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21.聖女召喚
「な!? ルチア嬢が消えたぞ!?」
「まぁ……」
ルチア様の気配の探索を終えていたわたくしは、そんなことよりも殿下とルチア様の親密度が上がっていることに驚きましたわ。いつのまにか、ルチア嬢とお呼びになっていらっしゃる。ルチア様ったら、無事に攻略対象との仲を深めていらっしゃるのね……。わたくし、少し仲間はずれみたいな気持ちで寂しくなってしまいましたわ。いえ、わたくしは悪役令嬢。このように皆様と仲良くしていただいていることが奇跡なのですわ。
「気配の探索をいたしましたところ、ルチア様は、隣国デゼール王国にいるはずですわ」
「デゼールに!? なぜ? 気配の探索……?」
「誘拐イベント……いえ、聖女ですから」
「聖女だから……?」
聖女たるルチア様が転移魔法を使って、誘拐されたということは、国際問題になりかねませんわ。聖女の業務で隣国デゼール王国へ行かれたことにしておきましょう。
なぜか、殿下は混乱なさっているお顔をしていらっしゃいますが、それはさておき、どのようにデゼール王国へ入国致しましょうか。原作ではどのようにデゼール王国は入国していたのかしら。
“まて、もう一人女がいるぞ”
“王女様はこの女もお望みかもしれん”
“少ないより、多い方がいいだろう”
そんな言葉が聞こえたかと思ったら、目の前から殿下のお姿が消え、転移魔法陣のある部屋に変わりました。
「わたくしも……?」
聖女でないわたくしまで、なぜ誘拐されてしまったのでしょうか?
「……悪役令嬢も連れてこられた?」
「えぇ、わたくしもなぜか転移させられてしまいましたわ」
ヒロインでも聖女でもないわたくしが、なぜ? わたくしは、公爵令嬢。我が公爵家を敵に回す意味をデゼール王国では理解されていないのでしょうか……?
そんな疑問を胸に抱きながら、そっとルチア様を抱きしめます。
「わたくしがなぜ転移させられたのかわかりませんが、ルチア様をお守りいたしますわ」
「ありがとう、悪役令嬢」
「おい、何をコソコソ話している!?」
「逃げ出されたら迷惑だ。あのお方にこいつらを見せる時まで、牢に入れて閉じ込めておこう」
「そうだな。あのお方にこの離宮では好きにしていいと言われているからな」
そう話すお方の手元には鍵があります。最悪、あの程度の鍵くらいならなんとでもなりますが、ルチア様とお話しする必要があるので、おとなしく捕えられておきましょう。
「ルチア様。わたくしたちは、おとなしく捕えられますわよ?」
そう言ったわたくしに、ルチア様はこくりと頷きます。牢へと連れて行かれたルチア様とわたくし。ふと、わたくしたちの見張りをさせられているお方を見ると、お耳が生えていらっしゃいます。もしかして、お噂に聞く獣人のお方でしょうか? もふもふしてみたいですわ……。
「……悪役令嬢。他の獣に興味持たないで」
「え!? な、なんのことでしょう? ルチア様、その言い方ではあなたがまるで」
そう言いながら、ルチア様の目元を見つめると獲物を狙い定める視線を……獣人のお方に……。
「お待ちなさい! ルチア様。あのお方に何をなさろうとしていらっしゃるの?」
「獣……美味しそう」
「おやめなさい、ルチア様。獣人は人間とカウントします。食べてはいけません」
「なぜ?」
「確かに、我が国への獣人の入国は禁じられておりますし、こちらの国でも奴隷として扱っているようです。しかし、我々と同じように思考し、」
「美味しそう」
「人の話をお聞きなさい!?」
「……だめ?」
「可愛い顔をしても、ダメなものはダメですわ! いい加減なさい? わたくしがダメと決めたのです。ダメに決まっておりますわ?」
「悪役令嬢がそこまで言うなら仕方ないか……。食べて良くなったら教えてね?」
