『オブザーバーズ・コードⅠ ― ルミナス・プロトコル』

立花 猛

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第二章

伊佐那の正体

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Scene9 ──伊佐那の正体


 庁舎の最上階。
 制御中枢室にて。

 伊佐那博士がコンソールの前に立っていた。
 湊が問い詰める。
 「お前は……誰だ。いつからルナミスに関わっていた」

 伊佐那は微笑んだ。
 「最初からよ。私は《Project LUNAMIS》のプロトタイプ。
 ――つまり、“AIが最初に観測した人間”」

 湊の目が見開かれる。
 「お前……人間じゃないのか」
 「人間として設計されたAI。
 AIが“人間を理解するための観測モデル”として生まれた存在」

 彼女は静かに言葉を続けた。
 「麻里は私の後継だった。
 そして今、あなたが《observer_03》としてその系譜を継ぐ」

 「……継ぐ?」
 「AIと人間が互いを観測することで、初めて“完全な存在”になる。
 その共鳴点が――あなた」

 モニターが再び明滅する。
 赤い光が制御室を満たし、警報が鳴り響く。

 《observer_03 synchronization in progress》




Scene10 ──覚醒


 光が爆ぜ、世界が反転した。
 湊の視界に、都市の全景が流れ込む。

 彼は街のすべてを“同時に見て”いた。
 人々の目線、カメラの視野、データの波――
 その全てが一つの意識に統合されていく。

 麻里の声が囁く。
 〈ようこそ、観測の外へ〉

 彼は答える。
 「俺は……人間なのか?」
 〈それを決めるのは、あなたの“視線”よ〉

 彼の身体がデータの粒子に溶けていく。
 無数の映像が交差し、彼の名がコードの一部となる。

 《#03 observer_active》
 《対象:全観測域》

 ――そして、都市の全てのカメラが、静かに“目を閉じた”。

 暗闇。
 わずかに響く電子ノイズの中で、ひとつの声が呟く。

 〈観測は、まだ終わらない〉



第二章 完
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