学園奴隷《隼人》

かっさく

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性奴隷は、女装デートをする。

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「今日は沢山買ったね」

「そうですね・・・」

ホクホク顔で満足した様な学園長とは対照的に、色々な場所に連れ回された僕はもうぐったりとしていた。そもそも人混みの中を歩く事自体に慣れていないし、その上僕は今女装をしているのだ。ひらひらとしたスカートが捲れないよう常に気を使っていなければいけなかったし、前髪をピンで留めているせいで視界が開けていることにも違和感があった。
今は昼食を取るためにレストランに来ている。イタリアンのお店で、学園長が予約を取っていたおかげで直ぐに席へと通してもらえた。

「しかし、こうして見ると本当に娘のようだね。君が男だと言う事をうっかり忘れてしまいそうになるよ」

「え??」

注文していたドリンクを、料理が出来上がる前に持ってきてくれた店員さんが声を上げる。

「え、あ・・・」

僕も店員さんが近くにいた事に驚き、声を出してしまった。
学園長も、店員さんが近くにいる事に気が付いていなかったと思う。気が付いていたら、こんな話をしなかっただろうから。驚いた様に目を見開き、若い男性の店員さんは僕を凝視した。

「あ、えっと、お待たせしました・・・」

やっと正気に戻ったのか、持ってきたドリンクを二人の前に置いてくれた。

「失礼します」

一度腰を折って立ち去ろうとする店員さんが、去り際にもう一度僕の方を見た。

「いやぁ、ごめんね。まさか店員さんが隣にいたとは思わなかったんだ」

「いえ・・・」

僕も気付いていなかったし、仕方なかったと思う。この事について学園長を責める気にはなれなかった。

「ただ、隼人が男だとは気づかれていないと思うから大丈夫だよ」

「でも、男だって言ったじゃないですか」

その事を聞いていたのに、僕が男だと気付かない筈がないと思った。

「男だと言われても、本当に男なんて思う人はいないよ。だって、今の隼人は女よりも可愛いからね」

「そんなわけ・・・」

女装をしてから、学園長は何度も僕に可愛いと言ってきた。でも、鏡で自分の姿を確認してもどうしても自分が可愛いとは思えなかった。

「隼人は自覚がなさ過ぎるんだよ。今日だって、周りからずっと見られていただろう?流石にそれは気が付いてるよな?」

「はい。でもそれは、僕の女装が似合っていないからじゃ・・・・」

「はぁ~・・・・・」

僕の言葉に、学園長は深い溜息をついた。

「まあ、君が自分の容姿に無自覚なのは今に始まった事じゃないしな。仕方ないとは思うが、君が自分の事を不細工だって言うなら世の中の女性全員に謝って欲しいね 


「ごめん、なさい?」

意味はよく分かっていないが、一応謝っておいた。学園長が言った事なのに、謝る僕を見て『くっくっ』と笑う。

「そう言うところが可愛いんだよ」

「可愛くなんて・・・・」

「そうだ、良い事を思いついた」

楽しような顔で僕を見る学園長は、また録でもないことを考えついたんだろうと察した。

「何ですか?」

「それは、また今度のお楽しみだ」

そんな事を言われたら、気になるに決まっている。

「気になります。何ですか?」

「言わないよ」

そう言って、学園長はアイスコーヒーを飲んだ。これ以上食い下がっても絶対に言ってはくれないだろうと諦めて、僕もオレンジジュースを飲んだ。果汁が百%のオレンジジュースだったようで、酸っぱさに少し顔を顰める。

