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回想~四つ葉のクローバ 3~
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「今度の休みに家に来ない?」
シルビアが微笑む。
「えっ、私なんかがお邪魔してもいいのかしら?」
辺境伯であるシルビアの家紋は建国当時から続くもので、皇室ともつながりがある。
「アーシャに来てもらいたいのよ。」
私の左手の小指にシルビアは小指をからめて
「約束ね」と笑った。
「うわぁ~」
噂を聞いてはいたがまるでお城かと見間違うほどの屋敷が私を迎える。
「待ってたわよ」
馬車を降りるとそこにはドレス姿のシルビアが待ちかまえる。
銀色のウエーブの髪がサラサラと風に揺れ、藍色の瞳が優しく私を捕らえる。瞳と同色のシンプルだが上質なドレスが彼女の美しさをひきたたせる。
「シルビア、とっても綺麗だわ」
思わず口に出た言葉にシルビアが顔を赤らめながら
「アーシャ、貴方もとっても綺麗だわ」そう囁いた。
出会って半年、私達はお互いのドレス姿を初めて目にしたのだ。
騎士課では騎士服着用が義務つけられていて、祭事や行事等もすべて騎士服での参加になるからだ。
シルビアの部屋に通されると
そこには私が好きな苺のお菓子が沢山揃えられていた。
「今日は沢山お話しましょう」
シルビアが紅茶をいれながら
私に座るよう促す。
「もちろん。」
親友とは言っても学園では話せないことがたくさんある。
特に女子2人しかいない騎士課では何処にいても何をしてもめだってしまう。
自ずと話すことは当たり障りのないものが多くなるのは必然だ。
家紋の為、ドレスではなく騎士服を選ぶ。男子と変わらない課程をこなし家紋に恥じぬ評価を得るため努力を重ねる。
「アーシャ、貴方がいてくれるから辛い毎日に私は耐えられるの」
私の手をとるとシルビアは私の目を見つめ
「アーシャ、貴方が好きなの」
そう言うと私の手に唇をよせる。
私はただ、黙ってそれを受け入れた。
否、何も出来なかった。
気がつくと私の目の前にシルビアがいて、そして柔らかな唇が私の唇をふさいでいた。
「これがキスなのかしら?」
女同士なのに、初めてのキスなのに、シルビアの震える唇と手が私の思考を鈍らせる。
「昨今では友人ともキスするものなのね」
きっと私が世間に疎いだけで、これ自体に深い意味はないはず。数秒触れあった唇が離れシルビアは黙ったまま席につく。
気がつくと帰りの馬車の中、あの後どうやって時を過ごしたのか覚えていない。ただ馬車に乗り込む時、
「また学園で」
そう微笑むシルビアに
「ええ。学園で」
と応えた私の顔は少しだけ暗いものだった。
シルビアが微笑む。
「えっ、私なんかがお邪魔してもいいのかしら?」
辺境伯であるシルビアの家紋は建国当時から続くもので、皇室ともつながりがある。
「アーシャに来てもらいたいのよ。」
私の左手の小指にシルビアは小指をからめて
「約束ね」と笑った。
「うわぁ~」
噂を聞いてはいたがまるでお城かと見間違うほどの屋敷が私を迎える。
「待ってたわよ」
馬車を降りるとそこにはドレス姿のシルビアが待ちかまえる。
銀色のウエーブの髪がサラサラと風に揺れ、藍色の瞳が優しく私を捕らえる。瞳と同色のシンプルだが上質なドレスが彼女の美しさをひきたたせる。
「シルビア、とっても綺麗だわ」
思わず口に出た言葉にシルビアが顔を赤らめながら
「アーシャ、貴方もとっても綺麗だわ」そう囁いた。
出会って半年、私達はお互いのドレス姿を初めて目にしたのだ。
騎士課では騎士服着用が義務つけられていて、祭事や行事等もすべて騎士服での参加になるからだ。
シルビアの部屋に通されると
そこには私が好きな苺のお菓子が沢山揃えられていた。
「今日は沢山お話しましょう」
シルビアが紅茶をいれながら
私に座るよう促す。
「もちろん。」
親友とは言っても学園では話せないことがたくさんある。
特に女子2人しかいない騎士課では何処にいても何をしてもめだってしまう。
自ずと話すことは当たり障りのないものが多くなるのは必然だ。
家紋の為、ドレスではなく騎士服を選ぶ。男子と変わらない課程をこなし家紋に恥じぬ評価を得るため努力を重ねる。
「アーシャ、貴方がいてくれるから辛い毎日に私は耐えられるの」
私の手をとるとシルビアは私の目を見つめ
「アーシャ、貴方が好きなの」
そう言うと私の手に唇をよせる。
私はただ、黙ってそれを受け入れた。
否、何も出来なかった。
気がつくと私の目の前にシルビアがいて、そして柔らかな唇が私の唇をふさいでいた。
「これがキスなのかしら?」
女同士なのに、初めてのキスなのに、シルビアの震える唇と手が私の思考を鈍らせる。
「昨今では友人ともキスするものなのね」
きっと私が世間に疎いだけで、これ自体に深い意味はないはず。数秒触れあった唇が離れシルビアは黙ったまま席につく。
気がつくと帰りの馬車の中、あの後どうやって時を過ごしたのか覚えていない。ただ馬車に乗り込む時、
「また学園で」
そう微笑むシルビアに
「ええ。学園で」
と応えた私の顔は少しだけ暗いものだった。
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