてきたひとつの伝説……
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