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羞恥プレイですか……?
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震えながら立ち上がり、座っていた先輩の方へ行けば腕を掴まれてグイッと引かれた。
そのまま先輩の腕の中に倒れるようにボスッと収まる。
ガシッと頭に腕を回されて逃げられなくされた。ギュウギュウと先輩の胸に押し潰されそうだ。先輩の顔は見えない。
「せ、先輩……! 苦しいです……!」
和也と圭介先輩は、面白そうに笑っている。
「恥ずかしいですよ!」
「関係ないな。お前、俺の告白断っといてそいつの受けてないよな?」
「え⁉︎ いつ先輩から告白されたんですか⁉︎」
断ったってもしかして──。
「ほら、保健室で──」
「うわぁ! 変な事言い出さないで下さい!」
保健室でした事なんてエロい事だけだ。
二人が聞いているのにこの人はお構いなしだ。
確かに好きだって言われたかもしれない。でも、あんな状況で言われても、本気だなんて思えない。
「離して下さいよ!」
「告白なんかされるトモくんが悪いんだろ?」
「それは、俺の見た目がこれだからですよ! きっとその子もドMなんです!」
俺の見た目に寄ってくるのはドMしかいない。
「そんなのわからねぇだろ? 俺みたいにトモくんのかわいい所がいいってやつがいるかもしれない」
この人は恥ずかしくもなくよくそんな事が言えるよな!
「そんな人、蒼斗先輩しかいませんよ!」
「俺だけ?」
「そうですよ! そんな物好きな人は、蒼斗先輩だけですよ!」
必死で答えていれば、蒼斗先輩からの反応がなくなった。
「せ、先輩?」
どうしたのかと不思議だ。
「蒼斗、お前、そんな顔もできたんだな」
「八木澤先輩ってそんなキャラなんすか?」
圭介先輩と和也がクスクスと笑う。
俺は先輩がどんな顔をしているのかわからない。
「先輩? どんな顔してるのか見せて下さい」
「ざけんな」
もしかして……赤くなってたりして……。
蒼斗先輩だけって言ったのがそんなに嬉しかったのかな。
なんだよこの人……。
なんでいちいちこんなにかわいいんだ……。
「そこの二人。さっさとどこか行け」
蒼斗先輩がシッシと二人を追い払っている。
「はいはい」
「午後の授業に間に合うように解放してあげて下さいね」
二人は昼食を片付けて屋上を出て行こうとしているみたいだ。
「待って! 俺を置いてかないで!」
蒼斗先輩と二人きりになったらどうなるかわからない!
「トモ、頑張ってね」
圭介先輩になぜか励まされた。
「八木澤先輩と仲良くな」
和也は最後まで楽しそうだった。
「待ってぇぇ!」
バタンッと無情に閉まった屋上のドアの音を聞いた……。
「トモくん……」
「は、はい……うわぁ!」
座ったまま向かい合わされた。
バランスを取ろうと先輩の肩に掴まれば、先輩は腰をガッチリと掴む。
恥ずかしい格好だ……。
見つめ合えば、ニヤリと笑ういつもの強引な先輩だった。
「キスしろ」
「お、俺からですか……?」
「俺の自由にしていいなら俺からしてもいいよ」
「し、しますよ……」
そっと先輩の唇に自分の唇を押し当てて、すぐに離れた。
「もっとしろよ」
「は、恥ずかしいですよ……」
「舌出せ」
観念して舌をベーッと出せば、先輩がその舌を吸った。
そのまま角度を変えて先輩の舌に深く絡め取られた。
先輩の舌は、甘いチョコレートの味がした。
激しいキスは俺の全てを奪うようで先輩に縋り付く。
腰にあった手も背中に回されて、抱きしめられる。
「ふっ……んんっ……はっ……」
チュゥ……ピチャ……ヌル……クチュ……チュッ。
長い長いキスの後に見つめ合う。
はぁはぁとお互いの呼吸音が間近に聞こえる。
「俺のこと好きって言え……」
先輩は、俺を物欲しそうに見つめる。
本当は……意地悪なこの人に、最初から心臓を鷲掴みにされていた。
蒼斗先輩だから……保健室の事とか……今もこんな事ができちゃうんだ……。
好きって言ってあげたらどんな顔をする?
俺と先輩は、どうなるの?
