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結婚式の後に、二次会が行われた。バイキング形式の立食パーティだった。男女混合に座席を設定されて、みんなでプレゼントを競い合い、新郎新婦の馴れ初めに関するクイズを解く。ディズニーランドのペアチケットやら、旅行券やら、なんだかとても豪華だった。
美佳は白いウエディングドレスから青と橙の振袖姿にお色直しした。美佳に言わせると、海の青と太陽をイメージしているらしい。そしてさらに二次会で三度目のお色直し。オレンジ色のカラードレスで登場した。ウエディングドレスよりももっとふわふわで、胸元から裾に向かって大きなオレンジ色の花が咲いていた。
きっとたぶん美佳の仕業だろうけど、二次会では大智さんと同じテーブル席だった。非常に、気まずい。他の人がいてくれたおかげで、ふたり直接会話せず済んだが、目が合うたびにどうしていいのかわからなかった。
二次会が終わり、三次会にカラオケへ行こうという話があった。どうしようか迷っていると、ついに大智さんが話しかけてきた。
「スピーチ、とっても感動したよ」
「……ありがとうございます」
あんなスピーチ、思い返すだけでも恥ずかしい。美佳と真一に、これから何を言われるかわかったものじゃない。
「あのっ……」
謝らなければ。あの日の態度に。
「ごめんね、谷口さん。僕この間のこと、謝らなきゃいけないって思って」
なぜ、大智さんが謝るのだろう。子どもみたいに逃げたのは私の方なのに。
私は首を傾げた。
「謝らなければいけないのは、私の方っていうか……」
「いいや、谷口さんは何も悪くないよ。僕が、無神経だった」
鞄の中から一冊のノートを取り出して、私に差し出す。
「なんですか?」
「さっきね、真一くんからもらったんだ。僕が持っていた方がいいって」
ノートには、見覚えのある絵やら落描きがたくさんあった。これは、翔のお絵描きノートだ。
「真一くんの家で、落描きするのに使っていたノートなんだって。遊びに行っては落描きしていたんだって」
私も一度だけ、翔の絵を見た。翔は絵が上手だった。きっと生きていたら、漫画家になっていただろう。どこぞのど根性アニメの主人公並みに、諦めの悪い頑固な翔だから、自分の手で夢を掴み取っただろう。
パラパラとめくると、ノートの後半からおかしなことに気が付いた。
私だ。
ノートのあちこちに、私がいる。
「え? これ、私?」
誰かに似顔絵を描いてもらったことなんてなかったから、ノートの中の人が私だと気づくのに時間がかかった。
美佳は白いウエディングドレスから青と橙の振袖姿にお色直しした。美佳に言わせると、海の青と太陽をイメージしているらしい。そしてさらに二次会で三度目のお色直し。オレンジ色のカラードレスで登場した。ウエディングドレスよりももっとふわふわで、胸元から裾に向かって大きなオレンジ色の花が咲いていた。
きっとたぶん美佳の仕業だろうけど、二次会では大智さんと同じテーブル席だった。非常に、気まずい。他の人がいてくれたおかげで、ふたり直接会話せず済んだが、目が合うたびにどうしていいのかわからなかった。
二次会が終わり、三次会にカラオケへ行こうという話があった。どうしようか迷っていると、ついに大智さんが話しかけてきた。
「スピーチ、とっても感動したよ」
「……ありがとうございます」
あんなスピーチ、思い返すだけでも恥ずかしい。美佳と真一に、これから何を言われるかわかったものじゃない。
「あのっ……」
謝らなければ。あの日の態度に。
「ごめんね、谷口さん。僕この間のこと、謝らなきゃいけないって思って」
なぜ、大智さんが謝るのだろう。子どもみたいに逃げたのは私の方なのに。
私は首を傾げた。
「謝らなければいけないのは、私の方っていうか……」
「いいや、谷口さんは何も悪くないよ。僕が、無神経だった」
鞄の中から一冊のノートを取り出して、私に差し出す。
「なんですか?」
「さっきね、真一くんからもらったんだ。僕が持っていた方がいいって」
ノートには、見覚えのある絵やら落描きがたくさんあった。これは、翔のお絵描きノートだ。
「真一くんの家で、落描きするのに使っていたノートなんだって。遊びに行っては落描きしていたんだって」
私も一度だけ、翔の絵を見た。翔は絵が上手だった。きっと生きていたら、漫画家になっていただろう。どこぞのど根性アニメの主人公並みに、諦めの悪い頑固な翔だから、自分の手で夢を掴み取っただろう。
パラパラとめくると、ノートの後半からおかしなことに気が付いた。
私だ。
ノートのあちこちに、私がいる。
「え? これ、私?」
誰かに似顔絵を描いてもらったことなんてなかったから、ノートの中の人が私だと気づくのに時間がかかった。
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