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第三章 世界樹の守護者
第26話 世界樹の守護者になる条件
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ニーアーライルが来た。
それだけで十分だった。
ミカゲもあの戦いには参加していた。
ただ、完全なる御影の力は封印して、今の角っ子亜人の少女のままで戦っていたので、ミカゲの中でもあの戦争の事はずっと不完全燃焼で、いつかどこかでソルフゲイルには一泡吹かせてやろうと思っていたのだ。
「分かったち。あちしもニーアーライルの力になりたいお!だからとりあえず、セレスがお母さん探しに行っている間の世界樹の守護者の代理の代理は、あちしが引き受けるち!」
と、ミカゲは言った。
「え?!そんな事出来るんすか?!」
口を開いたのはグレアラシルだった。
確かに、こんな代理の代理を立てられるという事実を、世界樹のお膝元のクレモストナカの学校でも、誰も教えてくれることは無かっただろう。
それに、そもそも基本的に世界樹の守護者は竜がするものと昔から言い伝えられていて、ルキソミュフィアの世界樹の守護者も竜がやっているし、ソルフゲイル北西に位置する『レイネリー・レイルブルク』の世界樹の守護者も竜が担っているし、メルヴィレッジの北に位置する国『アルメイレ』でも、かなりの高齢の竜が世界樹の守護者をやっている。
メルヴィレッジの世界樹の守護者がエルフだったのは、本当にたまたまで、世界樹の守護が出来る程の生命エネルギーのある生命体となった時に、たまたま近くに居たエルフに白羽の矢が当たった。
と言う事らしい。
その辺の詳細は古代の文献を読み漁らないと分からない所だそうなので、その辺は後々専門家に分析してもらうしか無さそうだ。
「基本的には、生命力が高ければ人間でも出来るはずだが、その任期はえらく短命になってしまうだろうな。アタシやミカゲに代理が務まるのは、長命種族だからって言うのもあるし、アタシの場合は特に世界樹の因子が身体の中にある所為で、それで母の代理をやって行けてるというのもある。しかも守護者になると身体の感覚が世界樹と一部繋がった様な状態になるからね。だから、どこかの馬鹿が世界樹に傷をつけると当然守護者の身体にも痛みが走ったりする訳よ。」
そう言いながらセレスは、辛くない料理ばかりを口に運んでもぐもぐした。
もぐもぐしながら「うんうん」と自分で言っていた。
「母はどんな経緯であの状態になっていたのか分からないけど、オヤジが最初に見つけた時は世界樹との融合率が高くて、守護者と言うよりも一心同体に近い状態だったそうだよ。それを何か色々オヤジがやって、ようやく母は母個人としての意識を回復したみたい。それからはもう~ぐんぐん個人と言うか母の人生が変わって行って、とうとう諸国を漫遊する世界一周の旅に出るとか言い始めた訳。」
そう言うと、肉料理の近くに山積みになっていたロールパンに手を伸ばした。
「そのパン、帰り道でいつものパン屋さんのオジサンが、今日は発酵が進んで生地が凄い増えちゃって、ロールパンがたくさん焼けたんだよ~って言って、くれたんだち。」
ミカゲもパンを頬張りながら、そのロールパンを貰った経緯を話す。
「多分アレだち。この間セレスが開発した、ちょっとの量でも結構発酵するって言う菌の所為なんだち!」
言いながら、次々に口の中に放りこんでいた。
「パンの話はまぁ今は置いといて、そんな感じで長い間自由を奪われていた母が、自由を手にして諸国漫遊の旅に出てから約150年近くは経っているからね、そろそろアタシの都合も考えて戻って来て欲しい気もするんだけど、全然そんな気配も無いから、探しに行きたい所なんだけど・・・・・」
と言い終わると、また深いため息をついたあと、ロールパンを小さくちぎって口の中に放り込んだ。
一通りのセレスの話にジっと耳を傾けていたグレアラシルは、話の途中でも相槌も打てずに辛い郷土料理を一人もくもくと食べていた。
グレアラシル的には、この世界樹の守護者の代理をしているセレスに代わって一時的にミカゲが代理になっている間に、セレスが行方不明中の母親を探しに行く~と言うのまでは、とりあえず頭に入った様だった。
「ええーっとつまり、姐さんが自由に動いてお母さん探すために、ミカゲさんが一時的に世界樹の守護者をやるって事でイイんですよね?俺って物分かりが遅いから、合ってるか分からないけど・・・・」
グレアラシルは、口に入っていたものを飲み込んでから、セレスとミカゲが言っていた事をまとめて話した。
「そうそう!合ってる合ってる!全然大丈夫だ、心配するなよグレ!」
セレスはグレアラシルを褒めた。
「理解が早くて助かるよ。って事で、明日は早朝からクレモストナカに行くから、グレもミカゲも準備しておくように!」
と、セレスは締めくくった。
セレスの言い方だと、明日すぐにクレモストナカに着く様な言いっぷりだったので、グレアラシルは疑問に思って尋ねる。
「何か、姐さんの言い方だと、朝からすぐクレモストナカに着く様な言い方っすけど、この街からクレモストナカまで竜タク使わないで徒歩や馬車で行くと、片道3日位かかるんすけど・・・?」
恐る恐るグレアラシルはセレスに尋ねる。
するとセレスは、
「いんや、明日すぐにクレモストナカに着くよ、だってな~~、コイツに乗って行くからな!」
と言って、ミカゲを指さした。
思い出して欲しい、ミカゲは普段は角っ子亜人の少女だが、その実態は巨大な古の魔のドラゴンなのだという事を。
