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ブラック企業に勤める社畜OLが異世界トリップして騎士の妻になるそうです
ツンデレは正義です
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家族。
その言葉に憧れを抱いたのは、小学生の頃までだっただろうか。
中学になると、みはるのように両親がいないとまではいかずとも、片親がなくなっていたり、両親の離婚で祖父のもとに預けられたりといった様々な事情を抱えた生徒も多く、自然と諦めもつくようになった。
ないものねだりをしても不幸になるだけだとわかっていただけかもしれないが。
生まれてすぐに実の両親に虐待され、祖父母に預けられたものの、そこでも半ばネグレクトの扱いを受けていたという友人の言葉が、今になって重くのしかかる。
「アタシは一生、結婚なんてしないつもり。家族を知らない人間が家族を作ったって、うまくいきっこないもん」
家族を知らない人間に、家族はできない。
その言葉に納得してしまう自分は、本来彼女と同じ人種で間違いない。
そんなことない、虐待された子供の中にだって結婚して自分の家庭を持っている人もたくさんいる。
そういう人は多いだろうが、違うのだ。
自分たちは幸せを諦めているわけではない。
文学的に言えば、「足るを知る」とでも言おうか。
求めすぎなければ、幸せになれる。そういう幸せもあるのだと。
ー――勢いのままに結婚を決めてしまった今、グダグダと考えてしまうのは、事があまりに順調に運びすぎているからかもしれない。
リュートからの求婚を受け入れて3週間。
あっという間に身に付けるドレスも決まり、式を同時に行うことになる収穫祭まではあと2月程にせまった現在。
ある程度の段取りを済ませてしまえば、後はやることはなにもない。
いつものように領主館での仕事に戻ろうかと思っていたのだが、それはリュート本人に止められた。
一度仕事を始めてしまえば、式までにまた無理をして体を壊しかねないから、と。
一時的に人を雇い入れることによってみはるの不在分をカバーするので、その分休んでほしいと言われ、はじめの数日はゆっくり寝て過ごしたのだが、すぐに暇になってしまった。
これも社畜の悲しい性か、暇になると逆に不安になるものだ。
式の進行は何一つ問題なく順調。
「…順調…なんですけどねぇ…なんだか落ち着かないというか」
「なによ、せっかくの結婚式だっていうのに辛気臭い顔をして。そんなんじゃ、ご領主様に失礼でしょう」
はぁ、思わず漏れた愚痴に対し、背後からものすごい勢いで反論を返され、医務室にあるような白い長テーブルのようなものにうつ伏せに寝かせられた状態のみはるは、シュンと首を引っ込めつつもぼそぼそと言葉を返す。
「…実はうちの国ではマリッジブルーって言って、結婚式を控えた花嫁がかかる病気がありまして…」
「はぁ!?病気!?病気ならこんなとこにいないでさっさと医者に行きなさいよ!あなた、結婚式まであと1ヶ月もないのよ!?延期なんて事になったらタダじゃおかないからね!せっかくご領主様からの依頼ですもの、あんたはこの領で一番美しい花嫁としてあの方の元に嫁ぐのよ!」
「ゲホッ…!」
うつぶせのまま背中を平手打ちされ、勢いよくむせた。
「あ、あらちょっと、そんなに強く叩いたかしら?」
そのままゲホゲホと咳き込み始めたしまったみはるに慌ててその背中をさする。
「おぅ…。美人の平手は痛み以上のダメージを心にもたらします…。愛のムチが痛い。ビバツンデレ」
「…何言ってるのかわからないけど、腹が立つわね」
イラっとしていても、美人は美人だなぁ、と妙に感心しながら背後に立つ女性――アイリーンを振り向きながら上目に眺めつつ、みはるは「すみません」と一応頭を下げる。
年齢的には既に40を軽く超えているというが、見事な美人。ボンキュッボンなダイナマイトボディでこそないものの、全体的に均整のとれた、現代でいうモデル体型の彼女は、ほんの少しつり上がった目尻と、口元の小さなほくろがチャームポイントなセクシー美女だ。
髪は赤毛だが、ボリュームのある髪が下に行くに従って自然と波打つその様子は、ただ下ろしているだけで様になっている。
きちんと手入れをしなければすぐに妙な癖がつくみはるの髪とでが雲泥の差である。
もっとも、その髪も今はアイリーンの手によって真っ直ぐにすかれ、人生で初ではかろうかというくらいの輝きを放っているのであるが。
