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夢見が丘一丁目
しおりを挟む毎度、ご乗車頂きありがとうございます。夢野バスです。
このバスは明日原(あすはら)自然公園経由、夢見が丘行きです。
発車後、揺れますので、お近くのつり革、手すりにお掴まりください。
また、高齢者の方々には席をお譲りください。
お降りの際は降車ボタンにてお知らせください。
それでは発車致します。バスが完全に止まるまで、席をお立ちにならないよう、お願い申し上げます。
次は、産声町(うぶごえまち)入り口、産声町入り口に停車します。
最初は誰もが発する産声。自分の産声は自分で聞けませんが、ぜひ立ち寄ってみては如何でしょうか。
人生の始まり。苦しみや悲しみを感じない、唯一の時期かと思います。
ここからの人生はとても長いので、降りる方は…やはりいないですね。
通過します。次は、宮ノ前、宮ノ前です。
初めての七五三は、どの神社でしたか?
余り覚えていないでしょうが、親子で記念撮影をした事のある方は多いと思います。
ちとせ飴に釣られてお参りに出かけた方も、多いのではないでしょうか。初めて着物や袴を着た方も。
停車します。有難うございました。お乗りの方は奥へお進みください。
発車します。お掴まりください。次は柵の壁、柵の壁です。
幼稚園に通い、最初に感じる恐怖心。親と遮断された入り口の柵を覚えていますか?
私はあの恐怖に耐えられず、隙を見て園を飛び出してしまいました。
柵を乗り越えられず戻れない事もまた、恐怖でした。
こちらもまた降りる方は居ませんね。
では、通過いたします。次は、正門前、正門前に停まります。
お疲れ様でした、正門前に到着です。バスが完全に停車してからお立ち上がりください。
お荷物お忘れ物のないよう、ご確認ください。
やっぱりここはお客さんが沢山降りて行きますね。やり直したいと願うのは、やはりこの頃からなのでしょうか。
人生で最初の入学式。正門前で記念撮影する方が多いですね。
義務教育が始まるにせよ、それ以外は遊んで食べて、寝るだけの生活。
友達も何の苦労なく作れますしね。
足元お気をつけて、いってらっしゃいませ。
それでは発車致します。お掴まりください。次は、春の壁、春の壁に停まります。
ここは降りるお客様が、まばらなんですよね。思春期。誰もが経験する壁です。
親や世間に反抗し、アイデンティティがうまく定まらない不安定な時期ですから。
しかし、初恋が懐かしいと降りられる方も多い。
おや?迷っているのですか?いいですよ。少しでしたら時間はありますので。
しかし、五分程度にしてくださいね。他の場所で降りる方を待たせてしまいますので。
降りて行かれるのですね。わかりました。足元にお気をつけて。
それでは発車致します。急にお席を立ち上がったりしないよう、お願いいたします。
次は、青い春、青い春に停まります。まだ立ち上がらないよう、お願い申し上げます。
今一度、手荷物の確認をお願い致します。
ゆっくり停車致します。バスが完全に止まるまでお立ち上がりにならないよう、今一度お願い致します。
お待たせいたしました。青い春、青い春です。
ああ、黄色い線の内側に入ってください。
扉が開きません。ご協力をお願い致します。
慌てずゆっくりお降りくださいね。はい、はい。お気をつけて。有難うございました。
降りられる方が降りてからの発車となります。今しばらくお待ちください。
順番にお願い致します。足元にお気をつけください。有難うございました。
お待たせしました、発車致します。いやあ、青い春前は、人気がありますね。
皆さんこの頃が一番、心に良い思い出が沢山あるのでしょう。
後悔も恋心もありふれた時期ですからね。
あの頃に戻りたいの「あの頃」は、だいたい皆さん高校から大学にかけて、なのでしょうか。
大人になる一歩手前。社会にまだ完全に縛られていない、最後の自由。…さて、随分お客さんが減りましたね。
バスはこの次、鎖の原、鎖の原へ向かいます。お降りになられる方…いないようなので、通過致します。
次は明日原自然公園、明日原(あすはら)自然公園。お降りのお客様は降車ボタンを押してください。
少し休まれたい方にはオススメの公園です。
ですが、敷地はかなり広いので、迷子になりませんよう、お気をつけください。
桜が咲く季節は、お花見で屋台も出店しております。ぜひ、一度は訪れてみてください。
停車します。
お待たせしました。お乗りの方は、奥の座席からお座りくださるよう、お願い申し上げます。
それでは発車致します。お掴まりください。次は終点、夢見が丘一丁目、夢見が丘一丁目です。
長らくのご乗車、お疲れ様でした。
どうかお忘れ物のないよう、今一度お手回り品をお確かめくださいますよう、お願い申し上げます。
夢見が丘一丁目。やはり皆さん、夢を追いかけたり、夢のさなかに居た頃が忘れられないのでしょう。
明日原(あすはら)自然公園で人生を見つめ直し、諦めた夢を追いかける。そんな方がご乗車になるんですよね。
辛いことがあっても、夢があるから生きられる。
またやり直したいと思えるようです。
夢見が丘は、果たして何丁目まで存在するのか…可能性は無限大ですからね。
きっと沢山の番地に分かれていたりもするのでしょう。
大変お待たせ致しました。終点、夢見が丘一丁目、夢見が丘一丁目に到着です。
お忘れ物、落し物ございませんよう、お確かめください。
また、バスが完全に停車してから席をお立ちください。
夢見が丘一丁目でございます。
頑張ってください。お気をつけて行ってらっしゃいませ。有難うございました。
さてと、表示を回送に変えましょう。…もう夜が明けますね。
ご乗車頂いた方々にも、新しい朝が来ましたね。
ここからまた新たな人生が始まる。
毎度有難うございます。こちらは夢野バスです。
明日原(あすはら)自然公園経由、夢見が丘行きです。
発車後、揺れますので、お近くのつり革、手すりにお掴まりください。
また、高齢者の方々には席をお譲りください。
お降りの際は降車ボタンにてお知らせください。
貴方も一度乗ってみませんか?深夜、バス停にてお待ち頂ければ、毎晩お迎えに上がります。
こちらは夢野バス、夢野バスでございます。またのご乗車お待ちしております。
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