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第四章 ソルフゲイルの謀略
第52話 魔力質量の反転
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『古の神よりもたらされし聖なる弓よ、我が名はセレスフィル・アズワルド・トトアトエ。
我の命に従い、その身を分かち依代に顕現せよ!
アリエルシアの弓!!』
セレスが依代に向かって最後の詠唱を終えると、今まで何となくそっくりな弓?の様だった金属が、みるみる本物のアリエルシアの弓の形を取って行く。
「本当、凄いです・・・・ウチに飾ってある弓と殆ど瓜二つです!!」
コレットが驚愕するほどに、そっくりそのままの『アリエルシアの弓』が完成した。
セレスは一息、ため息の様な深い息を吐くと、その場にへたり込んだ。
「いや~~、いやいや疲れた。緊張したわ~。今回は武器の英霊を召喚すると言うよりは、神の半身を召喚する感じ?だったから、上手く依代に定着してくれるかどうかは賭けだったんだけど、ちゃんと出来上がって良かったよ。」
と、実は結構この複製品の弓を作る作業がギリギリの状態だったことを明かした。
「と言う事はセレス、お前は私達に出来るかどうかも微妙な作業を手伝わせていた?と言う事になるのだが、失敗した時はどんな言い訳を考えていたのか?私には知る権利があると思うのだが?」
疲労困憊気味のセレスに、容赦無い一言をソフィアステイルは浴びせる。
それに対して苦笑いしながら、
「確かに、ギリギリで失敗するかも知れない不安はあったんだけど、こんなに凄い面子の前で降りてこない神様なんて大した事無いんじゃないの?教え子も見ているし、格好つけたくて少しは顔出し位はしてくるんじゃないのかな?と思いながら術をかけてたんだよね。だからまぁ、何となくだけど失敗は無いかなーと思って言い訳なんて考えてなかったんだよ、オバサン。」
と、セレスはにこやかな顔でソフィアステイルに返答した。
その顔を見たソフィアステイルは、こちらは本当に深いため息をつきながら、
「お前のその、強運と言うか何かは多分引き寄せの力の所為なのかと思ってたが、本当にお前自身の強運の所為だったのだと改めて実感したよ。」
そう言って、やれやれと言うように手を振った。
そうして、ついに今『アリエルシアの弓』の完全ではないけどほぼ同じ品質の模造品?が完成したのだが、これを一体どうやってコレットの家の廊下にある本物とすり替えるのか?が、現段階の課題になっていた。
「私の家の弓は、玄関先の廊下にあるので人目に付きやすいんですが、ただそこに有るのが当たり前になっているのと玄関の近くに置いてあるので少し警備が手薄なんです。」
警備が手薄・・・と言う単語に、集まっていた皆が食いついた。
「え?何で警備が手薄なんだ?そんなに弓を盗まれたいのかな?」
と、ベルフォリスが言うと、
「多分、この弓がまさか本物だとは誰も思ってないんだち!皆そっくりの模造品だと思ってるから、盗もうと思わないんだち!」
ミカゲが自説を唱えてエッヘン顔になっている。
「ミカゲの説が正しかろうの。人間は本物かどうかを調べるよりも自分の勘を信じる生き物じゃからの。それは偽物に違いない、模造品なんて持っていても部屋の幅を取るだけじゃ~とか思うのが関の山じゃの。」
レオルステイルがそう言うと、周囲の皆はうんうんと首を縦に振った。
「となると、本物の『アリエルシアの弓』と偽物をすり替えるのに『門』が使えるかも知れないな。」
セレスは、その場にヘタり込んだ状態のまま腕組みをして頷いている。
「え、でも、『門』は魔力的質量が莫大だから、コレットの家みたいな魔道士一家や周辺の住民に気付かれる可能性が高いって・・・。」