――そう。
暇を持て余し、中毒症状の如く仕事を求めてリュートに直談判しに行ったところ、無言の笑顔で放り込まれたのがこのアイリーンの元。
そして始まったのが怒涛の異世界流エステ。
「ちょっと、せっかくクマがなくなってきたっていうのに、辛気臭い顔のせいでシワができたらどうするの!今日は顔面のケアと、コルセットを使って腰周りの矯正をするから覚悟しておきなさいよ!」
その異常なまでに細い腰のコルセットが、もはや拷問道具にしか見えないのだかこれいかに。
張り切る美容部員に何を言っても無駄なことは、これまでで学習済みだ。
――人生初のブライダルエステin異世界は、スパルタ風味です。
アイリーンはもともと、この領から遠く離れた王都、とやらで貴族相手に化粧品やら美容グッズを販売している承認だったらしい。
だが、そこで何か問題があり王都にいられなくなり、元々王都での知り合いだったリュートを頼ってこちらで再び店を始めたそうだ。
もちろん、庶民相手に貴族と同じ商品が売れるはずなどなく、バカ高い化粧品を売りものにすることはやめ、今みはるが受けたような美容施術を少し頑張れば庶民でも手の届く金額で売り出している。
それがなかなか繁盛しているあたり、どこの世界でも、美容にかける女の執念は変わらないらしい。
「そういえば、アイリーンさんとリュート様は王都でのお知り合いだったんですよね?」
「そうよ。言っとくけど、男女関係なんてものはなかったからね。ただの知り合いよ、知り合い」
「え~。一回くらい誘惑してますよね、絶対?」
「あるけどあっさり振られた…って、嫌なこと思い出させないでよ!」
「あらま」
こんな美人をフルなんてもったいない。
「王都かぁ…。リュートさんもそこにいたんですねぇ。
…じゃ、もしかして、リュートさんのお父さんとも面識があるんですか?」
王族をかばって命を落としたという、リュートの父。
何気なく尋ねたみはるに、アイリーンはなぜか一瞬、言葉に詰まった。
「…そうね。優しい方だったわ。幼馴染の奥様…ご領主のお母様をとても大切にしていらして…」
うらやましいくらいだった、と小さくつぶやかれた言葉は、ひどく寂しげに響く。
その言葉に込められた思いにうすうす勘付きながらも、みはるはあえて何気ない素振りでうんうんとうなづく。
「リュートのお父さんなら、きっと格好良い方だったんでしょうね」
だがその言葉には、意外な反応が返った。
「あら。ご領主様とは似てないわよ。あの方は母親似」
「え、そうなんですか?てっきりご領主様似の神々しいお顔かと…」
「神々しくはないけど、もちろん女性にはモテたわよ。なんというか、精悍で男らしい顔立ちだったわね。それでいて穏やかで優しい人だったから…惹かれる女性は多かったわ」
「ふむふむ。じゃあリュート様の優しい性格はお父様譲りで、あの神々しい顔面はお母様ゆずりなんですね」
領主館のどこかに、家族揃った絵姿の一枚も残されてはいないだろうか?ぜひ一目お会いしたものである。
勝手に納得するみはるだが、アイリーンは更に首をふる。
「違うわ。あの性格も母親似よ」
「え?」
優しく穏やか、とはまさにリュートの為にある言葉のようだが。
「…あたしが言えた義理じゃないし、本当は黙ってるつもりだったけれど、流石に気の毒だから教えてあげるわ。ご領主様はね、性格がいいんじゃないの”いい性格をしてる”のよ。わかった?」
同じような言葉を全く違う意味で使い分けながら、みはるの前にずいっと身を乗り出し、念を押すアイリーン。
ぼそりと、「あの女も本当に”いい性格”してたわ…」と呟く。
会話の流れからして恐らくあの女とはリュートの母親のことであろうが…二人の間に何かあったのだろうか。
まぁ、ツンデレのいうセリフなので喧嘩するほど仲がいいといったところかもしれないが。
「ちょっと…妙な目で人見るのはやめて頂戴。言っとくけど、彼は相当の曲者よ。誰にでも優しくて穏やかだなんて、見せかけだけに決まってるじゃない。
一目ぼれした相手を屋敷に囲って自分以外見せないようにした挙句外堀埋めて求婚するなんて、本当の人格者ならしないわよ」
「…一目惚れ?」
――誰が、誰に。
「食いつくのはそこかしら。…あぁもう、本当の馬鹿に何を話しても無駄ってこと忘れてたわ」
勝手にしろ、と匙を投げられるが、今は「一目惚れ」という自分には縁が無いと思っていた言葉に頭がいっぱいで何も考えられない。
――どう考えても、一目ぼれしてもらえる要素なんて一つもなかったと思うんだけど。
