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第一部 第二章
第38話 和平と判決
しおりを挟む〔ノース・ザルド王国〕国境地帯 〔ダガロン要塞〕
支持貴族たちの粛清が終了すると〔デイ・ノルド王国〕王国連合軍から1万、〔ノース・ザルド王国〕遠征軍から1万の計2万の軍勢が、〔ダガロン要塞〕接収のため入城し、〔ダガロン要塞〕司令官から要塞の鍵を受け取る事により、戦闘は、終結したのであった。
そして接収された〔ダガロン要塞〕において仲介国と定められた〔スカイテール連邦王国〕を代表し前国王、ディスダベル・ドゥ・ネクロンシアの立ち合いの元、〔デイ・ノルド王国〕国王、アランディア・フォン=フェニア=ノルドと〔ノース・ザルド王国〕国王ハイディニル・ドゥ・カールベル・ザルドは、新たな策定された停戦条約に署名をし、戦闘状態を停止させ、講和への準備に移ったのであった。
停戦条約の取り決めに従い、〔デイ・ノルド王国〕王国連合軍は、使節団とその護衛部隊以外の全軍の〔ノース・ザルド王国〕からの撤収を開始し、そして〔ノース・ザルド王国〕遠征軍も国境都市〔ダイミル〕へと撤収を開始したのであった。
この撤収は、わずか3日で完了し、戦史に刻まれるほどの鮮やかな撤収作業であったと後世の史家たちから言われるほどの物であった。
その撤収を見届けた両国国王は、握手を交わし、〔ダガロン要塞〕から出発し、それぞれの首都への帰途についたのであった。
それと同時に〔ノース・ザルド王国〕国王、ハイディニルの首都へ帰還に伴い〔デイ・ノルド王国〕特命全権使節団も、護衛部隊を引き連れ、首都〔ザイルシティー〕へと向かったのであった。そして特命全権使節団の団長に就任したのは、エギル・フォン=パラン=ノルドであったことも忘れてはならない。
〔ノース・ザルド王国〕首都 〔ザイルシティー〕王城
〔デイ・ノルド王国〕特命全権使節団と〔ノース・ザルド王国〕王国政府は、王城にて講和条約の策定作業と交渉に入った。
策定作業と交渉は、国王が変わったことによりスムーズに進み、両国にとって満足いく条約となっていた。
そして、年を跨いだ大陸歴2333年一月六日の日、戦争最初の戦闘が起きた場所〔デイ・ノルド王国〕と〔ノース・ザルド王国〕の国境砦において、両国国王と仲介国前国王の出席の元、講和条約が結ばれ、戦争状態に終止符が打たれ、国交が回復したのであった。
その日の内に、〔デイ・ノルド王国〕で軟禁状態となっていた外務長と特命全権大使は、解放され、〔ノース・ザルド王国〕への帰国の途に就いた。
それから三か月が過ぎた、ある日。
〔デイ・ノルド王国〕国境地帯 〔シテネモン要塞〕 大広間
大広間に続く扉が、開かれる。そこから現れたのは、法衣と呼ばれる黒い服をきた九人の男女であった。
そして彼らは、大広間に新たに設置された壇上へと昇って行き、そこに置かれた机に腰掛けると、中心にいる男性が、こう言った。
「これより、開廷する。」
そうこれからこの〔シテネモン要塞〕大広間で始まるのは、「三か国合同国際軍事裁判」と呼ばれる裁判であった。
この裁判は、講和条約締結から一か月後に開始されることが、条約で決まっておりその審理事項は、〔デイ・ノルド王国〕と〔ノース・ザルド王国〕の戦争において、戦争犯罪を犯した者たちを裁くことである。
裁判官は、〔デイ・ノルド王国〕と〔ノース・ザルド王国〕それと仲介国である〔スカイテール連邦王国〕から三名ずつが選ばれ派遣され、裁判を行った。
これは検察官と弁護士も同じ構成となっている。
「判決を読み上げるので被告人は、証言台に立ってください。」
裁判長を務める〔スカイテール連邦王国〕の裁判官が、発言をする。その発言によって証言台に進み出たのは、〔ノース・ザルド王国〕前国王、ピスグリス・ドゥ・ユーベル・ザルドであった。
ピスグリスは、〔ダガロン要塞〕で捕らえられた時のブタと呼ばれていた容貌は、約4ヶ月もの獄中生活のため非常に痩せた状態となっていた。
証言台に立ったピスグリスを確認した裁判長は、机に置いていた紙を取り上げ、開くと中身を読み上げた。
「主文、被告人を〔デイ・ノルド王国〕で5年、〔ノース・ザルド王国〕で5年の拘留後、国境において極刑に処す。」
ピスグリスは、そり判決が出た瞬間、少し上を向き、何かを堪える仕草をして、再び前を見て、裁判官たちに礼をするとやって来た係官に連れられて、法廷を後にしたのであった。
ピスグリスの後も判決は、続き、最後の被告人の判決が終了し、裁判長は、こう宣言した。
「これにて、閉廷いたします。」
この言葉により、後の世に第二次林伐戦争と呼ばれることとなる戦争の全ての戦後処理が、終わったのであった。
しかし、その裏で起きていた大事件が、存在したのであった。
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