使い魔になりたい

たとい

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使い魔、いりませんか?

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僕は魔物。

名前はまだ無いし、同族もいまだに見たことはない。

日本という国でひっそりゴロゴロ暮らしていた。

だけど、最近になってわかったことがある。




「やばい。魔力足りなくなってきた。」




僕は魔力で生きている。

だけどその魔力がだんだん足りなくなってきた。

つまり死にそう。超やばい。




「参ったなぁ。不自由なく暮らせてると思ったのに、とうとう限界に近付いてきたみたいだ。」




有り余るほどあった魔力がもうかなり少なくなってきた感覚がする。

生きてるだけで魔力が減っていくのだからキツイ。

どうすればいいか悩んでいた僕は、テレビで見た番組を思い出してひらめいた。




「そうだ!人間と契約して魔力を貰おう!」




魔法少女とかのアニメで、魔物と契約した人間が魔法使いになるという展開をよく見たことがあった。

幸い、現実世界でも人間は魔力を持っている。それも、尽きることなく沸いている。

惜しいのはそれを発揮できないという点だが。

だが、僕と契約を結べば僕を介して魔力を使えるようになる!・・・はずだ。

その代償に僕はその主人から魔力をいただくという寸法だ。




「ふふふ。それでは早速勧誘しよう。」




意気揚々と、僕は魔力の素質のありそうな女の子に姿を現してみた。




「きゃああああああああああ!!」




逃げられた。




うーん。そういえばこの姿って人間からしたらすごくおぞましいんじゃないだろうか。

そうだ、猫だ。黒猫になろう。それならかわいいだろうし、いかにも魔法使いの魔物っぽい。

ってことで、今度は黒猫に変化して声をかけてみる。




「いやー!化け猫ー!!」




物投げられた。




おっかしいな。しゃべる動物ぐらいたくさんいるでしょう。

それに、猫が喋るくらいかわいいもんだと思うんだけど。

あきらめずに、次に行く。




「やぁ、こんにちは。」

「え、今猫が喋ったの?」




よっしゃいけた!第一関門クリア!




「そうだよ。ねぇ君、魔法少女になるつもりはない?」

「魔法少女?」

「そうそう。僕と契約してくれれば、君の中に眠っている魔法の力を使えるようにしてあげる!」

「いかにも怪しいから嫌。」




あっさり断られた。

しかも通報された。




ちっくしょう!そういえば最近のアニメって魔法には対価が必要だの何だのって、何かとこういうことにはペナルティがつきものだって話ばっかやってる気がする。

おのれテレビ。

・・・そりゃあ、僕が参考にしたのもテレビだけどさ。




あきらめずに次の手を考える。

こうなったら広告を出してみるのはどうだろう。

使い魔の主募集、なんてどう考えても怪しいけれど釣られる人間はその気と覚悟が多少なりともがあるはずだ。

少しばかりの希望を持って、そんな感じの広告を出してみた。




「ふっ・・・すでにこの悪しき魔窟のゾーンに潜んでいるのは古からの我が闇の目が感知しているぞ。運命の輪より導かれしものよ、さっさとその姿をこの前に召還するがいい。」




どうしよう。意味わからない。

でもまぁ男の子だけど本人はやる気満々みたいだ。

女の子はびびっちゃってたし、男の子の方が向いているのかもしれない。・・・んだけど。

とりあえず、姿を現してみる。




「おお!ついに来たか魔道のものよ!さぁ、我が僕として契約を結ぶがいい!」

「ごめん。君、向いてないよ。」




今度は僕がお断りさせてもらった。




「な、な!?」

「君かなーり魔力ない。ほぼ無い。絶望的に無い。だからあきらめた方がいい。」




彼は泣く泣く帰って行った。

きっとこれを機に現実を見て努力して、大企業の社長にでものし上がることだろう。

それからも僕は待ち続けてみたけど、その後きたのは肝試しにくる子供ばかりだった。




「駄目だ。もう無理。」




とうとう力が尽きる時間が迫ってきたようで、僕は倒れこむ。

ずいぶん長いこと生きたんだし、やりたいこともやってきたんだから満足だろうと。

諦めて目をつぶっているときだった。




「子猫?」




女の子の声がした。

まさかとは思ったが、拾い上げられたことから僕のことを言っていたことがわかる。

今、姿を現してないから一般人には見えてないはずなんだけど。

閉じていた感覚を広げてみると、彼女から強い魔力が発せられてることがわかった。

あぁ、これ欲しい。




「ミルク、いる?」




家に運びこまれて、看病してくれるのはありがたいんだけど。

僕は食べ物とかいらないんだよね。




「魔力くださいぃ。」

「うえええ?しゃべった!?」




彼女は驚きはしたものの、事態をしっかり把握してくれた。




「って訳で、できれば契約してほしいんですけど。魔法少女になる気はないですか?」

「ないです。」




ガーン!

なんてことだ。最後の希望も消えてしまった。




「怪しすぎるでしょ、それ。」

「ですよねー。」

「でも、魔力あげるだけならいいよ?それって無理なの?」

「へ?」




あー。それは考えてなかったわ。




「無理やり魔力もらえないんで、承諾という名の契約が必要になるんですよ。」

「なるほど。」

「でも、魔力もらう代わりにすることは何でもいいんで。魔法少女になる必要はないです。」

「じゃあそれで。」




じゃあそれでって、軽いな。




「それなら、代わりに何をしたらいいですか?」

「私に一切の危害を加えないこと。契約したら代償払うとか魂とられるとか人間じゃなくなるとか嫌だからね。」

「しっかりしてまんなー。」




とりあえず無事に、僕は魔力を貰う契約を結ぶことができた。

一時的に、だけど。

本命が見つかるまでってことにされた。長い間面倒を見る気が無いらしい。

それからは彼女の家にも泊まらせてもらってる。餌代ないから偉いでしょ?姿も見えないから問題なし!

だけど、この子やっぱり魔力が強くって、何かと変なのに憑かれて不運な目にあっている。

契約のこともあるし、彼女に何かあったら魔力もらえないから、僕は彼女を守り続けているんだけれども。




「これで何度目だよ。君って本当に狙われてるね。」

「あなたと契約してから増えた気がするんだけど。」

「それは君が気づいてなかっただけ!感謝してよね!」

「はいはい。」

「・・・ねぇ、本当に僕を使い魔にする気ないの?」

「ないよ。」




今日も冷たくあしらわれる。

やれやれ残念だなぁ。




「僕、君が気に入ってるんだけど。どうなの?どうしても駄目?食費かからないしお得でしょ?」




使い魔、いりませんか?
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