ベルフォリスが心配そうにセレスの顔を覗き込む。
「確かにね、そうなんだ本来は。『慟哭の門』なんて使ったら一発で周囲は厳戒態勢になる可能性が高い。けど、この『慟哭の門』の突き抜けた魔力質量を反転させたらどうかな?って。」
「反転?」
魔力質量の反転と言う、初めて聞いた言葉にコレットは目を白黒させながら、
「魔力質量って反転させる事が出来るんですが?これが本当なら、私の家の玄関先に来る『門』の質量は・・・?」
「ネズミ位の大きさになると思うよ?」
セレスはまた、にっこり笑ってそう言った。
「簡単に言ってくれるじゃないか?セレス。魔力質量の反転は可能だが、その分この私に負担がかかって来るのを分かって行っているのだろうね?」
魔力質量の反転と言う、面倒臭い事をやれと言われた様な状態のソフィアステイルは、少々怒り混じりにセレスに詰め寄る。
「簡単に、ちょっとパンを焼いてみようか?みたいな気軽さで言っている様だけど、その時に私にかかる負担をどう軽減してくれると言うのか説明してもらおうかな?」
ソフィアステイルは、納得の行く説明が得られなかったらセレスを八つ裂きにでもしそうな形相で詰め寄った。
セレスは、まぁまぁまぁまぁと言いながら、
「その方法は母さんの力を使えば何とかなると思っているんだよね。」
と、アッサリ方法の話をし始めた。
「レオルの?力にそんな要素があっただろうか?」
ソフィアステイルは少しの間逡巡した後、ハっとなって何かを思い出した。
「分かったぞ、世界樹との繋がりを利用するのだな・・・?」
このソフィアステイルの言葉にセレスは、
「そうそう、実はそうなんだ。オバサンが気付いてくれて説明の手間が~省けてないから説明するけど、要は世界樹に反転した時に暴走する魔力を一時的に保管して、色々終わったらまた戻す方式にするんだよね。世界樹ならアタシも繋がっていた時に色々調べたけど、『慟哭の門』位の魔力を一時的に流し込んだとしても全く影響がないんだよね。」
と、朗らかに説明した。
我の命に従い、その身を分かち依代に顕現せよ!
アリエルシアの弓!!』
セレスが依代に向かって最後の詠唱を終えると、今まで何となくそっくりな弓?の様だった金属が、みるみる本物のアリエルシアの弓の形を取って行く。
「本当、凄いです・・・・ウチに飾ってある弓と殆ど瓜二つです!!」
コレットが驚愕するほどに、そっくりそのままの『アリエルシアの弓』が完成した。
セレスは一息、ため息の様な深い息を吐くと、その場にへたり込んだ。
「いや~~、いやいや疲れた。緊張したわ~。今回は武器の英霊を召喚すると言うよりは、神の半身を召喚する感じ?だったから、上手く依代に定着してくれるかどうかは賭けだったんだけど、ちゃんと出来上がって良かったよ。」
と、実は結構この複製品の弓を作る作業がギリギリの状態だったことを明かした。
「と言う事はセレス、お前は私達に出来るかどうかも微妙な作業を手伝わせていた?と言う事になるのだが、失敗した時はどんな言い訳を考えていたのか?私には知る権利があると思うのだが?」
疲労困憊気味のセレスに、容赦無い一言をソフィアステイルは浴びせる。
それに対して苦笑いしながら、
「確かに、ギリギリで失敗するかも知れない不安はあったんだけど、こんなに凄い面子の前で降りてこない神様なんて大した事無いんじゃないの?教え子も見ているし、格好つけたくて少しは顔出し位はしてくるんじゃないのかな?と思いながら術をかけてたんだよね。だからまぁ、何となくだけど失敗は無いかなーと思って言い訳なんて考えてなかったんだよ、オバサン。」
と、セレスはにこやかな顔でソフィアステイルに返答した。
その顔を見たソフィアステイルは、こちらは本当に深いため息をつきながら、
