【完結】山猿?いえいえ立派な淑女ですわよ。

青井 海

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第25話 幸せに

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クラリスは十七歳となり、リアム王子との婚約式を行うことが決まった。
これを機に、彼女は王宮での王子妃教育に入ったが、切れ者の宰相は既に、王子妃教育のほとんどをクラリスに課していたようだ。
彼女の指導についた者たちは、「素晴らしい。」と彼女を褒め称えた。
婚姻はクラリスが十八歳になる一年後に、行われる予定だ。

二人の婚約式の場になんと、森の妖精 のりちゃん、ふーちゃん、ぐらちゃんがお祝いにと顔を出した。
みんなには見えていないようだ。
セルジュには見えるのだろう。
彼はワタワタ慌てている。

妖精さんがすぐ傍にいるのに、セルジュと私以外は誰も気づかない。
隣に座るリアム様も会わせてあげたいと、強く願う。
すると、リアム様の瑠璃色の瞳が、驚いたように真ん丸に開いた。
はっ、と彼が息を飲む音がして、私に小声で確認をとる。

「クラリス、あそこ、あそこに三人。あそこに。」興奮しているのだろう。あそこにから先が言えない彼。

「リアム様にも見えたんですね。そうです。彼らが私に助言をくれた妖精さんたちです。」

「すごい、クラリス、すごいよ。本当にいた!本当に会えた!」
小声でも興奮が隠し切れない彼をかわいいと思ってしまう。
「そうですね。ようやく認められたようですね。後で確認してみますが、『妖精の森』での面会も叶うかもしれませんね。」

リアム様は本当に嬉しそうだ。
ずっと会いたいと言ってましたものね。

婚約式の二人は、互いの色を纏った衣装、白をベースに金色と瑠璃色が使われたもの。互いの色が似ているため、揃いの衣装で寄り添って見えた。
本当に幸せそうで、光輝いていた。

それ以降、クラリスと一緒に『妖精の森』へお菓子を持参した時に限り、妖精たちは、リアム様の前にも現れるようになった。

妖精は姿を見せるが話をするのは、クラリスだけ。
それでも彼は満足な様子だ。
そのうち話せるようになるかもしれないし、ならないかもしれない。
全ては妖精の気持ち次第だ。


そして…
リアム二十歳、クラリス十八歳のある日、盛大な婚姻式が行われた。

雲ひとつ見当たらない青空の中、心地のよい風が吹き抜ける。
木の葉と草がカサカサと音を立ててそよぎ、小さな淡いピンクと白の花びらが辺りを舞っている。

森の妖精 のりちゃん、ふーちゃん、ぐらちゃんが二人のお祝いに駆けつけたのだ。

もちろん、彼らの姿はほとんどの人には見えず、今回もまたセルジュだけがワタワタ慌てている。

その中を純白の衣装に包まれた金髪、瑠璃色の瞳の美しい二人がゆっくりと進んで行く。
それはまるで夢のような光景で、妖精に祝福された婚姻式として後々まで語り継がれた。

リアムとクラリスの新居には、クラリス専用のキッチンが作られた。
そして、休日にはお菓子を持った二人が仲睦まじい様子で『妖精の森』へと消えていく姿が度々、目撃されたという。









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みんなの感想(1件)

penpen
2022.02.22 penpen

HOTランキング入りおめでとう御座います(((ヾ(。´∀`。)o尸~~~

2022.02.22 青井 海

ありがとうございます♪
すごく嬉しい、嬉しいです。

解除

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