ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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マネージャーになりました

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 翌日私は学校に行き、陸上部の顧問の土浦先生に声をかける。

「宮久土先輩のマネージャーになりました。先輩のスケジュールを教えてください」

 声をかけたら、土浦先生は驚きの表情を浮かべた後で、
「やっと、やっとっ!あいつの膨大な荷物を預けられる奴が来てくれたのか!」
 と喜びの声をあげた。

 よかったよかった、と言って明らかに肩を撫でおろす先生を見て、私は少しいやな予感がする。

「前にマネージャーがいたんだが、知らないうちにやめてしまって。あいつは大会前日にも関わらずふらっと旅行に行こうとしたり、連絡が取れなくなったり、食べ放題チャレンジといってステーキや寿司を食べまくったりと。滅茶苦茶なんだ。前もって言っておいてもすぐに忘れるからな、絶対に前日に言っておかないといけない!」

 力説する先生を見ていたら、とんでもないことを自ら買って出てしまったのでは?と思ったのだ。

「ようやく、託せる奴が出て来てくれたんだな!」

 瞳をきらめかせ、期待を込めた眼差しで見てきた先生は、私にここ二年間の宮久土先輩の活動や成績、大会の予定のファイルを手渡してくる。

 さらには食事や練習に関する資料を手渡して、
「宮久土には少し生活スタイルを改善してほしいと思っていたんだ」
 と言うのだ。

 そこまでのことを私に出来るとは思えない。けれど、反論の余地もなく、
「後日トロフィーや賞状も渡すから。頼んだぞ、芦野!」
 そう言って私を送り出してくれた。

 どっさりと資料を抱えた私は途方に暮れる。けれど、頭に宮久土先輩のくるぶしが浮かぶ。あれを齧るには、ふさわしい時期があるはずだ。

 ――――こうなったら、とことんマネージャー業に邁進しよう!

 こうしてマネージャー業を買って出たことで、周りの環境がにわかにざわめき出すことを、このときの私には知る由もなかった。
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