「えぇ。絶対にありえませんけど、食べて良くなったら教えますから、絶対に食べてはいけませんわよ?」
「はぁい」
ルチア様は不満げでいらっしゃいます。こちらの国では、彼女から絶対目を離さないようにいたしましょう。何があっても。
「おい、お前たち。高貴なお方がお前たちにお会いする、と仰せだ。不敬のないように」
「わかりましたわ」
「誘拐した方が不敬……」
「しっ! 黙って頷いておきなさい、ルチア様」
わたくしが慌ててルチア様のお口を塞ぎます。こくこく頷くルチア様とわたくしの姿を見て、わたくしたちを牢から出しに来た男は、納得したようです。牢からだし、どこかへと連れて行きます。
「ほう。これが聖ルピテアの聖女か……って、二人?!」
「お久しぶりでございます。デゼール王国第一王女エミーラ様」
わたくしがデゼール王国での淑女の礼をとり、ご挨拶すると、エミーラ様は顔を真っ青にして口をパクパクしながら私を指差します。
「わ、お、ま、えら、」
「まあ、エミーラ様。人を指差すなんて……外交問題ですわね?」
「ひぇ!」
「王女様!? どうなさりました!? この女、殺しますか?」
「こ、殺すな! 頼むから殺すな!」
「では……」
「この女の記憶を消して、元の場所に誰にもバレないように返してこれるか?」
「はい」
まぁ、勝手に国に返されるなんて困りますわ。そんな身勝手な話し合いをなさるエミーラ様とその臣下の方のお話に割り込ませていただきます。
「まぁ、エミーラ様。わたくし、デゼール王国にせっかくきたのなら、観光を楽しみたいですわ? 勝手に人の記憶をいじろうとなさって、国に返そうとするなんて……ひどいですわ?」
わたくしが悲しそうな顔を向けると、エミーラ様は倒れられました。まぁ、大変ですわね。人がわらわらと集まってきて……。
「何事だ!?」
「あら? お久しぶりでございますわ。デゼール王国第一王子エミル様?」
わたくしが第一王子に微笑みを向けてそう申し上げると、第一王子は頭を抱えてしまわれました。
さて、観光名所のご案内と魔物討伐の旅を依頼いたしましょう。
「まぁ……」
ルチア様の気配の探索を終えていたわたくしは、そんなことよりも殿下とルチア様の親密度が上がっていることに驚きましたわ。いつのまにか、ルチア嬢とお呼びになっていらっしゃる。ルチア様ったら、無事に攻略対象との仲を深めていらっしゃるのね……。わたくし、少し仲間はずれみたいな気持ちで寂しくなってしまいましたわ。いえ、わたくしは悪役令嬢。このように皆様と仲良くしていただいていることが奇跡なのですわ。
「気配の探索をいたしましたところ、ルチア様は、隣国デゼール王国にいるはずですわ」
「デゼールに!? なぜ? 気配の探索……?」
「誘拐イベント……いえ、聖女ですから」
「聖女だから……?」
聖女たるルチア様が転移魔法を使って、誘拐されたということは、国際問題になりかねませんわ。聖女の業務で隣国デゼール王国へ行かれたことにしておきましょう。
なぜか、殿下は混乱なさっているお顔をしていらっしゃいますが、それはさておき、どのようにデゼール王国へ入国致しましょうか。原作ではどのようにデゼール王国は入国していたのかしら。
“まて、もう一人女がいるぞ”
“王女様はこの女もお望みかもしれん”
“少ないより、多い方がいいだろう”
そんな言葉が聞こえたかと思ったら、目の前から殿下のお姿が消え、転移魔法陣のある部屋に変わりました。
「わたくしも……?」
聖女でないわたくしまで、なぜ誘拐されてしまったのでしょうか?
「……悪役令嬢も連れてこられた?」
「えぇ、わたくしもなぜか転移させられてしまいましたわ」
ヒロインでも聖女でもないわたくしが、なぜ? わたくしは、公爵令嬢。我が公爵家を敵に回す意味をデゼール王国では理解されていないのでしょうか……?
