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本編
14
意識がふわっと浮き上がり目を開くと、よく知っている美貌が優しい笑みを向けていた。
美しい顔、優しい目と温かい腕に王子だとわかったから、引き寄せられるように目の前の形の良い薄い唇にキスをする。そのまま胸元におでこをすり寄せて、ぎゅっと抱きつく・・・んん?夢・・・かな。今どこにいて何をしているんだっけ・・・
「!!」
そうだった。王子を寝かせようとして、俺が寝かされちゃったんだ。不覚だっ・・・て事は、コレは本物の王子で俺は思いっきり抱きついてて。しかも、寝ぼけてすごく大胆な事をしたような気もするっ・・・
そぅっと様子を窺うと、ばっちり目が合ってしまった。
「おはよ・・・んんっ!」
思わす挨拶した俺は、途中で言葉を唇ごと奪われてしまった。
今日は何回キスしているんだろう。いつもは二人になれる時間が決まっているし、人目もあるからこんなに何回もキスできない。(前、従者さんたちの前でキスされそうになって、ものすごく怒って以来きちんと配慮してくれるようになったんだ)
それにしても、いつから起きていたんだろう。ちゃんと休んだのだろうか。・・・まさか、一睡もしていないとか!?
俺は、王子の胸を押してキスの中断させる。やがて、チュッと濡れた音をたてて離れた王子は、俺を優しく見つめる。その眼差しにクラクラしつつ、吸い込まれそうな瞳に負けそうになりながら俺は言葉を押し出す。
「もう、急になにするんですか・・・ところで、ちゃんと寝ましたか?」
「休息はきちんと取った。私も目覚めたばかりだ」
そう言って、また触れるだけのキスを繰り返す。
「・・・それに、先に唇を奪われたのは私の方だ。イオリ、もう一度キスを」
「もう一度って・・・寝ぼけていたんですっ!」
やっぱり何かしちゃってた!
慌てながら、本当に寝たのかちょっと疑いの眼差しを向けたいのだが、うっかり熟睡してしまった上に、寝ぼけている俺にはそんな権利はないだろう。うん、仕方ない不可抗力だ。
次は食事を取って・・・、と起き上がろうとするが、体が持ち上がらない。
そのはずだ。王子がしっかりと俺に腕を絡ませて、放していないのだから。
「王子・・・殿下、休息の次はお食事です」
俺の言葉にムッと眉を寄せると、さらに腕に力を込める。
「腹は減っていない。このままでいたい・・・それとイオリ、私の事はイルファンと呼べ」
そう言って、また唇を寄せてくる。
キスはしたいけど、こんな寝起きであんなキスされたら目眩を起こしそうだ。
「王・・・イ、イルファン殿下っ!俺、貧血起こしそうですっ!」
俺の切羽詰まった叫びに、ピタリと動きを止める。そして、じっと俺の顔を見つめると、腕の力を少し緩めてくれた。
「確かに、目覚めの口づけにしては少々やりすぎた。イオリ、すまない」
こんなに素直に謝られてしまうと、ちょっと心臓がきゅんとしてしまう。
「それに、敬称はいらない。イルファンと」
・・・それは、急にはちょっと無理です、照れてしまって話せません。俺はゆっくりと起き上がると、正直に王子にそう言った。
それから、それぞれシャワーを浴びて寛いだ服に着替え、広いダイニングで食事を取る事にした。俺は、晩餐会でしか王子と食事をした事が無かったので、給仕に世話を焼かれつつも楽しく食事をする事ができた。
出てくる料理はどれも俺が食べられる位の香辛料の強さで、この国に来てからきつい辛さに食事が進まなかった俺にはありがたかった。
それとなく、給仕に尋ねると驚いたことに王子の指示だと答えが返ってきた。
「スパイスの強い料理が苦手だと言っていたから、イオリの食事にはスパイスを控えるように指示をした。食が進んでいるので、ほっとした」
そういって、はにかんだ笑顔をうかべる王子に胸が甘く疼く。
俺の言った、些細な事もきちんと覚えていて心を配ってくれるのがすごく嬉しい。尊大なオレサマ王子が、どんな顔をして命じたのか見てみたかったな。
食後にはサウディン国の風景写真を見たり王子の子どもの頃の写真を見たり(ものすごい美少年で、可愛いを連発したら拗ねられてしまった)して、初めて長い時間を一緒に過ごした。
その間、ずっと後ろから抱き締められていて、すっぽりと包まれて安心するけど恥ずかしいし緊張してしまう。何度も抜け出そうとしたけれど、その度にさらにぎゅっと腕と胸に閉じ込められてしまう。
「イオリ、嫌なのか・・・?」
イヤじゃないです、恥ずかしいんです、緊張するんです~。
王子は緊張したり、照れたりする事ってないのかな?恥ずかしい事とか、平気で言うしするし。でも時々、照れた顔するんだよね。羞恥心のツボが違うのかなぁ?
