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第3章 アーリアのダンジョンに挑もう
第73話 一式見繕ってもらおう
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僕が客にならないと思っているのであれば彼女は商売の邪魔だと言って追い払うこともできるはずだ。それをせずにわざわざ冒険者ギルドの近くの店に行ったほうがいいと言ったり、買うべき物を助言してくれている。態度や口調こそ悪いが、彼女は僕を心配してくれている、と感じた。
「なにおぅ、ひーくんはね!」
「いいんだ、メル」
「ひーくんがそう言うならいいけど、こんな店早く出て行こ」
「いや、僕はこの店で防具を買おうと思う」
「えっ、なんで?」
「はぁ?」
メルと女性店員の両方が声を上げる。
「お金ならちゃんとあります。金貨10枚、これでいいですね」
僕はリュックサックからお金を取り出してカウンターに並べる。
「ねぇ、ひーくん、なんで? こんな人から買うことないよ」
「メル、この人の目利きは正確だし、助言が無ければまず盾だと思ってた。ここは専門家に任せたほうがいいよ」
「でもぉ……」
メルは不服のようだ。確かに他の店を見てからでも良かったかも知れない。いや、やっぱりその方がいいかな? でも今更出したお金を引っ込められないし。
「どっかの商人の倅かなにかか?」
「一応僕が働いて稼いだお金なんですけどね」
「まーいいか。金があるってんならお客さんだ。レベルが低かろうが、金持ちの倅だろうが変わんねぇ。珍しい仕事だ。気合い入れるか」
そう言って女性は両手で頬を挟むように叩いた。ぱんっと気持ちのいい音がして、半目が見開かれる。
「筋肉の付き方は中途半端だね。最近体を鍛え始めたばかりだろ。それはちゃんと継続しな。基本の体ができてないとお話にならないからね」
そう言いながらカウンターから出てきた女性は僕の体をペタペタと触る。
「成長期はもう終わってるか。それなら少しでも長く使えるもののほうがいいな」
「んなっ!」
「えーっと、これでもない。それでもない」
メルが変な声を上げるが女性は構わずに店内を物色し始める。そして革製と思しき部分鎧を持ってきた。
「とりあえずそれを着てみな」
受け取るとずしりと重い。革製とは思えない重さだ。
「金属板が補強として入ってるからね。最初は重く感じるだろうが、すぐ慣れる」
僕は革製の胸当てを装着してベルトを締める。サイズはぴったりだった。
「悪くないな。次はちんこガードだ」
「いや、それ絶対正式名称じゃないですよね」
「ガードしなくていいのか?」
「必要です」
僕はジーンズの上から股間を守るためのプロテクターを装備する。革の覆いのようなものもついていて、太股も守ってくれそうだ。少し体を動かしてみるが、重さこそ感じるものの、動きにくいようなことはない。
「いいですね。これ」
「そうだろうそうだろう」
女性はそう言ってケタケタと笑う。それからマントを持ってきて、胸当ての金具にパチンと留める。
「火鼠の革を繋いで作ったマントだ。ほんの少しだが耐火性能がある。着火の魔術くらいじゃ火は付かないよ。次は籠手か」
そう言いながら女性は僕の手をにぎにぎと握った。
「そういうの必要ある!?」
「あるんだよ」
メルが強い語気で言ったが女性は素知らぬ顔だ。
「このあたりかね」
女性が持ってきたのはやはり革製の籠手だった。だがずしりと重い。これも金属が入っているのだろう。手を入れてみるとこれもぴったりだった。にぎにぎされた価値はある。
「後は頭の防具だが、アンタらは2人でパーティを?」
「そうですけど」
「軽戦士2人だと防御力より動きやすさかね」
そう言って女性は僕の頭を左右から掴んだかと思うと、その胸に運んだ。ふにゅっとした感触が顔に伝わる。ふぁっ!?
