平凡顔吸血鬼が極上の獲物に捕食されました。

隆駆

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存在理由と私と帝①

そもそも私は、吸血鬼なんてものに生まれたいと思ったことは一度もない。

父母ともに吸血鬼。
しかし、その長女として生まれた姉はただの人間だった。

人か人以外吸血鬼かを分けるのはただの確率に過ぎない。
その事に対して文句を言うものはなく、実際に父母は娘がただの人であることをとても喜んだ。
吸血鬼として生きることの面倒も、十分に知り尽くしていたからだろう。

そして4年後に生まれた次女が、私。
間違いようのない、吸血鬼だった。

生まれたその時、私の瞳は朱金の輝きをおび、「吸血鬼専用」の医師達すらもが、その異形の姿にひれ伏した。
なぜならそれは、吸血鬼の中でも、「真祖」と呼ばれるものだけが持つ瞳だったからだ。


簡単に言えば、それだけの話。
けれど、そのことをきっかけに私を一族の王のように扱う存在が居るのも確かで。

生まれてすぐ、私は一族の長とも呼べる人物により、こう名付けられた。


レジーナ女王」と。



                     ※


「つまりあんたが人より体が弱いのも、やたらと偏食なのも、その、綺麗な瞳もーーーーーー。
みぃんな、ご先祖様から受け継いだものだった、ってことね」
「…先祖といっても、もう何百年も前のことよ」
「古の吸血鬼、聞いただけでロマンチックといえばロマンチックね。
その末裔があんたじゃ、笑えない話だけど」
「………うるさい」

連れ帰られた部屋。
目覚めた時にそこにあったのは、当然のように帝の顔で。

ホッとした、その途端に頬を引っ張られた。

「このバカ娘」と。

どうやら貧血と熱中症とで、結構危険な状態にあったようだ。
あれからほとんど一日中眠っていたらしい。
普通の人間の医者に見せてよいものかわからず、心配でずっと付いていたとのこと。

「……目の下に隈が出来てるわよ」

そう指摘すれば、

「全部あんたのせいなんだから、後で一緒に美容パックに付き合ってもらうわよ」

徹底的にやるんだから、と意気込む帝。

「…馬鹿」
「女を一日怠けると、後で一生後悔する事になるのよ」

覚えておきない。

そう言いながら軽く額を指でつつかれ、「あんた男でしょ」とつい憎まれ口を叩く。


いつもなら「それとこれとは別問題!」だの、騒がしい返事が返ってくるところだが、この日は違った。
無言のままレジーナの顎をとり、その唇にくちづけを落とし、にやりと笑う。

「そうね、男ね。だからあんたともこんなことができるわけだし」

男で良かったわ、と。

笑う帝が、妙に眩しく見えて。

「ところであんた、お腹がすいてるんじゃないの?」と、その首筋を差し出され、少し迷った。

「……大丈夫なの?」
「何がよ?」

「………あんたの、体がよ」

ただでさえ一日中ずっとついていたのなら、随分疲れているだろう。
その状態で吸血行為までされたら、健康な成人男性といえどダメージは免れない。


「何を遠慮してるの。馬鹿な子ね。
竜ちゃんも言ってたでしょ。
生き物を飼うのなら、食餌食事の世話くらい、当然の義務よ」
「………生き物…」

とんでもなく不服だが、確かに今の状態では帝に飼われているのとなんら変わりない。
それにふふ、と笑った帝が続ける。

「その言い方が不満なら言い直してあげましょうか?」
「え?」

そんなことを帝がいうのは、初めてのことで。


「可愛い嫁を養うのは、夫として当然の義務だろう?」

「………は?」


当然のように言われたその言葉に、バカのようにぽかんと開けた口を再び塞がれ。

「さ。にしましょ」
「……んっ……!!」

唾液のついた唇をぺろりと帝の舌が舐め取り。
言葉よりも何よりも、二人にとって大切な時間が始まった。
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