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第3話 初対面
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スリーフ公爵の提案にのり、パトリックの睡眠改善に挑もうと手を上げるものは、なかなか現れなかった。
あれこれ試してダメだったことが知られていた為と思われる。
そんな中、リラック男爵家が手を上げた。
今 リラック男爵令嬢アデールは、スリーフ公爵令息と会うため、父に連れられ、スリーフ領へ向かっていた。
「お父様、彼がぐっすり眠れるようになれば、支援金のみ選択してもいいんですよね?」
「まあ、そうだが、お前も年頃であるし、縁談も望みたいな。」
はぁ~、やはりそうきたか。
後々 婚約者となる可能性がある方との初対面である為、母の厳しい指導でかなり頑張った仕上がりの私。
これでもかとコルセットを絞められての馬車移動。
結構辛いものがある。
だがリラック領を立て直すため、我慢だ。
財政難の為、衣装は元々あるものを着せられているものの、化粧や髪型は敏腕メイドのミラが頑張ってくれた。
父と馬車で出かけるのは、久しぶりだ。
まだ正式な縁談ではない為、母は留守番している。
スリーフ公爵邸へ到着。
公爵マルセル様と夫人イネス様へ挨拶していると、バタバタと令息パトリック様が入室してきた。
初めてお会いしたパトリック様は、釣書の姿絵が霞むほどキラキラとした外見だった。
姿絵が実物に負けるとは…いったいどれだけイケメンなんだ。
絵には表しきれない美貌ということか。
羨ましい。
父に促された私が挨拶をしようと、口を開こうとした、その時、初対面の彼が言った。
「君は、よく眠ってそうだ。実に羨ましい。」
はっ?はいっ?どういう意味でしょう?
私の見た目がそう見えると言いたいの?
確かに少々ぽっちゃり。
肌はもちもちふっくらしておりますが!
印象は最悪だった。
怒りに震える私を置いたまま、話が進んでいく。
私が彼の睡眠改善に取り組む期間は3ヶ月。
改善の有無に関わらず、取り組んだことに対して、リラック男爵家への支援を約束してくれた。
話し合いの途中、前払いで、いくらかの資金が父へと渡されたようだ。
もう私は逃げられない。
本腰を入れて、彼を眠りに導かなくてはならない。
私がコブシを握りしめ、決意を新たにしていると、
「きみは一体、何してるんだ?」とパトリック様が不機嫌な声で言った。
この人とは、本当に合わない。
それでも資金提供してもらえるのだから、仕事だと割り切ってやっていこう。
「これから僕のことは、パトリックと呼んでくれ。君のこともアデールと呼ばせてもらう。」と偉そうに言う。
確かに身分は高いし、それが普通なのだろう。
彼はそういう人だ、仕方がないと思うことにする。
パトリック様の睡眠改善に取り組むのは、3ヶ月。
その間、私はスリーフ公爵家に滞在することが決まった。
早速、客室へ案内される。
公爵家のメイド エマが私につくと紹介された。
父も今夜は泊まることになったが、明日には帰ってしまう。
私は1人公爵家に残されるのだ。
明日からやっていけるだろうか。
私は不安な夜を過ごした。
あれこれ試してダメだったことが知られていた為と思われる。
そんな中、リラック男爵家が手を上げた。
今 リラック男爵令嬢アデールは、スリーフ公爵令息と会うため、父に連れられ、スリーフ領へ向かっていた。
「お父様、彼がぐっすり眠れるようになれば、支援金のみ選択してもいいんですよね?」
「まあ、そうだが、お前も年頃であるし、縁談も望みたいな。」
はぁ~、やはりそうきたか。
後々 婚約者となる可能性がある方との初対面である為、母の厳しい指導でかなり頑張った仕上がりの私。
これでもかとコルセットを絞められての馬車移動。
結構辛いものがある。
だがリラック領を立て直すため、我慢だ。
財政難の為、衣装は元々あるものを着せられているものの、化粧や髪型は敏腕メイドのミラが頑張ってくれた。
父と馬車で出かけるのは、久しぶりだ。
まだ正式な縁談ではない為、母は留守番している。
スリーフ公爵邸へ到着。
公爵マルセル様と夫人イネス様へ挨拶していると、バタバタと令息パトリック様が入室してきた。
初めてお会いしたパトリック様は、釣書の姿絵が霞むほどキラキラとした外見だった。
姿絵が実物に負けるとは…いったいどれだけイケメンなんだ。
絵には表しきれない美貌ということか。
羨ましい。
父に促された私が挨拶をしようと、口を開こうとした、その時、初対面の彼が言った。
「君は、よく眠ってそうだ。実に羨ましい。」
はっ?はいっ?どういう意味でしょう?
私の見た目がそう見えると言いたいの?
確かに少々ぽっちゃり。
肌はもちもちふっくらしておりますが!
印象は最悪だった。
怒りに震える私を置いたまま、話が進んでいく。
私が彼の睡眠改善に取り組む期間は3ヶ月。
改善の有無に関わらず、取り組んだことに対して、リラック男爵家への支援を約束してくれた。
話し合いの途中、前払いで、いくらかの資金が父へと渡されたようだ。
もう私は逃げられない。
本腰を入れて、彼を眠りに導かなくてはならない。
私がコブシを握りしめ、決意を新たにしていると、
「きみは一体、何してるんだ?」とパトリック様が不機嫌な声で言った。
この人とは、本当に合わない。
それでも資金提供してもらえるのだから、仕事だと割り切ってやっていこう。
「これから僕のことは、パトリックと呼んでくれ。君のこともアデールと呼ばせてもらう。」と偉そうに言う。
確かに身分は高いし、それが普通なのだろう。
彼はそういう人だ、仕方がないと思うことにする。
パトリック様の睡眠改善に取り組むのは、3ヶ月。
その間、私はスリーフ公爵家に滞在することが決まった。
早速、客室へ案内される。
公爵家のメイド エマが私につくと紹介された。
父も今夜は泊まることになったが、明日には帰ってしまう。
私は1人公爵家に残されるのだ。
明日からやっていけるだろうか。
私は不安な夜を過ごした。
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