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読み切り短編
正しいのは、律がいないこと。
しおりを挟む🐰「ai」の正規ルートのお話です。
🐰つまり、私が考えていた本当の「ai」のラストのお話です。16話以降の話を掲載します。
🐰今後、更新される第2部は正規ルートではない「生き残ったよif」の世界線のお話なのです。
(以前、BLveかTwitterか忘れましたがこの話もどこかでしたような・・・。だから、更新し続けるのを躊躇いましたが、ご要望がうれしかっため書きます!)
🐰あくまでも残念ながらこっちが本当の2人の世界線になります。
🐰今回は内容が重すぎるのと、1記事に収めるため由伊の独白メインに書いています。もし、文庫本等に収録する際や単独本としてこの物語を発行する時は、三人称視点で文崇や由伊家、宇巳や仲野さんとのやりとりなどの伏線回収も描く予定です。
⚠️火事表現、死生観などが強く描かれていますので、精神的に余裕がある・今元気だよという方のみ読むのをお勧めします。
見守ってあげてください。
よろしくお願いします。
――――――
律くんが、死んだ。
炎に飲まれて死んだから、わざわざ焼かなくても良かった。
誰かが覆い被さって、律くんらしき骨はその誰かに庇われるような形で骨として転がっていたらしい。
その話は朧げで、俺は現実がどこか分からぬまま宙を見つめていた。
律の父親である文崇さんはショックの余りか、事件が発覚後倒れ憔悴。錯乱して精神病棟へ入院となった。
文字通り遺されたのは何故か、血の繋がっていない俺ら由伊家。
全くの赤の他人の俺らが、まるで家族を1人失ったかのような喪失感を抱えているのは、余りにも宮村家に関わってしまったからだろう。
喪主は文崇さんが務めたが、父さんに支えられて何も話せることなく用意したカンペも意味をなさないほどに泣き崩れ、父さんが急遽、代読していた。
親族だけの葬儀は、文崇さんと由伊家しかいなくて酷く簡素で質素な葬儀だった。
遺影の中の律くんは、ただ笑っていた。
その写真は、8歳になる前の幼い写真――……律くんが事件に遭う直前のものだった。
選んだのは文崇さん。
どんな思いで成長し切る前の彼の幼い顔を選んだのか、俺らには分からなかった。ただその文崇さんの選択に誰も口を出すことはなくて、淡々と選ばれた写真を業者に引き伸ばしてもらって、遺影にした。
完成された写真が額縁に飾られ、葬儀屋でそれが置かれた時にやっとその写真の中の律くんの少し奥まったところにある乳歯が抜けていることに気づいた。
歯の抜け替わりの時期だろうから、当たり前のことなのになんでかそれを見た時に心が紙のようにぐしゃぐしゃになった感覚に襲われた。
誰もが余計なことは喋らず、誰もが笑わず、誰もが文崇さんを憂い、俺はどうしたら良いのか分からないまま言われるがままに律くんを弔う準備を手伝うだけだった。
被疑者死亡のまま送検され、怒りも悲しみもぶつけられる相手がどこにもいないまま、律くんもいなくなり、律くんと文崇さんが頑張って過ごしてきた証である家もなくなった。
律くんのお母さんのお骨も全てなくなった。
宮村家が存在していたことが虚像だったかのように、一瞬にして何もかもがなくなった。
正月のめでたいニュースの中、地元のニュース番組では宮村家の火災が報じられたが所詮その程度。
俺は何度も何度も、焼けた家の跡地を見に行っては何もないことを目に焼き付けて家に帰る。
悲しいかな、俺にはまだ帰る家があって俺の家族は誰一人欠けていない。
どうして律くんだった?
どうして彼じゃないといけなかった?
家に帰ると、誰も何も話さずテレビもつけずに、それでも何故か全員がリビングに集まり各々黙って何かをしていた。
俺も俺の家族も何も消化しきれていない。
それは勿論、文崇さんも同じだ……というか、文崇さんこそが全てを失ったのだ。
愛する妻も息子も家も。
精神病棟では何度も自殺未遂を繰り返しているらしく、拘束具をつけなくてはいけないほど日々に絶望していると聞いた。
面会など勿論いけるわけがなく。
行ったところで自分が何かできるわけもない。
彼に会って誰が何を言えるのだろうか。
律くんは失ったが、律くんしか失っていない自分らが、全てを失った人に何が言える?
何も言う権利はない。
会える理由がない。
俺は、ただいまも言わず自室へと入り、ベッドへと寝転んだ。
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