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19.悪役令嬢、叱られる
「やってしまいましたわ!」
わたくしとお兄様でネズミ型の魔物を餌に、街の近くの草原へ狩りに出かけましたわ。
わたくし、隠れて待っている間に次のイベントは何か考えていましたの。
ワイバーンの群れが街中に現れる、でしたわ。警戒心の強いワイバーンがなんで街中に現れるのかしらとずっと疑問でしたの。
「「「ぎゅおおおおん!!!」」」
「「あ……」」
街の近くの草原ならそこまで強い魔物は現れないはず、と、軽い気持ちで餌をおきましたの。まさかワイバーンが現れるとは思いませんでしたわ。ワイバーンの群れなら、食後の運動くらいにはなるかもしれませんわ。でも、こんな街の近くに現れたら……。
「カーンカーンカーンカーン!」
「逃げろ! 逃げろー!」
「警報だぞ! ワイバーンの群れだー!」
「……どうしましょう、お兄様」
「……母上にバレる前になかったことにしよう。迅速に」
「わかりましたわ!」
「ナリアンヌ。ピンチかい? 助太刀するよ」
「まぁ! メルテウス様。ありがとうございます!」
なぜ、メルテウス様がこんなところに突然転移してきたかなんて関係ありませんわ。
今までの人生で一番本気の魔物討伐をいたしましたわ。
「あれ……確かにワイバーンがいたと思ったんだが」
「俺もみたぞ」
「私はみてない」
「見間違いだったんじゃないか?」
「ワイバーンを見間違えるわけないだろう」
「証拠隠滅できたかしら? お兄様」
「そう信じるしかない」
「坊ちゃま、わたくしも話を合わせますわ! お嬢様とお坊ちゃまが奥様のお叱りを受けることなんて……」
小刻みに震えるばあやの姿に、わたくしとお兄様もお怒りになったお母様を想像して震えてしまいましたわ。
「メルテウス様もありがとうございます」
「いや、いいよ。ナリアンヌが無事でよかった」
「なぜわたくしが困っている時に現れてくださったのですか?」
「前に贈った魔道具、あれがナリアンヌの心拍数の上昇、発汗、精神状態などの異常を感知すると、僕に知らせてくれるようになっていてね」
「まぁ……少し気持ち悪いですわね」
「あのルチアとかいう子と共にいるナリアンヌは、すぐに困りごとに巻き込まれてしまいそうだから、心配したんだ……。あと、大切な弟子たちにはみんな警告機能付きの魔術具を贈っているから……それの上位互換だよ。……ダメだったかな?」
「ダメではありませんわ。ありがとうございます、メルテウス様」
そう微笑むとメルテウス様はわたくしの頭を優しく撫でてくださいました。
推しの笑顔と頭ぽんぽん。前世のわたくしが浮かばれますわ。
「未婚の男女なのに、ナリアンヌに少し近すぎませんか? 魔法使い殿」
「僕は、気に入った人間を可愛がりたいタイプなんだよね」
「それはそれは。ナリアンヌのことを弟子の1人にでもしたいかのように聞こえますね」
「弟子とは違うんだけど……まぁナリアンヌにさえわかってもらえたら、いいや」
「……」
「お兄様もメルテウス様も、無事ワイバーンを殲滅できてよかったですわ! さぁ、帰りましょ……」
「わたくしのかわいいかわいいナリアンヌちゃんにムハルちゃん? これはいったいどういうことかしら?」
「お、お母様!?」
「母上!?」
「奥様!?」
「マリア? あなたが付いていながら、どうしてこのようなことが起こったのか説明してくださる?」
「そ、その奥様……」
「お母様、どうしてここに?」
「ワイバーンが出たとのことでわたくしが召集され、気配を辿ると必死にワイバーンを倒すかわいいかわいい子たちの気配が……ね?」
「「「「ひいっ」」」」
「マリア。あなたは修行が足りないわ。魔法なしでのドラゴンの森でのドラゴン全討伐、制限時間1時間。いってらっしゃい? スタート」
「奥様! 移動時間を抜いてくださいまし!」
「お母様! ばあやでもそれは無理ですわ!」
「そうだ、母上。魔法なしでは……移動だけで半日かかる距離だぞ?」
「だから? 言っておきますが、マリアはあなたたちのせいでこうなったの。さぁ、マリア。時間は減っているわよ」
「坊ちゃまにお嬢様。僭越ながら、マリアめは全力を出させていただきます」
そう言って駆けて行ったばあやを横目にお母様は呟きましたの。
「レッドドラゴンで20体ってところかしら? まぁ……軽すぎたかしら?」
後日、メルテウス様に言われましたわ。
「あんなにも笑顔で優雅なのに怖い人間を見たのは、初めてだ」
ばあやの討伐結果はいかがだったのでしょうか?
