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第6話 馬に乗る
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さあ、出発しよう。
頬をパンパンと叩き、気合いを入れる。
今日は昨日よりいっぱい歩いて、できるだけ街へ近づかないと…
「ツムギは馬に乗ったことあるか?」
唐突にジルが聞いてきた。
なぜ馬に乗れるか確認を?
私の不思議がる様子に気づいた彼が補足する。
「スノーもしっかり休んで元気になったことだし、そろそろ馬で移動しようかと思うんだが。」
えっ、馬で移動?
確かに馬だと早く街へつけるだろう。
でも馬に乗るなんて、私にできる?
「そう構えなくて大丈夫だ。僕が一緒だから。乗れるのなら後ろに捕まってもらおうかと…」
「ごめんなさい。乗れません。馬になんて乗ったことない。」
「わかった。じゃあ、ツムギは僕の前に座って、ゆっくり進むし、落ちないようにしっかり支えるから。」
「はい、よろしくお願いします。」
パンツ姿でよかった。
スカートじゃ、馬に乗るなんて無理だったよ。
立ち上がったスノーは結構高くて、自力では乗れそうにない。
スノーの横で考えこんでいると、スノーがなんと、足を折り曲げてしゃがんでくれたのだ。
すこい、スノーは私の気持ちがわかったのかな。
私は恐る恐るスノーな跨がる。
スノーが立ち上がると、揺れて落ちそう。
内腿に力を入れて必死にしがみついたがバランスをとるのが難しい。
あわや落ちるかというところでジルが飛び乗り、後ろから支えてくれた。
私は運動神経には自信があった。
体育はいつも最高評価。
それでも馬に乗るのは難しい。
彼か支えてくれて、ほっとした。
馬の上は結構高いのだ。
スノーが動くと、すごく揺れる。
後から考えると、ジルに後ろから支えられ、密着して恥ずかしいのだが、馬に跨がる私には恥ずかしがる余裕など全くなく、とにかく必死だった。
「そろそろ降りて休憩するか?」と聞かれたが、一度降りるとまた乗れる自信はない。
「私は大丈夫。スノーに休憩が必要だと判断した時に休憩しよう。」と伝えた。
このままできるだけ街を目指してもらう。
だが、ジルの判断は正しかった。
結局は私が辛抱できず、休憩を願い出た。
乗り慣れない私にこそ休憩が必要だったようだ。
とにかくお尻と太ももが痛い。
ううっ。
長時間、馬での移動は叶わなかったが、それでも徒歩で進むよりは先へ進めたんじゃないだろうか。
川沿いでスノーから降りる。
スノーはすぐに川で水を飲み、周りの草をムシャムシャと食べ始めた。
スノーも疲れたよね。
私も水筒に新しい水をくみ、辺りを見渡す。
「ジル、あそこに果実らしきものが… あれって何かわかる?食べられるのかな?」
「へっ? ダメだ。苦くて動物も食べない。」
はぁ、がっかりだ。
黄色い丸い実で、柑橘類に見えるのに、
「ねぇ。じゃぁあれは?」
赤くて小さな実。木苺みたい。
「あー、あれは食べられるよ。」
ジルの言葉を聞き、すぐ取りに向かう。
筋肉痛みたい。
変な歩き方だが、なんとかたどり着いた。
一粒口へと運ぶ。
甘味が少ない。
それでも甘酸っぱくて、疲れた体に染み渡る。
頬をパンパンと叩き、気合いを入れる。
今日は昨日よりいっぱい歩いて、できるだけ街へ近づかないと…
「ツムギは馬に乗ったことあるか?」
唐突にジルが聞いてきた。
なぜ馬に乗れるか確認を?
私の不思議がる様子に気づいた彼が補足する。
「スノーもしっかり休んで元気になったことだし、そろそろ馬で移動しようかと思うんだが。」
えっ、馬で移動?
確かに馬だと早く街へつけるだろう。
でも馬に乗るなんて、私にできる?
「そう構えなくて大丈夫だ。僕が一緒だから。乗れるのなら後ろに捕まってもらおうかと…」
「ごめんなさい。乗れません。馬になんて乗ったことない。」
「わかった。じゃあ、ツムギは僕の前に座って、ゆっくり進むし、落ちないようにしっかり支えるから。」
「はい、よろしくお願いします。」
パンツ姿でよかった。
スカートじゃ、馬に乗るなんて無理だったよ。
立ち上がったスノーは結構高くて、自力では乗れそうにない。
スノーの横で考えこんでいると、スノーがなんと、足を折り曲げてしゃがんでくれたのだ。
すこい、スノーは私の気持ちがわかったのかな。
私は恐る恐るスノーな跨がる。
スノーが立ち上がると、揺れて落ちそう。
内腿に力を入れて必死にしがみついたがバランスをとるのが難しい。
あわや落ちるかというところでジルが飛び乗り、後ろから支えてくれた。
私は運動神経には自信があった。
体育はいつも最高評価。
それでも馬に乗るのは難しい。
彼か支えてくれて、ほっとした。
馬の上は結構高いのだ。
スノーが動くと、すごく揺れる。
後から考えると、ジルに後ろから支えられ、密着して恥ずかしいのだが、馬に跨がる私には恥ずかしがる余裕など全くなく、とにかく必死だった。
「そろそろ降りて休憩するか?」と聞かれたが、一度降りるとまた乗れる自信はない。
「私は大丈夫。スノーに休憩が必要だと判断した時に休憩しよう。」と伝えた。
このままできるだけ街を目指してもらう。
だが、ジルの判断は正しかった。
結局は私が辛抱できず、休憩を願い出た。
乗り慣れない私にこそ休憩が必要だったようだ。
とにかくお尻と太ももが痛い。
ううっ。
長時間、馬での移動は叶わなかったが、それでも徒歩で進むよりは先へ進めたんじゃないだろうか。
川沿いでスノーから降りる。
スノーはすぐに川で水を飲み、周りの草をムシャムシャと食べ始めた。
スノーも疲れたよね。
私も水筒に新しい水をくみ、辺りを見渡す。
「ジル、あそこに果実らしきものが… あれって何かわかる?食べられるのかな?」
「へっ? ダメだ。苦くて動物も食べない。」
はぁ、がっかりだ。
黄色い丸い実で、柑橘類に見えるのに、
「ねぇ。じゃぁあれは?」
赤くて小さな実。木苺みたい。
「あー、あれは食べられるよ。」
ジルの言葉を聞き、すぐ取りに向かう。
筋肉痛みたい。
変な歩き方だが、なんとかたどり着いた。
一粒口へと運ぶ。
甘味が少ない。
それでも甘酸っぱくて、疲れた体に染み渡る。
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