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第三章 移り行く現実
忍びよる暗雲
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三泊四日の船の旅が終わる。
アマリリスとして生きてきたファフニールでの日々を過去へと追いやる。
そして今日から、ここアイアタルでアリスとして生きていく。
船をおりて、まずは住み込みで働ける場所を探すために職業斡旋所を探す。
あっ...この匂い
匂いにつられて入ったお店は、初老のご夫婦と思われる二人で営業している小さなカフェで、私は迷わず珈琲を注文する。
深煎りの珈琲は苦味と酸味のバランスがよくて、思わずフルフルと震えるくらいだ。
「お嬢さん、お口にあったかい?」
「はい。すごく美味しいです。」
久しぶりの珈琲を堪能し、お会計をすませる。
「あの、職業斡旋所にいきたいのですが、どちらにあるか教えていただけませんか?」
「仕事を探しているのかい?」
「来年、医学アカデミーを受験したくて、住み込みで働ける場所を探しているんです。」
「あなた計算できる?」
奥様が尋ねてくる。
「はい。出来ます。」
「二階の息子が使っていた部屋と三食珈琲つき、週休二日、賃金はそんなに払えないけど、」
「是非、お願いします。
私、アリスです。
十七歳です。
計算は大得意です。」
「アリス、五番テーブルに持っていて。」
「はい。五番ですね。」
「アリス、お会計おねがい」
「はい。今すぐに行きます」
アイアタルに来て四ヶ月が経った。
自分で選び、自分で決めることがこんなに大変で、楽しいなんてしらなかった。
私はもう長岡涼子でもアマリリスでもない。
ただのアリスとして、アイアタル帝国で生活している。
短く切った髪と日に焼けた肌を見たらメリーは泣くかしら?
数日前、新聞でファフニールの皇太子が病で倒れたと、書いてあったのを読んだからなのか、最近、イシードが泣いている夢を良く見るのだ。
カランカラン
お店の扉につけてある鐘の音がする。
「いらっしゃいませ。」
私は笑顔で接客する。
アリスとして。
~ファフニール帝国~
「息子の容態は?」
医師は首を横にふる。
番と出会えることが至上の喜びならば、失うことは…
言葉では言い尽くせない絶望感だろう。
アマリリスが居なくなった日から、息子は帝国中を探し歩いた。
それは辺境伯も同じだった。
中央貴族はここぞとばかりに自分達の息のかかった令嬢をおくってくる。
精神的にも肉体的にも息子は限界だったのだろう。
高熱を出してそのまま目を覚まさなくなって5日経った。
このままでは息子を失ってしまう。
その前にアマリリスを見つけなくては。
番を見つけた息子を羨ましいと思っただが、今の息子を見ると…
「貴方、イシードは大丈夫でしょうか?」
妻が息子の手を握り涙ぐむ。
私にはこの程度の愛がいい。
祖父や息子のように
自らを忘れてしまうような呪いのような愛よりも。
「国中に知らせを出せ。
ファフニール帝国の皇太子の婚約者の安全を守れなかった、ローズ辺境伯のタウンハウスの従者、守衛、侍女の処刑をおこなうと。」
アマリリスとして生きてきたファフニールでの日々を過去へと追いやる。
そして今日から、ここアイアタルでアリスとして生きていく。
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「是非、お願いします。
私、アリスです。
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計算は大得意です。」
「アリス、五番テーブルに持っていて。」
「はい。五番ですね。」
「アリス、お会計おねがい」
「はい。今すぐに行きます」
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私はもう長岡涼子でもアマリリスでもない。
ただのアリスとして、アイアタル帝国で生活している。
短く切った髪と日に焼けた肌を見たらメリーは泣くかしら?
数日前、新聞でファフニールの皇太子が病で倒れたと、書いてあったのを読んだからなのか、最近、イシードが泣いている夢を良く見るのだ。
カランカラン
お店の扉につけてある鐘の音がする。
「いらっしゃいませ。」
私は笑顔で接客する。
アリスとして。
~ファフニール帝国~
「息子の容態は?」
医師は首を横にふる。
番と出会えることが至上の喜びならば、失うことは…
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精神的にも肉体的にも息子は限界だったのだろう。
高熱を出してそのまま目を覚まさなくなって5日経った。
このままでは息子を失ってしまう。
その前にアマリリスを見つけなくては。
番を見つけた息子を羨ましいと思っただが、今の息子を見ると…
「貴方、イシードは大丈夫でしょうか?」
妻が息子の手を握り涙ぐむ。
私にはこの程度の愛がいい。
祖父や息子のように
自らを忘れてしまうような呪いのような愛よりも。
「国中に知らせを出せ。
ファフニール帝国の皇太子の婚約者の安全を守れなかった、ローズ辺境伯のタウンハウスの従者、守衛、侍女の処刑をおこなうと。」
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