わたくしとお兄様でネズミ型の魔物を餌に、街の近くの草原へ狩りに出かけましたわ。
わたくし、隠れて待っている間に次のイベントは何か考えていましたの。
ワイバーンの群れが街中に現れる、でしたわ。警戒心の強いワイバーンがなんで街中に現れるのかしらとずっと疑問でしたの。
「「「ぎゅおおおおん!!!」」」
「「あ……」」
街の近くの草原ならそこまで強い魔物は現れないはず、と、軽い気持ちで餌をおきましたの。まさかワイバーンが現れるとは思いませんでしたわ。ワイバーンの群れなら、食後の運動くらいにはなるかもしれませんわ。でも、こんな街の近くに現れたら……。
「カーンカーンカーンカーン!」
「逃げろ! 逃げろー!」
「警報だぞ! ワイバーンの群れだー!」
「……どうしましょう、お兄様」
「……母上にバレる前になかったことにしよう。迅速に」
「わかりましたわ!」
「ナリアンヌ。ピンチかい? 助太刀するよ」
「まぁ! メルテウス様。ありがとうございます!」
なぜ、メルテウス様がこんなところに突然転移してきたかなんて関係ありませんわ。
今までの人生で一番本気の魔物討伐をいたしましたわ。
「あれ……確かにワイバーンがいたと思ったんだが」
「俺もみたぞ」
「私はみてない」
「見間違いだったんじゃないか?」
「ワイバーンを見間違えるわけないだろう」
「証拠隠滅できたかしら? お兄様」
「そう信じるしかない」
「坊ちゃま、わたくしも話を合わせますわ! お嬢様とお坊ちゃまが奥様のお叱りを受けることなんて……」
小刻みに震えるばあやの姿に、わたくしとお兄様もお怒りになったお母様を想像して震えてしまいましたわ。
「メルテウス様もありがとうございます」
「いや、いいよ。ナリアンヌが無事でよかった」
「なぜわたくしが困っている時に現れてくださったのですか?」
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「まぁ……少し気持ち悪いですわね」
「あのルチアとかいう子と共にいるナリアンヌは、すぐに困りごとに巻き込まれてしまいそうだから、心配したんだ……。あと、大切な弟子たちにはみんな警告機能付きの魔術具を贈っているから……それの上位互換だよ。……ダメだったかな?」
「ダメではありませんわ。ありがとうございます、メルテウス様」
そう微笑むとメルテウス様はわたくしの頭を優しく撫でてくださいました。
推しの笑顔と頭ぽんぽん。前世のわたくしが浮かばれますわ。
「未婚の男女なのに、ナリアンヌに少し近すぎませんか? 魔法使い殿」
「僕は、気に入った人間を可愛がりたいタイプなんだよね」
「それはそれは。ナリアンヌのことを弟子の1人にでもしたいかのように聞こえますね」
「弟子とは違うんだけど……まぁナリアンヌにさえわかってもらえたら、いいや」
「……」
「お兄様もメルテウス様も、無事ワイバーンを殲滅できてよかったですわ! さぁ、帰りましょ……」
「わたくしのかわいいかわいいナリアンヌちゃんにムハルちゃん? これはいったいどういうことかしら?」
「お、お母様!?」
「母上!?」
「奥様!?」
「マリア? あなたが付いていながら、どうしてこのようなことが起こったのか説明してくださる?」
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「「「「ひいっ」」」」
「マリア。あなたは修行が足りないわ。魔法なしでのドラゴンの森でのドラゴン全討伐、制限時間1時間。いってらっしゃい? スタート」
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「お母様! ばあやでもそれは無理ですわ!」
「そうだ、母上。魔法なしでは……移動だけで半日かかる距離だぞ?」
「だから? 言っておきますが、マリアはあなたたちのせいでこうなったの。さぁ、マリア。時間は減っているわよ」
「坊ちゃまにお嬢様。僭越ながら、マリアめは全力を出させていただきます」
そう言って駆けて行ったばあやを横目にお母様は呟きましたの。
「レッドドラゴンで20体ってところかしら? まぁ……軽すぎたかしら?」
後日、メルテウス様に言われましたわ。
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