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第五章 ルキソミュフィア救援
第74話 最初の最初の
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まず、最初にコレットがこのソラ・ルデ・ビアスの書架にやって来た所から始める。
コレットはあの時の状況を話し始めた。
「あの時は本当に、護衛と言うか監視をする立場だったのに何で?私が追われることになったのか分からないまま走ってました。走っているうちにまだ開店中の店に飛び込んで助けを求めよう!と思っていたら、ちょうど魔導書を置いてあるこの書架が目に入ったんです。」
初めてコレットがこの書架に入って来た時の話を、ベルフォリスは興味深そうに聞き入る。
「ふむふむ、なるほど。」
そんなベルフォリスには目もくれず、コレットは続ける。
「もしかしたらミカゲもセレスさんも気付いていないかもなんですが、実は私、この書架に来るのは初めてじゃないんです。前に、まだ私が新人の中の新人魔導士だった頃に一度来ているんです。その時の服装は全身魔道衣に身を包んでいて誰が誰とも分からない様な状態だったし、魔導士会の上司の人も一緒だったので多分気付かれていないだろうな~と。」
と言って笑う。
「え?ちょっと待って!コレットはあの時走ってこの書架に飛び込んできたのは偶然ではなかったと言うんだな?」
セレスが焦って問いかける。
「え、ええ。実はそう言う事になりますね。」
詰め寄られたコレットは、たじろぎながら答えた。
「魔導士会の上司と一緒とか言ったけど、アタシの顧客に魔導士会は含まれていないんだよな。どちらかと言うと個人で来るって感じなんだよ。因みに上司の名前はなんて言うんだ?」
「確か・・・・う~~ん、今の上司とは違う人なんですが、セオドア・ティメレットって言う・・・」
コレットが名前を言い終わった瞬間、レオルステイルが苦々しい顔をする。
「どうしたんだ母さん?」
セレスが問いかけると、
「やられた・・・・ヤツじゃよ。アルセア・ティアードじゃ。少しもじっているが、ほぼヤツの名に近いじゃろう?ヤツは当時からと言うか完全に最初からコレットの事をマークしていたのじゃな。」
と言って更に、苦々しい顔をする。
他のメンバーも、やられたのか・・・と言った微妙な敗北感を味わいながら、コレットの話の続きに耳を傾けた。
「ぅわ~、そうなんですね。何か改めて種明かしを聞くと、気分悪いですね。」
そう言って手元のカップのコーヒーを一口飲んだ後、
「そんな感じで、この書架に入ったのは実は初めてではなく、前に来たことがある魔導書のある書架だ!って言う気分で入りました。ただ、前に入った時は上司・・・の人と一緒に入っただけだったので、ミカゲやセレスさんと会話する事は一切無かったですね。」
と言って、溜息をついた。
ちょっと重い感じの出だしになってしまったが、次の話はグレアラシルがする事になる。
コレットを追いかけていた側のグレアラシルの状況を把握しなければ、どうして追われなければならなかったのかの事情の詳細が掴めない。
何者かに嵌められていたのは確かだろうけど、その何者かの手がかりを掴まなければ、更に霧深い森の中に進むような状態になるだろう。
「じゃ、じゃあ、俺の番ですね。」
おずおずとグレアラシルが話し始める。
「俺は当時、雇われ用心棒と言うか、とにかくメルヴィレッジのお偉いさんとソルフゲイルの結構偉い人が会談するから、反対派が攻め込んでくる可能性があるとか~何とか言われて配置に付いたんす。配置に付いた場所は何故か会談をしている行政府の会議室の隣の時計塔の上だったんすけどね。」
と言って頭をポリポリと掻く。
「時計塔の上?って事は展望台の事かな?」
セレスが問いかける。
「あ、そうっす。確かそんな事を言われたっすね。俺は田舎の出身だからメルヴィレッジの事は全く詳しくないんで建物の名前とか色々分かってない感じなんですが、何故かそんな所に配置されたんすよね。」
言いながら、グレアラシルは首を傾げた。
「で、配置についてしばらくすると会談が始まる時刻になって。そしたら会談をしている反対側の建物の上、つまり会談をしている所が丸見えに見える場所に怪しい人物を見つけたんす。俺は、これが例の反対派か?と思って急いで追いかける事にしたんすが、塔から降りる時に最初に指示を出した頭目っぽい人が、会談を阻む組織の者だと思うから、捕らえて連れてこいって言うんで、その怪しい人物を俺は必死になって追いかけて行ったんすよね。」