「リュート様、まさかのゲテモノ食い…」
つぶやいた言葉に、アイリーンが深く深くため息を吐く。
「あなたねぇ…。ちょっと考えばわかること。
年頃の独身女性と二人きりで2年近くほぼ同棲状態なんて普通ありるわけないでしょ。
ただの雇用関係だと言いはったところで、誰が納得するって言うの。
それでもあえて雇い続けてたんだから、始めっから責任とって嫁にもらうつもりだったってことよ」
「おぅ…」
「…本当に、バカな子…」
そんなこと考えてもいなかった!と頭を抱えある姿をため息まじりに見下ろし、でも、とアイリーンは思う。
ー――そういう、自分に無頓着な所が少しだけ、あの人に似てるかもしれない。
初めは、なんでこんな子を選んだのかと疑問に思ったこともあったが、それも最初のうちだけだ。
バカすぎて、むしろ放っておけなくなってしまった。
無論、あの人は決してただのバカ、などではなかったのだが…。
息子は母親に似た女を妻に選ぶというが、その息子が完全に母親似の場合、選ぶ相手は父親とよく似た性格の相手になるということなのだろうか?
ここまで喋ってしまったのだから、いっそもう少しだけおせっかいを焼いてやろうかと口を開きかけた、その時だった。
バンッ!という激しい音と共に、突然開かれた部屋のドア。
「ちょっと!施術中よ!勝手に開けるなんてどういうつもり!?」
厳しい表情で振り返ったアイリーンは、扉の前に立つ相手に向かい容赦なく怒鳴りつける。
みはるもまた、びっくりしながら振り返ったのだが、そこに立っていたのは20代半ばと思われる二人の男。
「あんた、ミハルさんだろ?」
「はぇ?」
そのうちの一人、見知らぬ男に突然名指しで指をさされ、きょとんとしたまま妙な声が漏れた。
「ミハル!答えなくていいわよ!なんて失礼な人なの。さっさと出て行きなさい!」
無礼な二人組に、わざわざ答える義理などないとばかりにぴしゃりと言い切り、みはるをかばうようにその前に立つ。
だが。
「あれ…?なんか、よく見れば見覚えがあるような…」
アイリーン越しに、こっそりと二人の男をのぞき見ていたみはるは、どこかで…と小さく呟くと、ふいにその答えを思い出す。
「あ、リュート様が私の代わりに最近雇った人!」
「…なんですって?あなたたち、ミハルに一体何の用なの」
領主館で雇われている人間だと分かり、多少言葉の険を和らげながら胡散臭げに問いただしたアイリーンの前に、突如ガバッと二人が大きく頭を下げた。
「お願いしますっ!今すぐ戻てきてくださいっ!!俺たちだけじゃ、あんなとんでもない量の仕事をこなすのはとても無理ですっ!!!」
「え?」
「呆れた・・・。そんなことを言いにここへやってきたの?」
土下座せんばかりの勢いだが、ちょっと待ってほしい。
「でも、この間私がリュート様に聞いた話では、あの程度の仕事楽勝だって言ってる方を見つけて雇ってきたって聞きましたよ。私よりも優秀だそうだから、仕事の事は気にせずゆっくり休んでほしいって」
それからまだ数日しか経ってはいないのだが。
「・・・」
「え、アイリーンさん頭を抱えてどうしたんですか?」
「…隠してるんじゃなくてただ単にこの子が単純すぎて気付かないだけなのね…?むしろあからさまじゃない…」
「あからさま?」
「…もういいわ。あなたは一生騙されてなさい。
この事は後でご領主に文句を言わせていただくとして…。ミハル、あなたどうするの。まだこっちは任された仕事の半分も終わってないんだけど」
額に手を当て、嘆息しながらアイリーンがみはるへ問いかける。
「むしろこれでまだ半分以下っていうのが私の中で驚きなんですが…」
「当たり前でしょ?あんた女舐めすぎよ」
どこの世界でも、女子力とは遠い高みにあるらしい。
「でも、今ここに彼らがいるってことは、リュート様のもとに誰もいないってことですよね?」
雇われたのは確か2人だったはずだ。
「式の段取りは終わってますし、正直仕事の残りも気になるので、できることならリュート様の元に戻らせていただけると…」
「…あなたも相当甘いわね。…これも全部計算の上かしら」
あぁおもしろくない、と小声でつぶやいたあと、じろりと男たちふたりを睨む。
そういえば、名前すらも聞いていなかった。
「そこの根性なしども」
「は、はい!」
美女のひと睨みにあっさり屈した彼らに、冷たくニコリと微笑むと、更に唇を吊り上げる。
「ご領主様に伝えてちょうだい。
今から美容用品をいくつか渡すから、それを説明書通りに必ずこの子に使用させるようにって!