「ふぁっ!?」
心の声が漏れたかと思ったけど、メルの声だった。
「それ本当に必要なの!?」
「いや、無いけど」
女性はケタケタ笑った。
「おもしれーから」
そう言いながら女性はまた店内を物色し始める。
「ひーくんはあれくらいおっぱい大きいほうがいいの!?」
「いや、僕はどんな大きさでも貴賤は無いと思うな」
「鼻の下伸ばしながら言っても説得力無い!」
だって柔らかかったし仕方ないじゃん。不可抗力ってヤツだと僕は思うな。
「ほれ、これだ」
女性が持ってきたのはサークレットとでも言うのだろうか。頭部に装着する平たい輪っかのようなものだ。金属製で一部が離れている。アルファベットのCみたいな感じだ。
頭にはめてみると、ちょっとだけ圧迫感があるが気になるほどではない。おっぱいに包みつつちゃんとサイズを測っていたらしい。
「後は盾だな。えーっと、この辺か」
女性が持ってきたのは小さな丸盾だった。ベルトが2本付いていて、手で持つのではなく、腕に装着するもののようだ。
「守るというより、弾く感じで使え」
ベルトを締めて腕に装着する。邪魔にならない程度の大きさで、確かに守りに使うにはちょっと不安な大きさだ。
「締めて金貨10枚。どうだ。良い感じだろう?」
「なにおぅ、ひーくんはね!」
「いいんだ、メル」
「ひーくんがそう言うならいいけど、こんな店早く出て行こ」
「いや、僕はこの店で防具を買おうと思う」
「えっ、なんで?」
「はぁ?」
メルと女性店員の両方が声を上げる。
「お金ならちゃんとあります。金貨10枚、これでいいですね」
僕はリュックサックからお金を取り出してカウンターに並べる。
「ねぇ、ひーくん、なんで? こんな人から買うことないよ」
「メル、この人の目利きは正確だし、助言が無ければまず盾だと思ってた。ここは専門家に任せたほうがいいよ」
「でもぉ……」
メルは不服のようだ。確かに他の店を見てからでも良かったかも知れない。いや、やっぱりその方がいいかな? でも今更出したお金を引っ込められないし。
「どっかの商人の倅かなにかか?」
「一応僕が働いて稼いだお金なんですけどね」
「まーいいか。金があるってんならお客さんだ。レベルが低かろうが、金持ちの倅だろうが変わんねぇ。珍しい仕事だ。気合い入れるか」
そう言って女性は両手で頬を挟むように叩いた。ぱんっと気持ちのいい音がして、半目が見開かれる。
「筋肉の付き方は中途半端だね。最近体を鍛え始めたばかりだろ。それはちゃんと継続しな。基本の体ができてないとお話にならないからね」
そう言いながらカウンターから出てきた女性は僕の体をペタペタと触る。
「成長期はもう終わってるか。それなら少しでも長く使えるもののほうがいいな」
「んなっ!」
「えーっと、これでもない。それでもない」
メルが変な声を上げるが女性は構わずに店内を物色し始める。そして革製と思しき部分鎧を持ってきた。
「とりあえずそれを着てみな」
受け取るとずしりと重い。革製とは思えない重さだ。
「金属板が補強として入ってるからね。最初は重く感じるだろうが、すぐ慣れる」
僕は革製の胸当てを装着してベルトを締める。サイズはぴったりだった。
「悪くないな。次はちんこガードだ」
「いや、それ絶対正式名称じゃないですよね」
「ガードしなくていいのか?」
「必要です」
僕はジーンズの上から股間を守るためのプロテクターを装備する。革の覆いのようなものもついていて、太股も守ってくれそうだ。少し体を動かしてみるが、重さこそ感じるものの、動きにくいようなことはない。
「いいですね。これ」
「そうだろうそうだろう」
女性はそう言ってケタケタと笑う。それからマントを持ってきて、胸当ての金具にパチンと留める。
「火鼠の革を繋いで作ったマントだ。ほんの少しだが耐火性能がある。着火の魔術くらいじゃ火は付かないよ。次は籠手か」
そう言いながら女性は僕の手をにぎにぎと握った。
「そういうの必要ある!?」
「あるんだよ」
メルが強い語気で言ったが女性は素知らぬ顔だ。
「このあたりかね」
女性が持ってきたのはやはり革製の籠手だった。だがずしりと重い。これも金属が入っているのだろう。手を入れてみるとこれもぴったりだった。にぎにぎされた価値はある。
「後は頭の防具だが、アンタらは2人でパーティを?」
「そうですけど」
「軽戦士2人だと防御力より動きやすさかね」
そう言って女性は僕の頭を左右から掴んだかと思うと、その胸に運んだ。ふにゅっとした感触が顔に伝わる。ふぁっ!?
「ふぁっ!?」
心の声が漏れたかと思ったけど、メルの声だった。
「それ本当に必要なの!?」
「いや、無いけど」
女性はケタケタ笑った。
「おもしれーから」
そう言いながら女性はまた店内を物色し始める。
「ひーくんはあれくらいおっぱい大きいほうがいいの!?」
「いや、僕はどんな大きさでも貴賤は無いと思うな」
「鼻の下伸ばしながら言っても説得力無い!」
だって柔らかかったし仕方ないじゃん。不可抗力ってヤツだと僕は思うな。
「ほれ、これだ」
女性が持ってきたのはサークレットとでも言うのだろうか。頭部に装着する平たい輪っかのようなものだ。金属製で一部が離れている。アルファベットのCみたいな感じだ。
頭にはめてみると、ちょっとだけ圧迫感があるが気になるほどではない。おっぱいに包みつつちゃんとサイズを測っていたらしい。
「後は盾だな。えーっと、この辺か」
女性が持ってきたのは小さな丸盾だった。ベルトが2本付いていて、手で持つのではなく、腕に装着するもののようだ。
「守るというより、弾く感じで使え」
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「締めて金貨10枚。どうだ。良い感じだろう?」
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