その事に気付いたグレアラシルは、目の前でパンをもぐもぐ食べ続けるミカゲを目にしながらも竜の姿を想像して、急激に恐怖した。
それだけで十分だった。
ミカゲもあの戦いには参加していた。
ただ、完全なる御影の力は封印して、今の角っ子亜人の少女のままで戦っていたので、ミカゲの中でもあの戦争の事はずっと不完全燃焼で、いつかどこかでソルフゲイルには一泡吹かせてやろうと思っていたのだ。
「分かったち。あちしもニーアーライルの力になりたいお!だからとりあえず、セレスがお母さん探しに行っている間の世界樹の守護者の代理の代理は、あちしが引き受けるち!」
と、ミカゲは言った。
「え?!そんな事出来るんすか?!」
口を開いたのはグレアラシルだった。
確かに、こんな代理の代理を立てられるという事実を、世界樹のお膝元のクレモストナカの学校でも、誰も教えてくれることは無かっただろう。
それに、そもそも基本的に世界樹の守護者は竜がするものと昔から言い伝えられていて、ルキソミュフィアの世界樹の守護者も竜がやっているし、ソルフゲイル北西に位置する『レイネリー・レイルブルク』の世界樹の守護者も竜が担っているし、メルヴィレッジの北に位置する国『アルメイレ』でも、かなりの高齢の竜が世界樹の守護者をやっている。
メルヴィレッジの世界樹の守護者がエルフだったのは、本当にたまたまで、世界樹の守護が出来る程の生命エネルギーのある生命体となった時に、たまたま近くに居たエルフに白羽の矢が当たった。
と言う事らしい。
その辺の詳細は古代の文献を読み漁らないと分からない所だそうなので、その辺は後々専門家に分析してもらうしか無さそうだ。
「基本的には、生命力が高ければ人間でも出来るはずだが、その任期はえらく短命になってしまうだろうな。アタシやミカゲに代理が務まるのは、長命種族だからって言うのもあるし、アタシの場合は特に世界樹の因子が身体の中にある所為で、それで母の代理をやって行けてるというのもある。しかも守護者になると身体の感覚が世界樹と一部繋がった様な状態になるからね。だから、どこかの馬鹿が世界樹に傷をつけると当然守護者の身体にも痛みが走ったりする訳よ。」
そう言いながらセレスは、辛くない料理ばかりを口に運んでもぐもぐした。
もぐもぐしながら「うんうん」と自分で言っていた。
「母はどんな経緯であの状態になっていたのか分からないけど、オヤジが最初に見つけた時は世界樹との融合率が高くて、守護者と言うよりも一心同体に近い状態だったそうだよ。それを何か色々オヤジがやって、ようやく母は母個人としての意識を回復したみたい。それからはもう~ぐんぐん個人と言うか母の人生が変わって行って、とうとう諸国を漫遊する世界一周の旅に出るとか言い始めた訳。」
そう言うと、肉料理の近くに山積みになっていたロールパンに手を伸ばした。
「そのパン、帰り道でいつものパン屋さんのオジサンが、今日は発酵が進んで生地が凄い増えちゃって、ロールパンがたくさん焼けたんだよ~って言って、くれたんだち。」
ミカゲもパンを頬張りながら、そのロールパンを貰った経緯を話す。
「多分アレだち。この間セレスが開発した、ちょっとの量でも結構発酵するって言う菌の所為なんだち!」
言いながら、次々に口の中に放りこんでいた。
「パンの話はまぁ今は置いといて、そんな感じで長い間自由を奪われていた母が、自由を手にして諸国漫遊の旅に出てから約150年近くは経っているからね、そろそろアタシの都合も考えて戻って来て欲しい気もするんだけど、全然そんな気配も無いから、探しに行きたい所なんだけど・・・・・」
と言い終わると、また深いため息をついたあと、ロールパンを小さくちぎって口の中に放り込んだ。
一通りのセレスの話にジっと耳を傾けていたグレアラシルは、話の途中でも相槌も打てずに辛い郷土料理を一人もくもくと食べていた。
グレアラシル的には、この世界樹の守護者の代理をしているセレスに代わって一時的にミカゲが代理になっている間に、セレスが行方不明中の母親を探しに行く~と言うのまでは、とりあえず頭に入った様だった。
「ええーっとつまり、姐さんが自由に動いてお母さん探すために、ミカゲさんが一時的に世界樹の守護者をやるって事でイイんですよね?俺って物分かりが遅いから、合ってるか分からないけど・・・・」
グレアラシルは、口に入っていたものを飲み込んでから、セレスとミカゲが言っていた事をまとめて話した。
「そうそう!合ってる合ってる!全然大丈夫だ、心配するなよグレ!」
セレスはグレアラシルを褒めた。
「理解が早くて助かるよ。って事で、明日は早朝からクレモストナカに行くから、グレもミカゲも準備しておくように!」
と、セレスは締めくくった。
セレスの言い方だと、明日すぐにクレモストナカに着く様な言いっぷりだったので、グレアラシルは疑問に思って尋ねる。
「何か、姐さんの言い方だと、朝からすぐクレモストナカに着く様な言い方っすけど、この街からクレモストナカまで竜タク使わないで徒歩や馬車で行くと、片道3日位かかるんすけど・・・?」
恐る恐るグレアラシルはセレスに尋ねる。
するとセレスは、
「いんや、明日すぐにクレモストナカに着くよ、だってな~~、コイツに乗って行くからな!」
と言って、ミカゲを指さした。
思い出して欲しい、ミカゲは普段は角っ子亜人の少女だが、その実態は巨大な古の魔のドラゴンなのだという事を。
その事に気付いたグレアラシルは、目の前でパンをもぐもぐ食べ続けるミカゲを目にしながらも竜の姿を想像して、急激に恐怖した。
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