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第10章 何故、ヴァザリーは嘘をついたか?

10.『モナ・リザ』の切断されたかもしれない柱について

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ラファエロと言えば、『一角獣を抱く貴婦人』というタイトルの絵を描いていますが、ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』に関係性のある絵として、注目を浴びています。


『一角獣を抱く貴婦人』の絵には、しっかりとした柱がありますが、『モナ・リザ』には、柱らしきものの痕跡が、僅かに見える程度です。


その描き方が、あまりにも“中途半端”なので「モナ・リザには、元々は柱があったが、何らかの理由で切断されたのでは?」という疑いが、もたれたりしました。

「モナ・リザの真実のモデルは、誰なのか?」

という問題と共に

「モナ・リザに、元々は、柱があったのか?なかったのか?」

…という問題は、何世紀もの間で、議論になりました。


注目すべきは、やはり
“柱”の存在です。


ところで、『一角獣を抱く貴婦人』とよく似たデザインの柱が、カール5世(カルロス1世)の肖像画の後ろのほうに描かれています。


ラファエロの絵よりも、頑丈で、存在感の強い1本の“柱”が、そこにあります。


カルロスは、『カトリック王』と呼ばれました。


 仮に、その柱を、キリスト教の、根幹のようなイメージとして捉えるとしたら、カルロスの後ろの柱は、何と揺るぎない、頑丈な柱なのでしょう。


ラファエロの絵は、カルロスの肖像画よりは小さいですが、しっかりとした柱が2本、人物を挟むように、描かれています。


2枚の絵のそれに比べて、『モナ・リザ』の柱は、まるで切り取られたような描き方です。


もしも、ダ・ヴィンチが、キリスト教(カトリック)の教えに背くような絵を描いて、ローマ教皇らの逆鱗に触れたとしたら?


…それが原因で、柱を切り取られのでは?

というのは、深読みし過ぎでしょうか?


今回の内容に関しては、まだ推測の範囲内なので、軽く読み流して下されば幸いです。

















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