「つまり、その追いかける対象の怪しい人物がコレットだったって事だな。」
「そう言う事になるっすね。」
セレスはグレアラシルに確認を取る。
コレットの方はと言うと、追いかける立場だったグレアラシルに自分の事を追いかける様に指示した人物の事が気になっている様だった。
「グレアラシルさん、その、私の事を追いかける様に指示した人の事を覚えていませんか?」
コレットはグレアラシルに恐る恐る訊く。
コレットの質問に対する返答に期待を寄せる書架のメンバーの視線がグレアラシルに集中した。
グレアラシルは手元近くに置いてあったパンを一つ口にれ、飲み込み終わった後その質問に回答する。
「頭目とはあの用心棒の仕事が初見なんすけど、あの顔と口ぶりは二度と忘れないっすよ。ちょっとゴツい感じの体格のメルヴィで、メルヴィにしてはちょっと小柄な感じがしたっすね。歴戦の戦士?の雰囲気を出す為なのかそれとも本当にそうなのか分からないっすけど、右目に眼帯してる人だったっすけど・・・・?」
言い終わって周囲を見渡すと、レオルステイルだけまた苦々しい~顔をしていた。
「え?ナニ?母さん、もしかしてこのグレが言ってる男の正体も?」
「そうじゃ、ヤツじゃよ!アルセア・ティアードじゃよ!!」
そう言って、自分のカップに注がれたコーヒーを一気に飲み干した。
ご立腹状態のレオルステイルに少々逃げ腰気味のグレアラシルだったが、
「そそそそんな感じで、あれ?親父の知り合いに俺は、今日よりも前から会ってたんすね?」
と再確認する。
その、再確認する言葉に疑問を感じたのはソフィアステイルだった。
「いや、私はグレアラシルに指示をした男とアルセア・ティアードとは別人だと思うけどね。」
涼しい顔でレオルステイルの怒りに水を差す。
妹の言葉に対して腑に落ちない状態のレオルステイルは、
「ほほぅ?なんじゃ?ソフィア、儂の考えは間違っているとでも?」
反論してきた妹ソフィアステイルに、その理由の説明を求めた。
「何、至極簡単な事だよ姉さん。何せ私はその隻眼のメルヴィとは知り合いだからさ。」
と、サラリと真実を語る。
その真実に思い当たるフシがあるのかセレスが、
「あ!もしかして、オバサンにメルヴィから荷物を運んでくれる運び屋の仲間の!」
ソフィアステイルを指差しながら、隻眼のメルヴィの正体を明かした。
コレットはあの時の状況を話し始めた。
「あの時は本当に、護衛と言うか監視をする立場だったのに何で?私が追われることになったのか分からないまま走ってました。走っているうちにまだ開店中の店に飛び込んで助けを求めよう!と思っていたら、ちょうど魔導書を置いてあるこの書架が目に入ったんです。」
初めてコレットがこの書架に入って来た時の話を、ベルフォリスは興味深そうに聞き入る。
「ふむふむ、なるほど。」
そんなベルフォリスには目もくれず、コレットは続ける。
「もしかしたらミカゲもセレスさんも気付いていないかもなんですが、実は私、この書架に来るのは初めてじゃないんです。前に、まだ私が新人の中の新人魔導士だった頃に一度来ているんです。その時の服装は全身魔道衣に身を包んでいて誰が誰とも分からない様な状態だったし、魔導士会の上司の人も一緒だったので多分気付かれていないだろうな~と。」
と言って笑う。
「え?ちょっと待って!コレットはあの時走ってこの書架に飛び込んできたのは偶然ではなかったと言うんだな?」
セレスが焦って問いかける。
「え、ええ。実はそう言う事になりますね。」
詰め寄られたコレットは、たじろぎながら答えた。
「魔導士会の上司と一緒とか言ったけど、アタシの顧客に魔導士会は含まれていないんだよな。どちらかと言うと個人で来るって感じなんだよ。因みに上司の名前はなんて言うんだ?」
「確か・・・・う~~ん、今の上司とは違う人なんですが、セオドア・ティメレットって言う・・・」
コレットが名前を言い終わった瞬間、レオルステイルが苦々しい顔をする。
「どうしたんだ母さん?」
セレスが問いかけると、
「やられた・・・・ヤツじゃよ。アルセア・ティアードじゃ。少しもじっているが、ほぼヤツの名に近いじゃろう?ヤツは当時からと言うか完全に最初からコレットの事をマークしていたのじゃな。」
と言って更に、苦々しい顔をする。
他のメンバーも、やられたのか・・・と言った微妙な敗北感を味わいながら、コレットの話の続きに耳を傾けた。
「ぅわ~、そうなんですね。何か改めて種明かしを聞くと、気分悪いですね。」