それから、夜の9時には必ず眠ること!もし時間があくようなら、予約なんて真似しなくていいから直ぐにここに連れてきなさい。それで手を打つことにすると」
「え、お持ち帰りですか!?あの、でもそれなら私に直接言ってもらえれば…。何もリュート様を通さなくとも」
「あんたは信用ならないのよ。せっかくそこまで戻ったのに、またクマなんて作った日にはただじゃ置かないんだから!…ちなみにそこの男どもも勿論領主館に戻るのよね?ここで職務をすべて放棄するなんてことはないでしょう?」
ふたりの会話に、あからさまにほっとした表情を見せていた彼らが、その言葉にぎくりと首をすくませた。
明らかに、逃げ帰る気まんまんだったようだが、そうとは言えず、おずおずと「勿論です…」と答える。
その答えに満足そうに頷いたアイリーンは、ふたりを見事に顎で使う。
「ならそうね。まずは領主館に帰るまで、この子の護衛をしなさい。それから、二日に一度、ご領主様がちゃんと私との約束を守っているか報告しに来ること。…後は領主館に帰ってこの子の仕事ぶりをよく見ておくといいわ。
どうせ、手伝っても邪魔にしかならないでしょうし」
しっかり見ておけ、と言われた二人は、複雑そうにみはるをちらりと一瞥するが、逃げ出した手前文句も言えず、ただ頷く。
「じゃ、今から用意するから、ちょっと待ってて頂戴。…ミハル!さっさと帰ろうとするんじゃないわよ!」
「バレた!でも後はこの人達に任せて私だけ先に帰らせていただくというわけには…」
「いくわけないでしょ。あなた私の話聞いてた?この二人にはあなたの護衛をしろといったでしょが。何一人で戻る気でいるの」
抜き足差し足、とのそりこっそり逃げ出そうとしていたのをあっさり看破され、首をすくめる。
「でも心配で…」
「あなたがいなくても死にゃしないわよ、あの方は。
第一、あなたが来る前は一人で領主の仕事をすべてこなしていたんだから、一ヶ月程度あなたがいなくたって本来何の問題もないはずなのよ。…そこの二人を雇ったのはただの見せしめでしょうし」
「?」
「あなたはわからなくてもいいわ。そこの役立たず共も、一緒に戻れば身にしみてわかるでしょ」
――これまで、みはるが、どれほど多くの仕事を一人でこなしてきたのか。
ほとんど私的な時間なく、全てをそこに費やしてきたといっても過言ではないだろう。
それを、たった数日の引き継ぎを受けただけで出来る気になるなど、バカな連中だ。
そんなことを普段から吹聴しているからこそ、こういうになる。
「とにかく!ちゃんと待つのよ!?待てぐらい犬でもできるでしょ!わかった!?」
「はい!」
「後で領主館に様子を見に行くから、ちゃんと言いつけを守るのよ!」
「「「はい!喜んで!!」」」
みはるだけではなく、つられて男ふたりまでぴしりと背を伸ばし、手を挙げるのを見、アイリーンは一人嘆息しながらも「しょうのない子達ねぇ」と、ほんの少しだけ、口元を緩ませた。
その言葉に憧れを抱いたのは、小学生の頃までだっただろうか。
中学になると、みはるのように両親がいないとまではいかずとも、片親がなくなっていたり、両親の離婚で祖父のもとに預けられたりといった様々な事情を抱えた生徒も多く、自然と諦めもつくようになった。
ないものねだりをしても不幸になるだけだとわかっていただけかもしれないが。
生まれてすぐに実の両親に虐待され、祖父母に預けられたものの、そこでも半ばネグレクトの扱いを受けていたという友人の言葉が、今になって重くのしかかる。
「アタシは一生、結婚なんてしないつもり。家族を知らない人間が家族を作ったって、うまくいきっこないもん」
家族を知らない人間に、家族はできない。
その言葉に納得してしまう自分は、本来彼女と同じ人種で間違いない。
そんなことない、虐待された子供の中にだって結婚して自分の家庭を持っている人もたくさんいる。
そういう人は多いだろうが、違うのだ。
自分たちは幸せを諦めているわけではない。
文学的に言えば、「足るを知る」とでも言おうか。