「さっきの店員さん、隼人の事が気になるようだね」

「え?」

学園長の見ている方向に僕も目を向けると、先程の男性店員が厨房の方から僕を見ていた。目が合うと、サッと目を逸らされ厨房へと逃げられてしまう。

「きっと僕の事をオカマだって思ってるんじゃ・・・」

「ここまで鈍いと、最早わざとなんじゃないかって気になってくるよ。だから、よく男にレイプされるんだ」

「それは、学園長が命令してるからっ!\\」

僕は生徒達の事かと思って言った。

「違うよ。学園の外でも、男に襲われる事はあるんだろう?」

「それは、ありますけど・・・」

そう。僕はよく、男に襲われる。何故女の子ではなく男の僕なんかを襲うんだろうと疑問に思うが、よく犯罪に巻き込まれるのだ。ただ、レイプされた所で僕が訴える事はできない。何故かと言うと、僕の存在は世間には言いづらいからだ。僕が学園長の義理の息子だと言う事がバレると、色々と大変な事になってしまう。なので、僕はレイプされても泣き寝入りするしかないのだ。

「それは君がチョロそうに見えるからだろう」

「チョロい!?僕、そんな風に見えるんですか?」

「ああ、そうだよ。あと、君がエロいのが悪いな。そんなんじゃ、襲われても文句は言えないぞ」

「そんなっ・・・!」

義理とは言え、戸籍上は一応息子の僕に対してなんて酷いことを言うんだろうと思うが、学園長は僕の事を性奴隷としか見ていない。少しでも息子だと思っていてくれるなら、男に犯されろなんて命令はしないだろうから。そもそも、学園長自身も僕に挿れて楽しんでいるのだ。

「僕は、エロくなんてっ!」

「あの、お待たせしました・・・・」

「あ」

必死に弁解しようとして、周りが見えていなかった。今度は学園長も店員さんがいる事に気が付いていたのか、苦笑いしながら運ばれた料理を受け取っている。

「あ、ありがとうございます・・・\\」

料理を運んできてくれた店員さんは、先程の男性店員さんと同じ人だった。興奮していて少し大きな声を出してしまったので、間違いなく僕の言ったことは聞かれただろう。恥ずかしさで顔が赤くなって、店員さんの方を見る事ができなかった。

「今度は私のせいじゃないからね?」

店員さんが厨房へと戻った事を見届けた後、学園長が苦笑いをしながら言った。

「それは・・・、はい」

そもそも学園長が僕の事をエロいなんて言わなければよかったのにと思ったが、それを言ったところで論破される事が目に見えているので言わなかった。今まで学園長に口論で勝てた事が一度もない。その辺は、流石学園長だと言える。

「じゃあ、食べようか」

「はい・・・・」

少し落ち込みながら、注文していたスパゲッティを食べた。味はとても良かったが、どうせなら男の格好でちゃんと食べに来たかったと思う。こんな格好では食事を楽しむどころじゃないから。
うぅ、もうあの店員さんには顔向けが出来ない・・\\

「少しトイレに行ってくる」

「分かりました」

僕より先に料理を食べ終えた学園長は、トイレへと向かった。学園長の事は好きではないが、一人で残される事に心細さを感じた。今日は色々な店に行って買い物をしたが、一人で同じ事をしろと言われても出来ないだろう。なんだかんだ言っても、僕は学園長の事を頼っているのかも知れなかった。

「ねぇ、君」

「はい、・・・!!」

突然誰かに声を掛けられた。その事に少し驚いたが、声を掛けてきた人の顔を見て更に驚いた。だって、僕の隣に立つのは先程の男性店員だったから。

「男って、本当?」

「ぇ・・・・、あ・・・」

声を潜めて言われた言葉に、咄嗟に反応が出来なかった。助けを求めるように学園長が向かったトイレの方を見るが、そんなに早く帰ってくるはずもなく、その間、店員さんは僕の事をずっと見ていた。

