19 / 32
19.悪役令嬢、叱られる
しおりを挟む
「やってしまいましたわ!」
わたくしとお兄様でネズミ型の魔物を餌に、街の近くの草原へ狩りに出かけましたわ。
わたくし、隠れて待っている間に次のイベントは何か考えていましたの。
ワイバーンの群れが街中に現れる、でしたわ。警戒心の強いワイバーンがなんで街中に現れるのかしらとずっと疑問でしたの。
「「「ぎゅおおおおん!!!」」」
「「あ……」」
街の近くの草原ならそこまで強い魔物は現れないはず、と、軽い気持ちで餌をおきましたの。まさかワイバーンが現れるとは思いませんでしたわ。ワイバーンの群れなら、食後の運動くらいにはなるかもしれませんわ。でも、こんな街の近くに現れたら……。
「カーンカーンカーンカーン!」
「逃げろ! 逃げろー!」
「警報だぞ! ワイバーンの群れだー!」
「……どうしましょう、お兄様」
「……母上にバレる前になかったことにしよう。迅速に」
「わかりましたわ!」
「ナリアンヌ。ピンチかい? 助太刀するよ」
「まぁ! メルテウス様。ありがとうございます!」
なぜ、メルテウス様がこんなところに突然転移してきたかなんて関係ありませんわ。
今までの人生で一番本気の魔物討伐をいたしましたわ。
「あれ……確かにワイバーンがいたと思ったんだが」
「俺もみたぞ」
「私はみてない」
「見間違いだったんじゃないか?」
「ワイバーンを見間違えるわけないだろう」
「証拠隠滅できたかしら? お兄様」
「そう信じるしかない」
「坊ちゃま、わたくしも話を合わせますわ! お嬢様とお坊ちゃまが奥様のお叱りを受けることなんて……」
小刻みに震えるばあやの姿に、わたくしとお兄様もお怒りになったお母様を想像して震えてしまいましたわ。
「メルテウス様もありがとうございます」
「いや、いいよ。ナリアンヌが無事でよかった」
「なぜわたくしが困っている時に現れてくださったのですか?」
「前に贈った魔道具、あれがナリアンヌの心拍数の上昇、発汗、精神状態などの異常を感知すると、僕に知らせてくれるようになっていてね」
「まぁ……少し気持ち悪いですわね」
「あのルチアとかいう子と共にいるナリアンヌは、すぐに困りごとに巻き込まれてしまいそうだから、心配したんだ……。あと、大切な弟子たちにはみんな警告機能付きの魔術具を贈っているから……それの上位互換だよ。……ダメだったかな?」
「ダメではありませんわ。ありがとうございます、メルテウス様」
そう微笑むとメルテウス様はわたくしの頭を優しく撫でてくださいました。
推しの笑顔と頭ぽんぽん。前世のわたくしが浮かばれますわ。
「未婚の男女なのに、ナリアンヌに少し近すぎませんか? 魔法使い殿」
「僕は、気に入った人間を可愛がりたいタイプなんだよね」
「それはそれは。ナリアンヌのことを弟子の1人にでもしたいかのように聞こえますね」
「弟子とは違うんだけど……まぁナリアンヌにさえわかってもらえたら、いいや」
「……」
「お兄様もメルテウス様も、無事ワイバーンを殲滅できてよかったですわ! さぁ、帰りましょ……」
「わたくしのかわいいかわいいナリアンヌちゃんにムハルちゃん? これはいったいどういうことかしら?」
「お、お母様!?」
「母上!?」
「奥様!?」
「マリア? あなたが付いていながら、どうしてこのようなことが起こったのか説明してくださる?」
「そ、その奥様……」
「お母様、どうしてここに?」
「ワイバーンが出たとのことでわたくしが召集され、気配を辿ると必死にワイバーンを倒すかわいいかわいい子たちの気配が……ね?」
「「「「ひいっ」」」」
「マリア。あなたは修行が足りないわ。魔法なしでのドラゴンの森でのドラゴン全討伐、制限時間1時間。いってらっしゃい? スタート」
「奥様! 移動時間を抜いてくださいまし!」
「お母様! ばあやでもそれは無理ですわ!」
「そうだ、母上。魔法なしでは……移動だけで半日かかる距離だぞ?」
「だから? 言っておきますが、マリアはあなたたちのせいでこうなったの。さぁ、マリア。時間は減っているわよ」
「坊ちゃまにお嬢様。僭越ながら、マリアめは全力を出させていただきます」
そう言って駆けて行ったばあやを横目にお母様は呟きましたの。
「レッドドラゴンで20体ってところかしら? まぁ……軽すぎたかしら?」
後日、メルテウス様に言われましたわ。
「あんなにも笑顔で優雅なのに怖い人間を見たのは、初めてだ」
ばあやの討伐結果はいかがだったのでしょうか?