求めすぎなければ、幸せになれる。そういう幸せもあるのだと。
ー――勢いのままに結婚を決めてしまった今、グダグダと考えてしまうのは、事があまりに順調に運びすぎているからかもしれない。
リュートからの求婚を受け入れて3週間。
あっという間に身に付けるドレスも決まり、式を同時に行うことになる収穫祭まではあと2月程にせまった現在。
ある程度の段取りを済ませてしまえば、後はやることはなにもない。
いつものように領主館での仕事に戻ろうかと思っていたのだが、それはリュート本人に止められた。
一度仕事を始めてしまえば、式までにまた無理をして体を壊しかねないから、と。
一時的に人を雇い入れることによってみはるの不在分をカバーするので、その分休んでほしいと言われ、はじめの数日はゆっくり寝て過ごしたのだが、すぐに暇になってしまった。
これも社畜の悲しい性か、暇になると逆に不安になるものだ。
式の進行は何一つ問題なく順調。
「…順調…なんですけどねぇ…なんだか落ち着かないというか」
「なによ、せっかくの結婚式だっていうのに辛気臭い顔をして。そんなんじゃ、ご領主様に失礼でしょう」
はぁ、思わず漏れた愚痴に対し、背後からものすごい勢いで反論を返され、医務室にあるような白い長テーブルのようなものにうつ伏せに寝かせられた状態のみはるは、シュンと首を引っ込めつつもぼそぼそと言葉を返す。
「…実はうちの国ではマリッジブルーって言って、結婚式を控えた花嫁がかかる病気がありまして…」
「はぁ!?病気!?病気ならこんなとこにいないでさっさと医者に行きなさいよ!あなた、結婚式まであと1ヶ月もないのよ!?延期なんて事になったらタダじゃおかないからね!せっかくご領主様からの依頼ですもの、あんたはこの領で一番美しい花嫁としてあの方の元に嫁ぐのよ!」
「ゲホッ…!」
うつぶせのまま背中を平手打ちされ、勢いよくむせた。
「あ、あらちょっと、そんなに強く叩いたかしら?」
そのままゲホゲホと咳き込み始めたしまったみはるに慌ててその背中をさする。
「おぅ…。美人の平手は痛み以上のダメージを心にもたらします…。愛のムチが痛い。ビバツンデレ」
「…何言ってるのかわからないけど、腹が立つわね」
イラっとしていても、美人は美人だなぁ、と妙に感心しながら背後に立つ女性――アイリーンを振り向きながら上目に眺めつつ、みはるは「すみません」と一応頭を下げる。
年齢的には既に40を軽く超えているというが、見事な美人。ボンキュッボンなダイナマイトボディでこそないものの、全体的に均整のとれた、現代でいうモデル体型の彼女は、ほんの少しつり上がった目尻と、口元の小さなほくろがチャームポイントなセクシー美女だ。
髪は赤毛だが、ボリュームのある髪が下に行くに従って自然と波打つその様子は、ただ下ろしているだけで様になっている。
きちんと手入れをしなければすぐに妙な癖がつくみはるの髪とでが雲泥の差である。
もっとも、その髪も今はアイリーンの手によって真っ直ぐにすかれ、人生で初ではかろうかというくらいの輝きを放っているのであるが。
――そう。
暇を持て余し、中毒症状の如く仕事を求めてリュートに直談判しに行ったところ、無言の笑顔で放り込まれたのがこのアイリーンの元。
そして始まったのが怒涛の異世界流エステ。
「ちょっと、せっかくクマがなくなってきたっていうのに、辛気臭い顔のせいでシワができたらどうするの!今日は顔面のケアと、コルセットを使って腰周りの矯正をするから覚悟しておきなさいよ!」
その異常なまでに細い腰のコルセットが、もはや拷問道具にしか見えないのだかこれいかに。
張り切る美容部員に何を言っても無駄なことは、これまでで学習済みだ。
――人生初のブライダルエステin異世界は、スパルタ風味です。
アイリーンはもともと、この領から遠く離れた王都、とやらで貴族相手に化粧品やら美容グッズを販売している承認だったらしい。
だが、そこで何か問題があり王都にいられなくなり、元々王都での知り合いだったリュートを頼ってこちらで再び店を始めたそうだ。