俺がぼんやりとそんな事を考えていると、さらにぎゅうっと引き寄せられる。
「・・・何を考えている?」
低い声に顔を見ると、ムッとした様な拗ねた表情でこちらを見ている。こんな顔を、何回見た事があっただろうか。今日はいろいろな表情を見せてくれるのが嬉しい。時間の制限もなく、誰かの存在を気にする事なく、ずっと一緒にいられる時間なんてなかったからなぁ・・・
俺は、王子をじぃっと見つめてそんな事をのんびりと考えていると、不機嫌な美貌は見る間に頬にうっすらと赤みを帯びる。見ただけで赤くなるのに、普段のあの恥ずかしい事は平然としているなんて不思議なヤツ。
「・・・んっ・・」
ふぃっと顔を背けた王子の顔を覗き込むと、目が合った途端に唇を奪われて、そのまま抱き上げられてしまった。恥ずかしくてジタバタしても、がっちりと抱き締められたまま深く貪られてしまったら、もう俺はくったりと王子にもたれ掛かってしまうしかない。
そしてそのまま、さっきまで眠っていたベッドに降ろされた俺に覆い被さるようにして、真上から見おろされる。
「・・・イオリ、他に何かあるか・・?」
「・・?」
意味が解らず王子を見げると、ふわりと抱き締めれてて視界に王子しか映らなくなる。
「イオリを私のものに・・・私をイオリのものにする為に、何か足りないものはあるか?」
「!!!」
何てことを言うんだ~!そんな事をきくなよ・・・私のものとか・・・あぁ~もう!
俺は頭がぐちゃぐちゃで、恥ずかしさと戸惑いできっと涙目になっているままで軽く睨む。でも、滲む視界の美貌は真剣な眼差しを向けてくる。
俺を包み込んでいるがっしりした逞しい体は、僅かに震えていて服で隔たれていても発熱したかのような熱さが伝わってくる。
俺は投げ出していた腕を、そぉっと王子の首に回してぎゅっと引き寄せて、耳元に囁く。
美しい顔、優しい目と温かい腕に王子だとわかったから、引き寄せられるように目の前の形の良い薄い唇にキスをする。そのまま胸元におでこをすり寄せて、ぎゅっと抱きつく・・・んん?夢・・・かな。今どこにいて何をしているんだっけ・・・
「!!」
そうだった。王子を寝かせようとして、俺が寝かされちゃったんだ。不覚だっ・・・て事は、コレは本物の王子で俺は思いっきり抱きついてて。しかも、寝ぼけてすごく大胆な事をしたような気もするっ・・・
そぅっと様子を窺うと、ばっちり目が合ってしまった。
「おはよ・・・んんっ!」
思わす挨拶した俺は、途中で言葉を唇ごと奪われてしまった。
今日は何回キスしているんだろう。いつもは二人になれる時間が決まっているし、人目もあるからこんなに何回もキスできない。(前、従者さんたちの前でキスされそうになって、ものすごく怒って以来きちんと配慮してくれるようになったんだ)
それにしても、いつから起きていたんだろう。ちゃんと休んだのだろうか。・・・まさか、一睡もしていないとか!?
俺は、王子の胸を押してキスの中断させる。やがて、チュッと濡れた音をたてて離れた王子は、俺を優しく見つめる。その眼差しにクラクラしつつ、吸い込まれそうな瞳に負けそうになりながら俺は言葉を押し出す。
「もう、急になにするんですか・・・ところで、ちゃんと寝ましたか?」
「休息はきちんと取った。私も目覚めたばかりだ」
そう言って、また触れるだけのキスを繰り返す。
「・・・それに、先に唇を奪われたのは私の方だ。イオリ、もう一度キスを」
「もう一度って・・・寝ぼけていたんですっ!」
やっぱり何かしちゃってた!
