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役に立ちたい気持ちはあります
「よし、出発するぞ。」
しばらくして、クラウドの言葉でまたしても移動。馬に乗る時も、クラウドが見下ろしてきたため、手を取らずに飛び乗ってやった。
「なぁ、どこまで行くんだ?」
「もっと奥だな。ダークレイクの近くに行けば行くほど、魔力溜まりがそこかしこにあるからすぐに分かる。」
「へぇ。そうなのか。」
「今もすでにピリピリしてるが、分かってねぇよな。」
…ほーん?全く分かんねぇ。
後ろで首を傾げているのが分かったのか、クラウドが笑うのを感じた。
「この辺から先は厳しいな。おい、少し戻って荷物を下ろすぞ。」
一旦戻るらしく、少し引き返した所で広くなっている場所でもう一度馬から下りた。そして、野営の準備を行っていく。
「今日はそこまで行かねぇの?」
「行かねぇ。半日以上、移動で体力使ってんだ。魔物が出て来るまでもまだ猶予はあるからな。」
なるほど?分かるような分からないような。とにかく、ここで一晩明かして、万全の状態で明日行くって感じか。
「俺、手伝い…。」
「いいから、座っとけ。全員慣れてるから、周りでちょろちょろされたら鬱陶しい。」
…そう言われたら何も言えねぇ。
確かに、皆テキパキと動いており慣れていることは見ただけで分かるけど。でも、他の人にとったら何しに来たか分からない得体の知れない俺が何もせずに座っていると居心地が悪い。
「飯作るのぐらい…。」
「却下。気になるならテントの中入ってろ。いいか、出て来るなよ。」
そう言われて、テントに押し込まれた。えー…。じゃあ俺、飯を食べるために出て来るだけのやつになるじゃん。
「クラウドー…。」
テントから顔をチラッとだしてクラウドを呼ぶも、もうすでにそこにクラウドはおらず。
放置していきやがった…。
さすがに、テントの中で一人休んでるわけにはいかないだろうと、外へ出た。
「なぁ、これ切ったらいいのか?」
鍋を回したり、食材を洗っている騎士たちのもとへ行き、洗い終わったものを差して聞いてみる。
「…えっ!?」
めっちゃ驚かれる。目を見開いて、びっくりしたような声を上げた騎士に、何故か二度見される。
「これ。切っていけばいいんだろ?見たところ、スープっぽいし、それに合わせればいい?」
「い、いえ!リラ殿は休んでいて下さい!俺らの仕事ですので!」
「いやいや、何もせずに飯だけ食うのは駄目だろ。肩身が狭いんだよ。何かさせてくれ。」
「いえ!本当に大丈夫ですので!」
「何でだよ!俺の飯が食えねえってのか!」
「そ、そんなことは…。」
「はい、じゃあいいだろ。にしても、遠征とかの時って、毎回こんなちゃんと作ってんの?」
「え?は、はい。食事は基本ですので。」
「何で敬語なわけ?喋りにくいからやめてくれよ。じゃあ騎士たちって皆料理上手なんだな~。」
「そういう訳には…。えーっと、そうですね、騎士はだいたい…。」
それから、食事当番である彼らと楽しく話しながら手を動かし、スープが完成。具沢山のスープと持ってきたパンが今日の夕食だ。
「じゃあ入れていくから並んで…。」
「何してやがる。」
「うおっ!」
スープを配り入れようとしていると、背後からいきなり低い声で話し掛けられ肩が揺れた。
「びっくりした~。前から話し掛けてくれよ。」
「テントから出るなって言っただろーが。何してんだ。」
呆れたようにため息をつくクラウドに、
「いや、働かざる者食うべからずって言うだろ。何もしない訳にはいかねえよ。」
「…はぁ。お前は本当に言うこと聞かねぇな。…世話掛けたな。」
何故か周りにそう言うと、俺を引き摺って少し離れたところにある木に座らされた。
「隊長、どうぞ。」
「悪いな。」
一人の騎士が、2人分のスープとパンを持ってきてくれた。
「クラウドは何してたんだよ。」
「明日の討伐と消滅の打ち合わせだ。荷物番でここに何人か残す必要もあるしな。」
…へぇ。色々と考えることはあるんだな。
俺はスープをはふはふと食べながら、騎士も大変だなぁと考える。俺は初めて馬に乗らせてもらって、外の不思議な生き物を見れて、美味しいご飯を食べさせてもらって、あれ、本当にここで何してんだろ。俺を連れて来たクラウドは何だかんだで忙しそうだし、構ってくれないのにうろちょろするなって怒るし。
「あ、美味しい。これ俺切った具材!これ何?」
「お前、何かも分からずに切ってスープにしたのか。」