もちろん、庶民相手に貴族と同じ商品が売れるはずなどなく、バカ高い化粧品を売りものにすることはやめ、今みはるが受けたような美容施術を少し頑張れば庶民でも手の届く金額で売り出している。
それがなかなか繁盛しているあたり、どこの世界でも、美容にかける女の執念は変わらないらしい。
「そういえば、アイリーンさんとリュート様は王都でのお知り合いだったんですよね?」
「そうよ。言っとくけど、男女関係なんてものはなかったからね。ただの知り合いよ、知り合い」
「え~。一回くらい誘惑してますよね、絶対?」
「あるけどあっさり振られた…って、嫌なこと思い出させないでよ!」
「あらま」
こんな美人をフルなんてもったいない。
「王都かぁ…。リュートさんもそこにいたんですねぇ。
…じゃ、もしかして、リュートさんのお父さんとも面識があるんですか?」
王族をかばって命を落としたという、リュートの父。
何気なく尋ねたみはるに、アイリーンはなぜか一瞬、言葉に詰まった。
「…そうね。優しい方だったわ。幼馴染の奥様…ご領主のお母様をとても大切にしていらして…」
うらやましいくらいだった、と小さくつぶやかれた言葉は、ひどく寂しげに響く。
その言葉に込められた思いにうすうす勘付きながらも、みはるはあえて何気ない素振りでうんうんとうなづく。
「リュートのお父さんなら、きっと格好良い方だったんでしょうね」
だがその言葉には、意外な反応が返った。
「あら。ご領主様とは似てないわよ。あの方は母親似」
「え、そうなんですか?てっきりご領主様似の神々しいお顔かと…」
「神々しくはないけど、もちろん女性にはモテたわよ。なんというか、精悍で男らしい顔立ちだったわね。それでいて穏やかで優しい人だったから…惹かれる女性は多かったわ」
「ふむふむ。じゃあリュート様の優しい性格はお父様譲りで、あの神々しい顔面はお母様ゆずりなんですね」
領主館のどこかに、家族揃った絵姿の一枚も残されてはいないだろうか?ぜひ一目お会いしたものである。
勝手に納得するみはるだが、アイリーンは更に首をふる。
「違うわ。あの性格も母親似よ」
「え?」
優しく穏やか、とはまさにリュートの為にある言葉のようだが。
「…あたしが言えた義理じゃないし、本当は黙ってるつもりだったけれど、流石に気の毒だから教えてあげるわ。ご領主様はね、性格がいいんじゃないの”いい性格をしてる”のよ。わかった?」
同じような言葉を全く違う意味で使い分けながら、みはるの前にずいっと身を乗り出し、念を押すアイリーン。
ぼそりと、「あの女も本当に”いい性格”してたわ…」と呟く。
会話の流れからして恐らくあの女とはリュートの母親のことであろうが…二人の間に何かあったのだろうか。
まぁ、ツンデレのいうセリフなので喧嘩するほど仲がいいといったところかもしれないが。
「ちょっと…妙な目で人見るのはやめて頂戴。言っとくけど、彼は相当の曲者よ。誰にでも優しくて穏やかだなんて、見せかけだけに決まってるじゃない。
一目ぼれした相手を屋敷に囲って自分以外見せないようにした挙句外堀埋めて求婚するなんて、本当の人格者ならしないわよ」
「…一目惚れ?」
――誰が、誰に。
「食いつくのはそこかしら。…あぁもう、本当の馬鹿に何を話しても無駄ってこと忘れてたわ」
勝手にしろ、と匙を投げられるが、今は「一目惚れ」という自分には縁が無いと思っていた言葉に頭がいっぱいで何も考えられない。
――どう考えても、一目ぼれしてもらえる要素なんて一つもなかったと思うんだけど。
「リュート様、まさかのゲテモノ食い…」
つぶやいた言葉に、アイリーンが深く深くため息を吐く。
「あなたねぇ…。ちょっと考えばわかること。
年頃の独身女性と二人きりで2年近くほぼ同棲状態なんて普通ありるわけないでしょ。
ただの雇用関係だと言いはったところで、誰が納得するって言うの。
それでもあえて雇い続けてたんだから、始めっから責任とって嫁にもらうつもりだったってことよ」
「おぅ…」
「…本当に、バカな子…」
