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第二章 新たな物語へ
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「リズお嬢様、せめて髪を乾かしてから寝てください。本当に私がいないとすぐにズボラになっちゃうんですから…」
朝からメリーは、大きなため息をつくと、私の頭に蒸しタオルをのせる。
「普通のお嬢様は、少しでも自分を綺麗に見せようと努力するものですよ。
それなのにお嬢様は、まったくその気がなくて…」
「私にはメリーがいるから、大丈夫だもん。
ずっと側にいてね。
メリー。」
トントン
ドアがノックされる。
「メリー、行ってくるわね」
私は鞄を抱えて扉を開ける。
「アマリリス、おはよう。」
「殿下、おはようございます。」
今日から皇太子専用の馬車での登下校となる。
皇太子の手を借り馬車に乗る。
「これなんだが、一応目を通しておいた方がいいかと思って……」
手渡された新聞にはスキャンダルのように私と皇太子のことが書いてあった。
これでは、私が皇太子を
誘惑したみたいではないか。
それだけではない、家紋の事まで書かれている。
貴族といっても、一枚岩ではない。
中央で政治や経済に携わる中央貴族と、
領地を持ち領地を治める地方貴族。
何故か中央貴族の方に重きをおかれている風潮だ。
地方貴族、それも辺境地となれば中央貴族にとっては、面白くないのだろう。
「アマリリス」
皇太子が私の左手をとると、不思議な模様の描かれた黄金のブレスレットをはめる。
「アマリリスも私につけてくれないだろうか?」
私の手に同じデザインのブレスレットを渡し、左手を差し出す。
皇太子の左手首にブレスレットをつける。
「これは何ですか?」
「『DragonHeart』龍帝と龍妃の証の腕輪だ。」
!!!
「あの、まだ私達はまだ婚約すらしていないのに、これはお返しします。」
ブレスレットを外そうと試みるものの、まったく外れない。
「これはつけた相手に想いがあるうちは外れないんだ。」
皇太子は寂しそうに笑った後、自分のブレスレットを外して見せる。
「アマリリスは、まだ私を想ってはくれてないみたいだね。」
「ごめんなさい。」
皇太子が左手を私の方へと差し出す。
私はうつむいたまま、皇太子のブレスレットをつけなおす。
「そんな顔をしないでくれ。時間がかかっても好きになってもらえるよう努力すればいいだけだから。」
皇太子が私の頬に手をあてる。
「アマリリス、君の侍女はリズと君を呼んでいるが?」
「幼い頃、アマリリスのリリスが舌足らずでアマリリズと…
そのままそれが家族内での私の愛称となってしまったのです。」
「私もリズと呼んでもいいかな?
リズも私をシドと呼んでくれたら嬉しいのだが…」
馬車が止まる。
皇太子が先に降りて
手をさしのべる。
私は皇太子の手に自分の手を添える。
「ありがとう……シド。」
添えられたシドの手が少しだけ熱く感じた。
朝からメリーは、大きなため息をつくと、私の頭に蒸しタオルをのせる。
「普通のお嬢様は、少しでも自分を綺麗に見せようと努力するものですよ。
それなのにお嬢様は、まったくその気がなくて…」
「私にはメリーがいるから、大丈夫だもん。
ずっと側にいてね。
メリー。」
トントン
ドアがノックされる。
「メリー、行ってくるわね」
私は鞄を抱えて扉を開ける。
「アマリリス、おはよう。」
「殿下、おはようございます。」
今日から皇太子専用の馬車での登下校となる。
皇太子の手を借り馬車に乗る。
「これなんだが、一応目を通しておいた方がいいかと思って……」
手渡された新聞にはスキャンダルのように私と皇太子のことが書いてあった。
これでは、私が皇太子を
誘惑したみたいではないか。
それだけではない、家紋の事まで書かれている。
貴族といっても、一枚岩ではない。
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領地を持ち領地を治める地方貴族。
何故か中央貴族の方に重きをおかれている風潮だ。
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「アマリリス」
皇太子が私の左手をとると、不思議な模様の描かれた黄金のブレスレットをはめる。
「アマリリスも私につけてくれないだろうか?」
私の手に同じデザインのブレスレットを渡し、左手を差し出す。
皇太子の左手首にブレスレットをつける。
「これは何ですか?」
「『DragonHeart』龍帝と龍妃の証の腕輪だ。」
!!!
「あの、まだ私達はまだ婚約すらしていないのに、これはお返しします。」
ブレスレットを外そうと試みるものの、まったく外れない。
「これはつけた相手に想いがあるうちは外れないんだ。」
皇太子は寂しそうに笑った後、自分のブレスレットを外して見せる。
「アマリリスは、まだ私を想ってはくれてないみたいだね。」
「ごめんなさい。」
皇太子が左手を私の方へと差し出す。
私はうつむいたまま、皇太子のブレスレットをつけなおす。
「そんな顔をしないでくれ。時間がかかっても好きになってもらえるよう努力すればいいだけだから。」
皇太子が私の頬に手をあてる。
「アマリリス、君の侍女はリズと君を呼んでいるが?」
「幼い頃、アマリリスのリリスが舌足らずでアマリリズと…
そのままそれが家族内での私の愛称となってしまったのです。」
「私もリズと呼んでもいいかな?
リズも私をシドと呼んでくれたら嬉しいのだが…」
馬車が止まる。
皇太子が先に降りて
手をさしのべる。
私は皇太子の手に自分の手を添える。
「ありがとう……シド。」
添えられたシドの手が少しだけ熱く感じた。
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