そう言って手元のカップのコーヒーを一口飲んだ後、
「そんな感じで、この書架に入ったのは実は初めてではなく、前に来たことがある魔導書のある書架だ!って言う気分で入りました。ただ、前に入った時は上司・・・の人と一緒に入っただけだったので、ミカゲやセレスさんと会話する事は一切無かったですね。」
と言って、溜息をついた。
ちょっと重い感じの出だしになってしまったが、次の話はグレアラシルがする事になる。
コレットを追いかけていた側のグレアラシルの状況を把握しなければ、どうして追われなければならなかったのかの事情の詳細が掴めない。
何者かに嵌められていたのは確かだろうけど、その何者かの手がかりを掴まなければ、更に霧深い森の中に進むような状態になるだろう。
「じゃ、じゃあ、俺の番ですね。」
おずおずとグレアラシルが話し始める。
「俺は当時、雇われ用心棒と言うか、とにかくメルヴィレッジのお偉いさんとソルフゲイルの結構偉い人が会談するから、反対派が攻め込んでくる可能性があるとか~何とか言われて配置に付いたんす。配置に付いた場所は何故か会談をしている行政府の会議室の隣の時計塔の上だったんすけどね。」
と言って頭をポリポリと掻く。
「時計塔の上?って事は展望台の事かな?」
セレスが問いかける。
「あ、そうっす。確かそんな事を言われたっすね。俺は田舎の出身だからメルヴィレッジの事は全く詳しくないんで建物の名前とか色々分かってない感じなんですが、何故かそんな所に配置されたんすよね。」
言いながら、グレアラシルは首を傾げた。
「で、配置についてしばらくすると会談が始まる時刻になって。そしたら会談をしている反対側の建物の上、つまり会談をしている所が丸見えに見える場所に怪しい人物を見つけたんす。俺は、これが例の反対派か?と思って急いで追いかける事にしたんすが、塔から降りる時に最初に指示を出した頭目っぽい人が、会談を阻む組織の者だと思うから、捕らえて連れてこいって言うんで、その怪しい人物を俺は必死になって追いかけて行ったんすよね。」
「つまり、その追いかける対象の怪しい人物がコレットだったって事だな。」
「そう言う事になるっすね。」
セレスはグレアラシルに確認を取る。
コレットの方はと言うと、追いかける立場だったグレアラシルに自分の事を追いかける様に指示した人物の事が気になっている様だった。
「グレアラシルさん、その、私の事を追いかける様に指示した人の事を覚えていませんか?」
コレットはグレアラシルに恐る恐る訊く。
コレットの質問に対する返答に期待を寄せる書架のメンバーの視線がグレアラシルに集中した。
グレアラシルは手元近くに置いてあったパンを一つ口にれ、飲み込み終わった後その質問に回答する。
「頭目とはあの用心棒の仕事が初見なんすけど、あの顔と口ぶりは二度と忘れないっすよ。ちょっとゴツい感じの体格のメルヴィで、メルヴィにしてはちょっと小柄な感じがしたっすね。歴戦の戦士?の雰囲気を出す為なのかそれとも本当にそうなのか分からないっすけど、右目に眼帯してる人だったっすけど・・・・?」
言い終わって周囲を見渡すと、レオルステイルだけまた苦々しい~顔をしていた。
「え?ナニ?母さん、もしかしてこのグレが言ってる男の正体も?」
「そうじゃ、ヤツじゃよ!アルセア・ティアードじゃよ!!」
そう言って、自分のカップに注がれたコーヒーを一気に飲み干した。
ご立腹状態のレオルステイルに少々逃げ腰気味のグレアラシルだったが、
「そそそそんな感じで、あれ?親父の知り合いに俺は、今日よりも前から会ってたんすね?」
と再確認する。
その、再確認する言葉に疑問を感じたのはソフィアステイルだった。
「いや、私はグレアラシルに指示をした男とアルセア・ティアードとは別人だと思うけどね。」
涼しい顔でレオルステイルの怒りに水を差す。
妹の言葉に対して腑に落ちない状態のレオルステイルは、
「ほほぅ?なんじゃ?ソフィア、儂の考えは間違っているとでも?」
反論してきた妹ソフィアステイルに、その理由の説明を求めた。
「何、至極簡単な事だよ姉さん。何せ私はその隻眼のメルヴィとは知り合いだからさ。」
と、サラリと真実を語る。
その真実に思い当たるフシがあるのかセレスが、
「あ!もしかして、オバサンにメルヴィから荷物を運んでくれる運び屋の仲間の!」
ソフィアステイルを指差しながら、隻眼のメルヴィの正体を明かした。
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