「お前のその、強運と言うか何かは多分引き寄せの力の所為なのかと思ってたが、本当にお前自身の強運の所為だったのだと改めて実感したよ。」
そう言って、やれやれと言うように手を振った。
そうして、ついに今『アリエルシアの弓』の完全ではないけどほぼ同じ品質の模造品?が完成したのだが、これを一体どうやってコレットの家の廊下にある本物とすり替えるのか?が、現段階の課題になっていた。
「私の家の弓は、玄関先の廊下にあるので人目に付きやすいんですが、ただそこに有るのが当たり前になっているのと玄関の近くに置いてあるので少し警備が手薄なんです。」
警備が手薄・・・と言う単語に、集まっていた皆が食いついた。
「え?何で警備が手薄なんだ?そんなに弓を盗まれたいのかな?」
と、ベルフォリスが言うと、
「多分、この弓がまさか本物だとは誰も思ってないんだち!皆そっくりの模造品だと思ってるから、盗もうと思わないんだち!」
ミカゲが自説を唱えてエッヘン顔になっている。
「ミカゲの説が正しかろうの。人間は本物かどうかを調べるよりも自分の勘を信じる生き物じゃからの。それは偽物に違いない、模造品なんて持っていても部屋の幅を取るだけじゃ~とか思うのが関の山じゃの。」
レオルステイルがそう言うと、周囲の皆はうんうんと首を縦に振った。
「となると、本物の『アリエルシアの弓』と偽物をすり替えるのに『門』が使えるかも知れないな。」
セレスは、その場にヘタり込んだ状態のまま腕組みをして頷いている。
「え、でも、『門』は魔力的質量が莫大だから、コレットの家みたいな魔道士一家や周辺の住民に気付かれる可能性が高いって・・・。」
ベルフォリスが心配そうにセレスの顔を覗き込む。
「確かにね、そうなんだ本来は。『慟哭の門』なんて使ったら一発で周囲は厳戒態勢になる可能性が高い。けど、この『慟哭の門』の突き抜けた魔力質量を反転させたらどうかな?って。」
「反転?」
魔力質量の反転と言う、初めて聞いた言葉にコレットは目を白黒させながら、
「魔力質量って反転させる事が出来るんですが?これが本当なら、私の家の玄関先に来る『門』の質量は・・・?」
「ネズミ位の大きさになると思うよ?」
セレスはまた、にっこり笑ってそう言った。
「簡単に言ってくれるじゃないか?セレス。魔力質量の反転は可能だが、その分この私に負担がかかって来るのを分かって行っているのだろうね?」
魔力質量の反転と言う、面倒臭い事をやれと言われた様な状態のソフィアステイルは、少々怒り混じりにセレスに詰め寄る。
「簡単に、ちょっとパンを焼いてみようか?みたいな気軽さで言っている様だけど、その時に私にかかる負担をどう軽減してくれると言うのか説明してもらおうかな?」
ソフィアステイルは、納得の行く説明が得られなかったらセレスを八つ裂きにでもしそうな形相で詰め寄った。
セレスは、まぁまぁまぁまぁと言いながら、
「その方法は母さんの力を使えば何とかなると思っているんだよね。」
と、アッサリ方法の話をし始めた。
「レオルの?力にそんな要素があっただろうか?」
ソフィアステイルは少しの間逡巡した後、ハっとなって何かを思い出した。
「分かったぞ、世界樹との繋がりを利用するのだな・・・?」
このソフィアステイルの言葉にセレスは、
「そうそう、実はそうなんだ。オバサンが気付いてくれて説明の手間が~省けてないから説明するけど、要は世界樹に反転した時に暴走する魔力を一時的に保管して、色々終わったらまた戻す方式にするんだよね。世界樹ならアタシも繋がっていた時に色々調べたけど、『慟哭の門』位の魔力を一時的に流し込んだとしても全く影響がないんだよね。」
と、朗らかに説明した。
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