わたくしとお兄様でネズミ型の魔物を餌に、街の近くの草原へ狩りに出かけましたわ。
わたくし、隠れて待っている間に次のイベントは何か考えていましたの。
ワイバーンの群れが街中に現れる、でしたわ。警戒心の強いワイバーンがなんで街中に現れるのかしらとずっと疑問でしたの。
「「「ぎゅおおおおん!!!」」」
「「あ……」」
街の近くの草原ならそこまで強い魔物は現れないはず、と、軽い気持ちで餌をおきましたの。まさかワイバーンが現れるとは思いませんでしたわ。ワイバーンの群れなら、食後の運動くらいにはなるかもしれませんわ。でも、こんな街の近くに現れたら……。
「カーンカーンカーンカーン!」
「逃げろ! 逃げろー!」
「警報だぞ! ワイバーンの群れだー!」
「……どうしましょう、お兄様」
「……母上にバレる前になかったことにしよう。迅速に」
「わかりましたわ!」
「ナリアンヌ。ピンチかい? 助太刀するよ」
「まぁ! メルテウス様。ありがとうございます!」
なぜ、メルテウス様がこんなところに突然転移してきたかなんて関係ありませんわ。
今までの人生で一番本気の魔物討伐をいたしましたわ。
「あれ……確かにワイバーンがいたと思ったんだが」
「俺もみたぞ」
「私はみてない」
「見間違いだったんじゃないか?」
「ワイバーンを見間違えるわけないだろう」
「証拠隠滅できたかしら? お兄様」
「そう信じるしかない」
「坊ちゃま、わたくしも話を合わせますわ! お嬢様とお坊ちゃまが奥様のお叱りを受けることなんて……」
小刻みに震えるばあやの姿に、わたくしとお兄様もお怒りになったお母様を想像して震えてしまいましたわ。
「メルテウス様もありがとうございます」
「いや、いいよ。ナリアンヌが無事でよかった」
「なぜわたくしが困っている時に現れてくださったのですか?」
「前に贈った魔道具、あれがナリアンヌの心拍数の上昇、発汗、精神状態などの異常を感知すると、僕に知らせてくれるようになっていてね」
「まぁ……少し気持ち悪いですわね」
「あのルチアとかいう子と共にいるナリアンヌは、すぐに困りごとに巻き込まれてしまいそうだから、心配したんだ……。あと、大切な弟子たちにはみんな警告機能付きの魔術具を贈っているから……それの上位互換だよ。……ダメだったかな?」
「ダメではありませんわ。ありがとうございます、メルテウス様」
そう微笑むとメルテウス様はわたくしの頭を優しく撫でてくださいました。
推しの笑顔と頭ぽんぽん。前世のわたくしが浮かばれますわ。
「未婚の男女なのに、ナリアンヌに少し近すぎませんか? 魔法使い殿」
「僕は、気に入った人間を可愛がりたいタイプなんだよね」
「それはそれは。ナリアンヌのことを弟子の1人にでもしたいかのように聞こえますね」
「弟子とは違うんだけど……まぁナリアンヌにさえわかってもらえたら、いいや」
「……」
「お兄様もメルテウス様も、無事ワイバーンを殲滅できてよかったですわ! さぁ、帰りましょ……」
「わたくしのかわいいかわいいナリアンヌちゃんにムハルちゃん? これはいったいどういうことかしら?」
「お、お母様!?」
「母上!?」
「奥様!?」
「マリア? あなたが付いていながら、どうしてこのようなことが起こったのか説明してくださる?」
「そ、その奥様……」
「お母様、どうしてここに?」
「ワイバーンが出たとのことでわたくしが召集され、気配を辿ると必死にワイバーンを倒すかわいいかわいい子たちの気配が……ね?」
「「「「ひいっ」」」」
「マリア。あなたは修行が足りないわ。魔法なしでのドラゴンの森でのドラゴン全討伐、制限時間1時間。いってらっしゃい? スタート」
「奥様! 移動時間を抜いてくださいまし!」
「お母様! ばあやでもそれは無理ですわ!」
「そうだ、母上。魔法なしでは……移動だけで半日かかる距離だぞ?」
「だから? 言っておきますが、マリアはあなたたちのせいでこうなったの。さぁ、マリア。時間は減っているわよ」
「坊ちゃまにお嬢様。僭越ながら、マリアめは全力を出させていただきます」
そう言って駆けて行ったばあやを横目にお母様は呟きましたの。
「レッドドラゴンで20体ってところかしら? まぁ……軽すぎたかしら?」
後日、メルテウス様に言われましたわ。
「あんなにも笑顔で優雅なのに怖い人間を見たのは、初めてだ」
ばあやの討伐結果はいかがだったのでしょうか?
29
あなたにおすすめの小説
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!
●やきいもほくほく●
恋愛
──目が覚めると海の上だった!?
「メイジー・ド・シールカイズ、あなたを国外に追放するわ!」
長年、虐げられてきた『役立たず王女』メイジーは異母姉妹であるジャシンスに嵌められて島流しにされている最中に前世の記憶を取り戻す。
前世でも家族に裏切られて死んだメイジーは諦めて死のうとするものの、最後まで足掻こうと決意する。
奮起したメイジーはなりふり構わず生き残るために行動をする。
そして……メイジーが辿り着いた島にいたのは島民に神様と祀られるガブリエーレだった。
この出会いがメイジーの運命を大きく変える!?
言葉が通じないため食われそうになり、生け贄にされそうになり、海に流されそうになり、死にかけながらもサバイバル生活を開始する。
ガブリエーレの世話をしつつ、メイジーは〝あるもの〟を見つけて成り上がりを決意。
ガブリエーレに振り回されつつ、彼の〝本来の姿〟を知ったメイジーは──。
これは気弱で争いに負けた王女が逞しく島で生き抜き、神様と運を味方につけて無双する爽快ストーリー!
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる