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アライグマのおさんぽ

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 お姉さんは絡まって来る蔦や、コンクリートの床を突き破って生えてくる根っこを扇の刃で切り裂いていく。
「ルイしゃん、紅いお姉さんに護ってもらってください。私はこの人たちを成敗します」
「成敗だなんて、偉そうなことを言っても。劣等生では無理ですよ」
 男の人は言う。
 ルイがそこまで見ていたところで、紅い女の人が長く黒い爪を伸ばしてきて、ルイと座っている女の子を囲む。

「私は劣等生ですが。弟は結構、出来る奴なんですよ」
 とお姉さんは言って、両手の扇を広げた。その瞬間にお姉さんの片手が、別の人物の手になり、黒髪のお兄さんが出てくる。

 男の人と女の人は、え、と声をあげた。
 出てきたお兄さんの目の色はお姉さんと同じだ。顔つきはお姉さんと似ているけれど、ニヒルな笑い顔は、お姉さんとは似ていない。

「よ、久しぶり、姉さん。元気そうじゃん」
 とお兄さんが声をかけるので、
「久しぶり、千景」
 お姉さんも簡単に挨拶する。

「それに色々思い出した。私たちは――――」
「そうそう、ま。使うかどうかは、姉さん次第」

 そして、ニヒルなお兄さんは鉄扇を結んでいた鉄の紐を外して、男の人を縛りあげてしまった。同時にお姉さんもまた、自分の鉄の紐で女の人を縛りあげてしまう。

 あっという間の出来事に、ルイはすっかり驚いてしまった。そばにいた紅い女の人も、まあ、凄いですねとため息のような声を出す。

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