ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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何もなかった?

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 宮久土先輩に抱きしめられたまま眠ってしまったことで、すっかり頭の中から吹っ飛んでしまっていたけれど。
 宮久土先輩はお父さんお母さんが亡くなったときのことを話してくれていた。

 事故の瞬間にチャイムの音を聞いていたから、チャイムを鳴らさないで、とかける先輩も言っていたのだと思う。
 話をしたら心に落ちてきた、と宮久土先輩は言っていた。
 いつもと一緒の雰囲気だったけれど、どこか厳かな感じだったのを覚えている。

 家から一緒に出たときに、手を繋がれた。
「ダメ?」
 と聞いてくるけれど、イヤじゃないので首を振る。

 私たちは付き合っているんだ、と感覚が降りて来て、急にドキドキしてきた。話をして紛らわせようとする。

「昨日はありがとうございます。おかげで怖くなかったです」
 と言ったら、宮久土先輩はこちらを見て来て、
「オレの方が先に寝落ちしてた?」
 と確認をしてきた。

「そうですね。スイッチオフになると一瞬で眠れるんですね?」
「そうだね、けど。なんで芦野さんもリビングに?」
 危険な質問だと思う。けれど、素直に答えた。

「宮久土先輩が寝ぼけて……」
 とまで言ったら、急に恥ずかしくなる。そしたら、
「襲った?」
 と先輩が尋ねてきた。

「いえっ!抱きしめてくれただけですっ!」
「襲ってるね」
 と淡々と言う。

「お、襲ってるわけじゃないですよ!寝ぼけていたみたいだし」
「うーん、ひょうに殺されるかも?」

「な、何もしてないですから!」
 多分。
 そんなやりとりをしながら学校に向かう。
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