そんなこと考えてもいなかった!と頭を抱えある姿をため息まじりに見下ろし、でも、とアイリーンは思う。
ー――そういう、自分に無頓着な所が少しだけ、あの人に似てるかもしれない。
初めは、なんでこんな子を選んだのかと疑問に思ったこともあったが、それも最初のうちだけだ。
バカすぎて、むしろ放っておけなくなってしまった。
無論、あの人は決してただのバカ、などではなかったのだが…。
息子は母親に似た女を妻に選ぶというが、その息子が完全に母親似の場合、選ぶ相手は父親とよく似た性格の相手になるということなのだろうか?
ここまで喋ってしまったのだから、いっそもう少しだけおせっかいを焼いてやろうかと口を開きかけた、その時だった。
バンッ!という激しい音と共に、突然開かれた部屋のドア。
「ちょっと!施術中よ!勝手に開けるなんてどういうつもり!?」
厳しい表情で振り返ったアイリーンは、扉の前に立つ相手に向かい容赦なく怒鳴りつける。
みはるもまた、びっくりしながら振り返ったのだが、そこに立っていたのは20代半ばと思われる二人の男。
「あんた、ミハルさんだろ?」
「はぇ?」
そのうちの一人、見知らぬ男に突然名指しで指をさされ、きょとんとしたまま妙な声が漏れた。
「ミハル!答えなくていいわよ!なんて失礼な人なの。さっさと出て行きなさい!」
無礼な二人組に、わざわざ答える義理などないとばかりにぴしゃりと言い切り、みはるをかばうようにその前に立つ。
だが。
「あれ…?なんか、よく見れば見覚えがあるような…」
アイリーン越しに、こっそりと二人の男をのぞき見ていたみはるは、どこかで…と小さく呟くと、ふいにその答えを思い出す。
「あ、リュート様が私の代わりに最近雇った人!」
「…なんですって?あなたたち、ミハルに一体何の用なの」
領主館で雇われている人間だと分かり、多少言葉の険を和らげながら胡散臭げに問いただしたアイリーンの前に、突如ガバッと二人が大きく頭を下げた。
「お願いしますっ!今すぐ戻てきてくださいっ!!俺たちだけじゃ、あんなとんでもない量の仕事をこなすのはとても無理ですっ!!!」
「え?」
「呆れた・・・。そんなことを言いにここへやってきたの?」
土下座せんばかりの勢いだが、ちょっと待ってほしい。
「でも、この間私がリュート様に聞いた話では、あの程度の仕事楽勝だって言ってる方を見つけて雇ってきたって聞きましたよ。私よりも優秀だそうだから、仕事の事は気にせずゆっくり休んでほしいって」
それからまだ数日しか経ってはいないのだが。
「・・・」
「え、アイリーンさん頭を抱えてどうしたんですか?」
「…隠してるんじゃなくてただ単にこの子が単純すぎて気付かないだけなのね…?むしろあからさまじゃない…」
「あからさま?」
「…もういいわ。あなたは一生騙されてなさい。
この事は後でご領主に文句を言わせていただくとして…。ミハル、あなたどうするの。まだこっちは任された仕事の半分も終わってないんだけど」
額に手を当て、嘆息しながらアイリーンがみはるへ問いかける。
「むしろこれでまだ半分以下っていうのが私の中で驚きなんですが…」
「当たり前でしょ?あんた女舐めすぎよ」
どこの世界でも、女子力とは遠い高みにあるらしい。
「でも、今ここに彼らがいるってことは、リュート様のもとに誰もいないってことですよね?」
雇われたのは確か2人だったはずだ。
「式の段取りは終わってますし、正直仕事の残りも気になるので、できることならリュート様の元に戻らせていただけると…」
「…あなたも相当甘いわね。…これも全部計算の上かしら」
あぁおもしろくない、と小声でつぶやいたあと、じろりと男たちふたりを睨む。
そういえば、名前すらも聞いていなかった。
「そこの根性なしども」
「は、はい!」
美女のひと睨みにあっさり屈した彼らに、冷たくニコリと微笑むと、更に唇を吊り上げる。
「ご領主様に伝えてちょうだい。
今から美容用品をいくつか渡すから、それを説明書通りに必ずこの子に使用させるようにって!