「いや、野菜だろうなぁと思ったけど見たことなかったし。」
「サクサイっつー野菜だ。栄養価が高く物持ちもいいから遠征の時は重宝される。」
「へ~これは?」
「…おい。知らねぇものを食うな。」
食べながら聞いていると、呆れたように言われるが、それでも説明はしてくれるらしく。ほうほうと頷きながら食べた。スープが具沢山だったため、パンをクラウドの皿にそっと入れたら、ちゃんと食っとけと怒られた。
「また一人…。」
飯を食い終わってから、何やら周囲に魔物がいるからと見廻りに行ってしまったクラウド。そのため、またしても一人になってしまった。テントに放り込まれたが、まだ寝る時間には早く暇を持て余している。テントの外では、騎士たちが火を熾している。夜中、代わる代わる火の番をするらしい。
そーっと俺はまたしてもテントから抜け出す。
「なぁなぁ、魔物ってでかいのが出るの?」
火の回りにいる騎士に近付いて聞いてみる。
「え!?え、えぇ、そうです、大型だと、背丈3mが小さい部類になります。」
「へぇ。俺、魔物って見たことないんだけど、魔法を使えるんだよな?」
「えぇっと…。リラ殿、眠れないのですか?」
「うん。だって俺何もしてないから疲れてもねぇし。」
それから、何だ何だと他の騎士も集まってきてしまったが、俺のおしゃべりに付き合ってくれた。
「リラってめっちゃ田舎もんじゃん!俺、そこから近い村出身だぜ。」
「俺と変わらねぇじゃねーか。あの謎のでっかい岩がある村だろ?」
俺と出身地がさほど変わらないやつがいたり、王都生まれの王都育ちのやつがいたりと様々。騎士にも色んなやつがいるんだなと感心する。騎士になるためにはやっぱり訓練もすごいらしく。もれなく皆、筋肉がすげぇ。
「鍛えたらそうなんの?誰でも?」
「まぁ訓練してたら自然とこうなるよな。でも休みの日も身体動かしてなかったら物足りなくなるけどな。」
皆頷いてるところを見ると、だいたいがそういうやつばっかりらしい。考えられねぇ。これでも体力はある方だと思うけど、トレーニングとかよく分からねぇしなぁ。
「リラって成人してんだな。俺まだ成人前かと思ってた。」
「失礼すぎる!ちょっと背が低いだけだろ、まだ俺は成長期だもんね。」
ここでも俺を下に見るやつが多い。ちょっと背が低いだけなのに。騎士ってやつは、何で揃いも揃って身長が高い奴ばっかなんだよ。騎士になるには身長の規定とかあんのか?
「いや、成長期って…!?お疲れ様です!」
休憩中の騎士たちと話していたが、急に立ち上がって敬礼の姿勢をとったためびっくりする。
「…あれ、おかえり。え、何それ!魔物!?…痛い痛い痛い!」
「お、ま、え、は!本当に言うこと聞かねぇな!」
「いたたたた!ごめ、ごめんって!」
戻って来たクラウドに、頭を鷲掴みにされて力を込められ痛みに絶叫する。やっと離してもらった時にはぐわんぐわんと頭が回ってふらふら状態になってしまった。
「うぅ~。クラウドの馬鹿野郎~。」
座り込む俺は、クラウドを恨めしく見上げる。
「馬鹿はお前だこの馬鹿。」
「馬鹿って言った方が馬鹿だし…。」
「た、隊長。それ、レッドウルフですよね。解体しますか?」
俺らの程度の低い言い合いから、一人の騎士がそう言って横たわる魔物に視線をやった。
「あぁ、そうだな。明日の朝飯にするか、今腹減ってるやつがいたら食っとけ。4匹仕留めた。」
「おぉ!じゃあお言葉に甘えて、1匹だけ食いますか。」
そう言うと、その騎士は慣れた手つきで解体しだした。それを横でおお~と感心しながら見る。そして、解体した魔物の中から、光る石が転がり落ちた。
「あれ何だ?」
「魔石だ。魔力を含む石だな。ここから動くなよ。他の討伐したやつも持って来る。」
クラウドは俺に念を押すようにそう言うと、レッドウルフを運んでいる騎士の方に向かって行った。
…あれが魔石!
魔物は魔力を持っているため、それが含まれた石。キラキラと光っているように見えて綺麗だ。初めて見るそれをまじまじと見た後、転がっているそれを拾おうとすると、
「あっ、駄目ですっ!」
解体していた騎士が焦ったように叫び、手をこちらに伸ばしてきたが、それに反応する間もなく俺は魔石を拾ってしまった。
その瞬間、フッと拾った魔石から風が出て手を撫でた。俺は、駄目だったのかと焦って魔石をその騎士に渡そうとするが、何故か俺を見て驚愕の表情を浮かべている。
「…リラ殿、何ともないんですか?」
…何が?
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