慌てながら、本当に寝たのかちょっと疑いの眼差しを向けたいのだが、うっかり熟睡してしまった上に、寝ぼけている俺にはそんな権利はないだろう。うん、仕方ない不可抗力だ。
次は食事を取って・・・、と起き上がろうとするが、体が持ち上がらない。
そのはずだ。王子がしっかりと俺に腕を絡ませて、放していないのだから。
「王子・・・殿下、休息の次はお食事です」
俺の言葉にムッと眉を寄せると、さらに腕に力を込める。
「腹は減っていない。このままでいたい・・・それとイオリ、私の事はイルファンと呼べ」
そう言って、また唇を寄せてくる。
キスはしたいけど、こんな寝起きであんなキスされたら目眩を起こしそうだ。
「王・・・イ、イルファン殿下っ!俺、貧血起こしそうですっ!」
俺の切羽詰まった叫びに、ピタリと動きを止める。そして、じっと俺の顔を見つめると、腕の力を少し緩めてくれた。
「確かに、目覚めの口づけにしては少々やりすぎた。イオリ、すまない」
こんなに素直に謝られてしまうと、ちょっと心臓がきゅんとしてしまう。
「それに、敬称はいらない。イルファンと」
・・・それは、急にはちょっと無理です、照れてしまって話せません。俺はゆっくりと起き上がると、正直に王子にそう言った。
それから、それぞれシャワーを浴びて寛いだ服に着替え、広いダイニングで食事を取る事にした。俺は、晩餐会でしか王子と食事をした事が無かったので、給仕に世話を焼かれつつも楽しく食事をする事ができた。
出てくる料理はどれも俺が食べられる位の香辛料の強さで、この国に来てからきつい辛さに食事が進まなかった俺にはありがたかった。
それとなく、給仕に尋ねると驚いたことに王子の指示だと答えが返ってきた。
「スパイスの強い料理が苦手だと言っていたから、イオリの食事にはスパイスを控えるように指示をした。食が進んでいるので、ほっとした」
そういって、はにかんだ笑顔をうかべる王子に胸が甘く疼く。
俺の言った、些細な事もきちんと覚えていて心を配ってくれるのがすごく嬉しい。尊大なオレサマ王子が、どんな顔をして命じたのか見てみたかったな。
食後にはサウディン国の風景写真を見たり王子の子どもの頃の写真を見たり(ものすごい美少年で、可愛いを連発したら拗ねられてしまった)して、初めて長い時間を一緒に過ごした。
その間、ずっと後ろから抱き締められていて、すっぽりと包まれて安心するけど恥ずかしいし緊張してしまう。何度も抜け出そうとしたけれど、その度にさらにぎゅっと腕と胸に閉じ込められてしまう。
「イオリ、嫌なのか・・・?」
イヤじゃないです、恥ずかしいんです、緊張するんです~。
王子は緊張したり、照れたりする事ってないのかな?恥ずかしい事とか、平気で言うしするし。でも時々、照れた顔するんだよね。羞恥心のツボが違うのかなぁ?
俺がぼんやりとそんな事を考えていると、さらにぎゅうっと引き寄せられる。
「・・・何を考えている?」
低い声に顔を見ると、ムッとした様な拗ねた表情でこちらを見ている。こんな顔を、何回見た事があっただろうか。今日はいろいろな表情を見せてくれるのが嬉しい。時間の制限もなく、誰かの存在を気にする事なく、ずっと一緒にいられる時間なんてなかったからなぁ・・・
俺は、王子をじぃっと見つめてそんな事をのんびりと考えていると、不機嫌な美貌は見る間に頬にうっすらと赤みを帯びる。見ただけで赤くなるのに、普段のあの恥ずかしい事は平然としているなんて不思議なヤツ。
「・・・んっ・・」
ふぃっと顔を背けた王子の顔を覗き込むと、目が合った途端に唇を奪われて、そのまま抱き上げられてしまった。恥ずかしくてジタバタしても、がっちりと抱き締められたまま深く貪られてしまったら、もう俺はくったりと王子にもたれ掛かってしまうしかない。
そしてそのまま、さっきまで眠っていたベッドに降ろされた俺に覆い被さるようにして、真上から見おろされる。
「・・・イオリ、他に何かあるか・・?」
「・・?」
意味が解らず王子を見げると、ふわりと抱き締めれてて視界に王子しか映らなくなる。
「イオリを私のものに・・・私をイオリのものにする為に、何か足りないものはあるか?」
「!!!」
何てことを言うんだ~!そんな事をきくなよ・・・私のものとか・・・あぁ~もう!
俺は頭がぐちゃぐちゃで、恥ずかしさと戸惑いできっと涙目になっているままで軽く睨む。でも、滲む視界の美貌は真剣な眼差しを向けてくる。
俺を包み込んでいるがっしりした逞しい体は、僅かに震えていて服で隔たれていても発熱したかのような熱さが伝わってくる。
俺は投げ出していた腕を、そぉっと王子の首に回してぎゅっと引き寄せて、耳元に囁く。
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