それから、夜の9時には必ず眠ること!もし時間があくようなら、予約なんて真似しなくていいから直ぐにここに連れてきなさい。それで手を打つことにすると」
「え、お持ち帰りですか!?あの、でもそれなら私に直接言ってもらえれば…。何もリュート様を通さなくとも」
「あんたは信用ならないのよ。せっかくそこまで戻ったのに、またクマなんて作った日にはただじゃ置かないんだから!…ちなみにそこの男どもも勿論領主館に戻るのよね?ここで職務をすべて放棄するなんてことはないでしょう?」
ふたりの会話に、あからさまにほっとした表情を見せていた彼らが、その言葉にぎくりと首をすくませた。
明らかに、逃げ帰る気まんまんだったようだが、そうとは言えず、おずおずと「勿論です…」と答える。
その答えに満足そうに頷いたアイリーンは、ふたりを見事に顎で使う。
「ならそうね。まずは領主館に帰るまで、この子の護衛をしなさい。それから、二日に一度、ご領主様がちゃんと私との約束を守っているか報告しに来ること。…後は領主館に帰ってこの子の仕事ぶりをよく見ておくといいわ。
どうせ、手伝っても邪魔にしかならないでしょうし」
しっかり見ておけ、と言われた二人は、複雑そうにみはるをちらりと一瞥するが、逃げ出した手前文句も言えず、ただ頷く。
「じゃ、今から用意するから、ちょっと待ってて頂戴。…ミハル!さっさと帰ろうとするんじゃないわよ!」
「バレた!でも後はこの人達に任せて私だけ先に帰らせていただくというわけには…」
「いくわけないでしょ。あなた私の話聞いてた?この二人にはあなたの護衛をしろといったでしょが。何一人で戻る気でいるの」
抜き足差し足、とのそりこっそり逃げ出そうとしていたのをあっさり看破され、首をすくめる。
「でも心配で…」
「あなたがいなくても死にゃしないわよ、あの方は。
第一、あなたが来る前は一人で領主の仕事をすべてこなしていたんだから、一ヶ月程度あなたがいなくたって本来何の問題もないはずなのよ。…そこの二人を雇ったのはただの見せしめでしょうし」
「?」
「あなたはわからなくてもいいわ。そこの役立たず共も、一緒に戻れば身にしみてわかるでしょ」
――これまで、みはるが、どれほど多くの仕事を一人でこなしてきたのか。
ほとんど私的な時間なく、全てをそこに費やしてきたといっても過言ではないだろう。
それを、たった数日の引き継ぎを受けただけで出来る気になるなど、バカな連中だ。
そんなことを普段から吹聴しているからこそ、こういうになる。
「とにかく!ちゃんと待つのよ!?待てぐらい犬でもできるでしょ!わかった!?」
「はい!」
「後で領主館に様子を見に行くから、ちゃんと言いつけを守るのよ!」
「「「はい!喜んで!!」」」
みはるだけではなく、つられて男ふたりまでぴしりと背を伸ばし、手を挙げるのを見、アイリーンは一人嘆息しながらも「しょうのない子達ねぇ」と、ほんの少しだけ、口元を緩ませた。
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