魔王くんと勇者くん預かってます

たとい

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おまけ

将来の話

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元勇者と元魔王。

そんな二人が卒園してから数年が過ぎた。


「母さんただいまー!」

「ただいま、母上。」


この世界ですっかり成長した二人は、今でもそれなりに仲良くやっている。


「おかえり。やけに早かったね。」

「だって今日は幼稚園お休みなんでしょ?」

「母上が家にいる。それだけで理由は十分。」

「魔王だけじゃ心配だし?」


二人の返答に対して、困ったように笑う。

いい加減、親離れしてほしいものだが・・・これでも落ち着いた方であることは本人がよく知っていた。

一番嬉しかったのは、元魔王の子を多くの人が受け入れてくれたことだった。

おそらくは、元勇者が傍にいてくれたおかげだろう。



「学校でやり残したことはないの?」

「一つだけあるけど、明日提出すればいいやつだから大丈夫だよ。」

「将来なりたいものについて書け、だそうだ。」

「あ、もうそんな時期なんだ。あなたたちは、なんて書くつもり?」

「そんなの決まってるよな?」

「まぁな。」


互いにニヤリと笑い合って、一言。


「もちろん勇者!」

「保育士を目指す。」




「・・・。」



間をあけて、もう一度顔を見合わせる。


「え?」

「は?」


信じられないといった表情で相手を見ていた。


「保育士?今、保育士って言った!?」

「そう言ったが?」

「えーっ!?お前、子供の頃は魔王になるって言ってたじゃんかぁ!」

「子供の頃の話だろう。そういう貴様は、まだ勇者なんて夢をみてたのか。馬鹿なのか。」

「ば、馬鹿ってなんだよ!だって俺、勇者だったんだぜ!?」

「だからといって、この世界でも勇者として生活できると思っていたとはな。」

「いいじゃん別に目指したって!何があるかわからないし!!」



まぁ、【異世界のコウノトリ】という現象もあったし、元魔王もいる訳だし。

彼がまだ魔王を目指していたら必要性があったのかもしれないが。



「一人だけ大人ぶっちゃってさぁ。いまだに魔王口調治らないくせに。」



子供の頃と変わっていないと思っていたのに、と残念そうに呟いた。

予想と違う返答に、二人してため息をつく。


「我は、貴様もてっきり同じ職業を目指しているものだと思っていたのだが。」


その言葉に、元勇者はハッとする。


「まさかお前、母さんと同じ職業がよくて・・・いや、あわよくば一緒に働こうと!?」

「はは、なんのことかな?」

「お前ってやつはぁああああっ!」



ぎゃーぎゃー騒ぐふたりに呆れつつも、暴力でなく口喧嘩であることに安堵する。



「とりあえず夜ごはんの準備でもしますか。二人とも、何が良い?」


「「ハヤシライス!!」」


「そこは息が合うんだね。」
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感想 1

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みんなの感想(1件)

沼の主
2019.08.14 沼の主

面白かったです。(^^)
高校生位になった勇者くんと魔王くんも見てみたいです。

解除

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