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初めてのデートは電波塔の上へ

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 部屋に戻ってしばらくすると、部屋のドアがノックされた。ドアを開けたら、融がいて、
「少しだけ、飛びに出ませんか?」
 と言われる。

「飛びに?」
 繰り返せば、
「挑文師の姿で、少し遊びに出ませんか?」
 と天井を指差して融は言うのだ。私はニオの姿で挑文師の洗礼を受けていた。挑文師は鳥の名前を冠して、挑文師として送り出される。融はたしか、みみずくだと言っていたように思う。

「今ですか?」
「デートしましょう。ほとんど一緒に出かける機会がとれていませんでしたから」
 どうですか?と聞かれて、私はいきましょうと頷いた。気分転換がしたかったのはたしかだ。

 玄関から外に出れば、鼻先に冷気がかすめ、晩秋の気配がする。肌寒さに少しでも気を許せば、もの寂しさに心を持っていかれそうになる。
「どこに行きますか?」
 と尋ねたら、
「ついてきてください」
 と言い、融はみみずくに変化した。
 私も続いてニオに変化する。みみずくとニオ、取り合わせとしては異様だ。

 誘導されるままに飛んでいくと電波塔にたどり着いた。私たちは電波塔の先に降りたち、横並びにとまった。

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