104 / 129
第7章 横の糸の物語~春美編~
さよならの変わりに
しおりを挟む
サンバインは帝都で暮らし
2ヶ月に10日程度
公国に帰宅する。
そんな暮らしを7年も
続けてきた。
サンバインの私への愛情は
冷めるどころか
熱くなる一方だ。
昼間は息子から
片時も離れず公務をこなし
夜は離れた分を
取り戻すかのように
激しく求めあう。
夫との結婚生活で
私は愛は冷めるものだと
思っていた。
でも、
サンバインは違った。
愛されているという確信は
私を強くさせる。
領地改革も順調にすすみ
愛息子のアレックスも
すくすくと成長している。
こんな日が永遠に続くと
信じていた。
「魔力枯渇症です。
残念ですが……」
そろそろ2人目を……
そう思っての
夫婦揃っての
診察だったのに
告げられたのは
まさかの
余命宣告だった。
不思議と心は穏やかだった。
怖くないと言ったら
嘘になる。
でも、
心のどこかで
これで勘太郎の所へ
戻れるのでは?と思う自分もいる。
捨てたはずの
勘太郎への想いが強くなる。
そうなると
死はとても
甘美なものになる。
「ハルミ
お願いがあるんだ。」
それは恐ろしい
願いでもあり
サンバインの常軌を逸した
私への執着とも呼べる
重くて深い愛情だった。
サンバインの願い
それは侍女のハンナと
身体を変えて欲しいという
ものだった。
「体を変える?」
「皇族には代々、
聖魔法が受け継がれるんだ
私の能力はチェンジ
魂と体を変えられるんだ。
ハンナの了承は得ている。
ハルミ、お願いだ。
首をたてにふってくれ。」
涙ながらに訴える
愛しいサンバインの願いを
断れるわけもなく
私は首をたてにふった。
3日後の夜
私は旦那様のチェンジを
うけることになった。
それまでの3日間
私は狂ったように
日中はアレックスと過ごし
夜はサンバインを求めた。
3日後の夜
「素敵な夢を見てね。」
アレックスの頬に
軽くキスをおくる。
「母様も良い夢を…」
私の頬にキスをかえす
アレックス
思いっきり
強く抱きしめる。
最低な母親だ。
7年前はアレックスを選び
勘太郎をあきらめた。
そして今は勘太郎を選び
アレックスをあきらめる。
そして勘太郎のために
親友の体を奪うのだ。
恵理……ごめんね。
本当にごめんね。
私は今から
最低な決断をする。
愛する夫
サンバインをだまし
愛する息子
アレックスを捨てて
小学校からの親友
恵理の体を奪う
恵理に手紙を書いた。
今までの事と
これからの事
私を許さないで欲しいと
そして
サンバインにも……
サンバインが
私の額に口づける。
体が光に包まれる
あっ...
この光を私は知っている。
意識が遠退いていく。
薄れ行く意識の中で
愛するサンバインを
見つめる。
「愛しているサンバイン」
さよならの変わりに
サンバインに告げる。
体が光に溶けていく……
2ヶ月に10日程度
公国に帰宅する。
そんな暮らしを7年も
続けてきた。
サンバインの私への愛情は
冷めるどころか
熱くなる一方だ。
昼間は息子から
片時も離れず公務をこなし
夜は離れた分を
取り戻すかのように
激しく求めあう。
夫との結婚生活で
私は愛は冷めるものだと
思っていた。
でも、
サンバインは違った。
愛されているという確信は
私を強くさせる。
領地改革も順調にすすみ
愛息子のアレックスも
すくすくと成長している。
こんな日が永遠に続くと
信じていた。
「魔力枯渇症です。
残念ですが……」
そろそろ2人目を……
そう思っての
夫婦揃っての
診察だったのに
告げられたのは
まさかの
余命宣告だった。
不思議と心は穏やかだった。
怖くないと言ったら
嘘になる。
でも、
心のどこかで
これで勘太郎の所へ
戻れるのでは?と思う自分もいる。
捨てたはずの
勘太郎への想いが強くなる。
そうなると
死はとても
甘美なものになる。
「ハルミ
お願いがあるんだ。」
それは恐ろしい
願いでもあり
サンバインの常軌を逸した
私への執着とも呼べる
重くて深い愛情だった。
サンバインの願い
それは侍女のハンナと
身体を変えて欲しいという
ものだった。
「体を変える?」
「皇族には代々、
聖魔法が受け継がれるんだ
私の能力はチェンジ
魂と体を変えられるんだ。
ハンナの了承は得ている。
ハルミ、お願いだ。
首をたてにふってくれ。」
涙ながらに訴える
愛しいサンバインの願いを
断れるわけもなく
私は首をたてにふった。
3日後の夜
私は旦那様のチェンジを
うけることになった。
それまでの3日間
私は狂ったように
日中はアレックスと過ごし
夜はサンバインを求めた。
3日後の夜
「素敵な夢を見てね。」
アレックスの頬に
軽くキスをおくる。
「母様も良い夢を…」
私の頬にキスをかえす
アレックス
思いっきり
強く抱きしめる。
最低な母親だ。
7年前はアレックスを選び
勘太郎をあきらめた。
そして今は勘太郎を選び
アレックスをあきらめる。
そして勘太郎のために
親友の体を奪うのだ。
恵理……ごめんね。
本当にごめんね。
私は今から
最低な決断をする。
愛する夫
サンバインをだまし
愛する息子
アレックスを捨てて
小学校からの親友
恵理の体を奪う
恵理に手紙を書いた。
今までの事と
これからの事
私を許さないで欲しいと
そして
サンバインにも……
サンバインが
私の額に口づける。
体が光に包まれる
あっ...
この光を私は知っている。
意識が遠退いていく。
薄れ行く意識の中で
愛するサンバインを
見つめる。
「愛しているサンバイン」
さよならの変わりに
サンバインに告げる。
体が光に溶けていく……
20
あなたにおすすめの小説
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる