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西アフリカ:なぜエボラがここまで流行したのか?——MSF医師の見解(下)
2014年07月10日掲載
エボラ出血熱の流行が続いている。西アフリカのギニアから始まり、隣国のリベリア、シエラレオネへと拡大した。6月上旬に新規感染者の報告がなくなり、終息に向かうとみられたが、その後再び、感染者が増えている。
MSFのミシェル・ヴァン・ヘルプ医師は、ヒルデ・ド・クレルク医師(※)と同様、過去に6回、エボラ緊急対応に携わってきた。これまでの流行地域はコンゴ民主共和国やウガンダで、範囲も狭かった。西アフリカ諸国での流行は初めてで、規模も過去に例がないほど大きい。なぜ流行を抑え込むことが難しいのか。ヴァン・ヘルプ医師に聞いた。
「西アフリカ:なぜエボラがここまで流行したのか?——MSF医師の見解(上)
質問1.今回のエボラ流行は、なぜ抑え込むことが難しいのでしょうか。
住民の間でエボラに関する理解が進んでいないためです。さらに、地域の人びとが頻繁に移動していることや、すでに流行地域が複数あり、地理的な広がりをみせていることが重なって、感染制御を難しくしています。
ギニア、シエラレオネ、リベリアの3ヵ国がエボラへの対応を迫られたのは、今回が初めてです。人びとは不安を募らせ、そういった病気があるということさえなかなか受け入れられないようです。ギニアのゲケドゥ県近辺では、MSFがエボラを持ち込んだという中傷まで受けました。
ある住民にはこう尋ねられました。「これまでに聞いたこともない病気が、いま流行しているなんて、そんなことがありえますか?」。地元社会はエボラになじみがありません。そこでMSFは、流行抑止の対策を立てる上で、人類学者にも加わってもらいました。現地の人びとのことをよく理解し、患者や地域社会との良好な関係を促すためです。
エボラは致死率が最高で90%にも達するため、病名がすぐに"死"のイメージと結びついてしまいます。それが人びとの不安を大きくかき立てている原因です。一部の住民は、エボラを「魔術のようなもの」と考えています。エボラという言葉を口にすればエボラが発生する、と考えているのです。もしくは、エボラの存在を否定すれば、病気を免れると信じているのです。
住民の移動回数の多さも、エボラの感染拡大を助長する一因です。過去にエボラが流行し、MSFが治療にあたったウガンダやコンゴ民主共和国の人びとよりも、この地域の人びとは頻繁に移動します。今回、MSFの施設で治療を受けたある患者は、直近の1週間で5つの村を渡り歩いていました。訪れたすべての村で、誰かに病気をうつしてきた恐れがあるということになります。
質問2. 感染源や最初の患者はわかっているのでしょうか。
今回は、ギニアのゲケドゥ県周辺のある村が発生源だと見られています。そこから拡大したのでしょう。そこはコウモリ猟が盛んな地域です。その村の住民で、最初の患者となった人の家族も、2種類のコウモリの狩猟をしていたことを認めています。
2種類とはウマヅラコウモリとフランケオナシケンショウコウモリで、いずれもエボラウイルスの媒介動物です。コウモリの集団は広い範囲で住みかを移します。そのため、まずコウモリの間で感染が広がり、その住みかを移す過程でウイルスがアフリカの東から西へと渡って来たのでしょう。そのウイルスが、コウモリと接触した人間に移ったと考えられます。
シエラレオネでエボラが拡大した原因は、最初に感染した患者の社会的地位に関係があると思われます。最初の患者として報告されたのは、ある地域の伝統療法士でした。この地域での葬儀は通常、遺体を洗い清めてから衣服を着せます。しかし、患者が亡くなってもエボラウイルスは体内に残っています。そのため、遺体と接触するたびに感染する恐れがあるのです。その伝統療法士は回復することなく、亡くなりました。その地域で重要な存在だったため、複数の人が葬儀に参列し、感染してしまいました。
対照的なのは、子どもがエボラ出血熱にかかった場合です。子どもから感染する人は少数である場合が多いのです。社会の中で大きな役割を担い、たびたび移動する成人は、はるかに大勢の人と接触する可能性があります。その結果、感染が拡大していきます。伝統的な社会では、感染者の地位や役割も感染拡大を大きく左右する要因なのです。
質問3. 前例のない流行には前例のない対策が必要なのでしょうか。
感染地が増えたことで、MSFが投入できる人的資源も限界に達してしまいました。現在、300人のMSFスタッフが流行抑止に努めています。医療チームは引き続き、治療と検疫活動に集中しなければなりません。MSFが、特に患者の隔離・治療について専門的な技能のある数少ない団体だからです。
医療活動を優先し、治療と検疫に集中するためには、MSFが行っている感染者や感染の疑いがある人の追跡、エボラ対策の知識を伝える活動など、治療・検疫以外の活動を引き継ぐ組織が不可欠です。こうした"疫学的監視"を担当する組織の活動拡大が求められます。現在の主な課題は、国境を越えて移動する接触者の追跡と、医学的対策の組織化です。
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