「女、です・・・\\」

「・・・・・・そっか」

僕の言った言葉を吟味するように暫く考え込んだ後、店員さんはそう言った。

「正直、男でも女でもどっちでも良いや。これ」

「??」

テーブルに、一枚の紙が置かれた。何処にでもあるメモ用紙を切り取ったもので、折り畳まれているせいで中に何が書かれてあるかは見えない。

「お礼は弾むから、良かったら連絡してね」

耳元でそう囁いた後、何事も無かったかのように店員さんは業務へと戻って行った。店員さんは、大学三年生くらいの若い男性だった。髪の毛も綺麗にセットしてあって、僕から見ても格好いいと思う。
不思議に思い、残されたメモ用紙を手に持ち中を見てみる。これは、何かのパスワードだろうか?小文字のローマ字と、数字が合わさったパスワードのようなものが書いてあった。ローマ字を読んでみると、『かずと』と書いてあった。恐らく先程の店員さんの名前だろう。まるで暗号を解くように、メモ用紙を見て考えた。先程、店員さんは『連絡して欲しい』と言っていた。と言う事は、これは連絡手段に関係あるものだろう。メールアドレスでもないし、電話番号でもないし・・・と考えた所で、一つの可能性を思い出した。そうか、これはLINEのIDだ!!

「それは何だ?」

「あっ!」

ようやく謎が解けた瞬間に、トイレから帰ってきた学園長にメモ用紙を取られた。学園長がメモ用紙をぱっと見る。

「ふーん、先程の店員から貰ったのか?」

「どうしてそれをっ!?」

トイレの入り口を確認した時、学園長は居なかったはずだ。まさか、こっそり隠れて見ていたとか?

「だから、言っただろ?あの店員は隼人の事が気になってるって」

メモ用紙を僕に返す事もなく、ポケットに突っ込んだまま自分の席へと戻った。

「あの、その紙返してください」

「返した所で、何をするんだ?隼人には必要無いものだろ?」

「だって、さっき店員さんに連絡してって言われたんです」

僕がそう言うと、学園長は僕の事をじっと見た。学園長が時々見せる人を見透かすような目で見られて、居心地の悪さにたじろいだ。

「ああ、本当に意味が分かっていないのか・・・・」

「な、何ですか?」

独り言を言うくらいの声量で放った言葉を、僕は聞きとる事が出来なかった。

「とにかく、この紙は君には必要ないものだ。連絡なんてしなくていい」

「そう、ですか?」

「ああ」

学園長がそう言うなら、きっとそうなのだろう。悔しいが、学園長の方が僕よりもずっと色々な事を知っているから。

「隼人も食べ終わったか?」

「はい」

二人とも既にご飯を食べ終えていた。

「もう帰るんですか?」

「は?」

『何を言っているんだ』と言う風に言い返された。

「ここからが本番なんだ、帰るわけがないだろ?」

「本番・・・??何処に行くんですか?」

「それは、隼人が考えなさい」

学園長がお金を出し、会計を済ませて店を出た。僕が考えろなんて、僕は学園長の考えている事が今まで何も分からないのに。
店を出る前に呼んでいたのか、店から見えるくらいの位置にタクシーが止まっていた。タクシーの運転手さんに扉を開けてもらい、二人で後部座席に乗り込む。

「×××までお願いします」

「×××ですか・・・、かしこまりました」

少しだけ僕たちのことを見た後、何も言わずに車を発進させた。今日だけでも二回タクシーに乗ったが、その両方でタクシーの運転手さんに話しかけられた。だからタクシーの運転手さんはお客さんと会話する事が普通なのかと思っていたが、どうやら違ったみたいだった。学園長の言った場所に、僕はピンとこなかった。ただ、その住所を言われた後の運転手さんの反応から、何となくだが予想出来てしまった。人の良さそうな運転手さんの沈黙がそれを物語っている気がする。

「あの・・・・」

「どうした?」

学園長を呼び掛けた僕に、『答えは分かったか?』と言う風に聞き返された。予想はついているが、その答えはこの場所で言う事が憚られた。

「・・・何でもないです」

「そうか」

何かを察した僕に気がついたのか、学園長は目を細めて笑った。その笑みの中に僕を抱いている途中のギラギラとした男の欲望を感じて、つい背筋が震えた。
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