そんな疑問を胸に抱きながら、そっとルチア様を抱きしめます。
「わたくしがなぜ転移させられたのかわかりませんが、ルチア様をお守りいたしますわ」
「ありがとう、悪役令嬢」
「おい、何をコソコソ話している!?」
「逃げ出されたら迷惑だ。あのお方にこいつらを見せる時まで、牢に入れて閉じ込めておこう」
「そうだな。あのお方にこの離宮では好きにしていいと言われているからな」
そう話すお方の手元には鍵があります。最悪、あの程度の鍵くらいならなんとでもなりますが、ルチア様とお話しする必要があるので、おとなしく捕えられておきましょう。
「ルチア様。わたくしたちは、おとなしく捕えられますわよ?」
そう言ったわたくしに、ルチア様はこくりと頷きます。牢へと連れて行かれたルチア様とわたくし。ふと、わたくしたちの見張りをさせられているお方を見ると、お耳が生えていらっしゃいます。もしかして、お噂に聞く獣人のお方でしょうか? もふもふしてみたいですわ……。
「……悪役令嬢。他の獣に興味持たないで」
「え!? な、なんのことでしょう? ルチア様、その言い方ではあなたがまるで」
そう言いながら、ルチア様の目元を見つめると獲物を狙い定める視線を……獣人のお方に……。
「お待ちなさい! ルチア様。あのお方に何をなさろうとしていらっしゃるの?」
「獣……美味しそう」
「おやめなさい、ルチア様。獣人は人間とカウントします。食べてはいけません」
「なぜ?」
「確かに、我が国への獣人の入国は禁じられておりますし、こちらの国でも奴隷として扱っているようです。しかし、我々と同じように思考し、」
「美味しそう」
「人の話をお聞きなさい!?」
「……だめ?」
「可愛い顔をしても、ダメなものはダメですわ! いい加減なさい? わたくしがダメと決めたのです。ダメに決まっておりますわ?」
「悪役令嬢がそこまで言うなら仕方ないか……。食べて良くなったら教えてね?」
「えぇ。絶対にありえませんけど、食べて良くなったら教えますから、絶対に食べてはいけませんわよ?」
「はぁい」
ルチア様は不満げでいらっしゃいます。こちらの国では、彼女から絶対目を離さないようにいたしましょう。何があっても。
「おい、お前たち。高貴なお方がお前たちにお会いする、と仰せだ。不敬のないように」
「わかりましたわ」
「誘拐した方が不敬……」
「しっ! 黙って頷いておきなさい、ルチア様」
わたくしが慌ててルチア様のお口を塞ぎます。こくこく頷くルチア様とわたくしの姿を見て、わたくしたちを牢から出しに来た男は、納得したようです。牢からだし、どこかへと連れて行きます。
「ほう。これが聖ルピテアの聖女か……って、二人?!」
「お久しぶりでございます。デゼール王国第一王女エミーラ様」
わたくしがデゼール王国での淑女の礼をとり、ご挨拶すると、エミーラ様は顔を真っ青にして口をパクパクしながら私を指差します。
「わ、お、ま、えら、」
「まあ、エミーラ様。人を指差すなんて……外交問題ですわね?」
「ひぇ!」
「王女様!? どうなさりました!? この女、殺しますか?」
「こ、殺すな! 頼むから殺すな!」
「では……」
「この女の記憶を消して、元の場所に誰にもバレないように返してこれるか?」
「はい」
まぁ、勝手に国に返されるなんて困りますわ。そんな身勝手な話し合いをなさるエミーラ様とその臣下の方のお話に割り込ませていただきます。
「まぁ、エミーラ様。わたくし、デゼール王国にせっかくきたのなら、観光を楽しみたいですわ? 勝手に人の記憶をいじろうとなさって、国に返そうとするなんて……ひどいですわ?」
わたくしが悲しそうな顔を向けると、エミーラ様は倒れられました。まぁ、大変ですわね。人がわらわらと集まってきて……。
「何事だ!?」
「あら? お久しぶりでございますわ。デゼール王国第一王子エミル様?」
わたくしが第一王子に微笑みを向けてそう申し上げると、第一王子は頭を抱えてしまわれました。
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