ちょっと怖くて勇気が出ない。
「言えよ……」
耳元で囁かれて耳をクチュリと音を立てながら舐められた。
耳たぶを甘噛みされる。
「んっ……蒼斗……先輩……」
好きって言っても……いいかな……。
首筋にキスされてゾクゾクする。
「先輩……俺──」
キーンコーンカーンコーン──。
午後の授業を知らせる予鈴にビクッとした。
「あーあ……時間切れだな……」
ため息をついた先輩は、俺を離して立ち上がった。
手を差し伸べて俺の事も立たせてくれる。
次の機会があれば……好きって言えるといいな……。
二人で屋上から出ようとドアを開けたら、ドシンッと音がした。
不審に思って見れば、すぐそこで和也と圭介先輩が尻餅をついている。
「二人とも何やってんの?」
屋上の出入り口で何を?
「あははっ。何してたんだろうね?」
圭介先輩は、笑って誤魔化そうとする。
こんな所で二人でする事って──まさか!
「今の見てたんですか⁉︎」
めちゃめちゃキスしてた……。
「大丈夫だよ。キスしてる所しか見てないから」
和也が笑いながらそんな事を言う。
「それ全部だろ! 蒼斗先輩も二人に何か言って下さい!」
真っ赤になって二人に抗議する。
「こいつらずっと覗いてたぞ」
「え⁉︎ 先輩は気付いてたんですか⁉︎」
聞き捨てならない!
「気付いてたなら、なんであんな事するんですか⁉︎」
蒼斗先輩に詰め寄る。
「今のその真っ赤になったトモくんの顔が見たかったから」
し、信じられない……!
二人が覗いてるって知ってて舌出せとか言ったよな! この人……!
羞恥心が最高潮でプルプルと震える。
「お。かぁわいい」
嬉しそうに何言ってんだ!
「意地悪! 鬼! ドS!」
俺が何を言おうとニヤニヤと笑う。
こんな人に好きだと言いそうになるなんて!
俺はどうかしていた!
そのまま先輩の腕の中に倒れるようにボスッと収まる。
ガシッと頭に腕を回されて逃げられなくされた。ギュウギュウと先輩の胸に押し潰されそうだ。先輩の顔は見えない。
「せ、先輩……! 苦しいです……!」
和也と圭介先輩は、面白そうに笑っている。
「恥ずかしいですよ!」
「関係ないな。お前、俺の告白断っといてそいつの受けてないよな?」
「え⁉︎ いつ先輩から告白されたんですか⁉︎」
断ったってもしかして──。
「ほら、保健室で──」
「うわぁ! 変な事言い出さないで下さい!」
保健室でした事なんてエロい事だけだ。
二人が聞いているのにこの人はお構いなしだ。
確かに好きだって言われたかもしれない。でも、あんな状況で言われても、本気だなんて思えない。
「離して下さいよ!」
「告白なんかされるトモくんが悪いんだろ?」
「それは、俺の見た目がこれだからですよ! きっとその子もドMなんです!」
俺の見た目に寄ってくるのはドMしかいない。
「そんなのわからねぇだろ? 俺みたいにトモくんのかわいい所がいいってやつがいるかもしれない」
この人は恥ずかしくもなくよくそんな事が言えるよな!
「そんな人、蒼斗先輩しかいませんよ!」
「俺だけ?」
「そうですよ! そんな物好きな人は、蒼斗先輩だけですよ!」
必死で答えていれば、蒼斗先輩からの反応がなくなった。
「せ、先輩?」
どうしたのかと不思議だ。
「蒼斗、お前、そんな顔もできたんだな」
「八木澤先輩ってそんなキャラなんすか?」
圭介先輩と和也がクスクスと笑う。
俺は先輩がどんな顔をしているのかわからない。
「先輩? どんな顔してるのか見せて下さい」
「ざけんな」
もしかして……赤くなってたりして……。
蒼斗先輩だけって言ったのがそんなに嬉しかったのかな。
なんだよこの人……。
なんでいちいちこんなにかわいいんだ……。
「そこの二人。さっさとどこか行け」
蒼斗先輩がシッシと二人を追い払っている。
「はいはい」
「午後の授業に間に合うように解放してあげて下さいね」
二人は昼食を片付けて屋上を出て行こうとしているみたいだ。
「待って! 俺を置いてかないで!」
蒼斗先輩と二人きりになったらどうなるかわからない!
「トモ、頑張ってね」
圭介先輩になぜか励まされた。
「八木澤先輩と仲良くな」
和也は最後まで楽しそうだった。
「待ってぇぇ!」
バタンッと無情に閉まった屋上のドアの音を聞いた……。
「トモくん……」
「は、はい……うわぁ!」
座ったまま向かい合わされた。
バランスを取ろうと先輩の肩に掴まれば、先輩は腰をガッチリと掴む。
恥ずかしい格好だ……。
見つめ合えば、ニヤリと笑ういつもの強引な先輩だった。
「キスしろ」
「お、俺からですか……?」
「俺の自由にしていいなら俺からしてもいいよ」
「し、しますよ……」
そっと先輩の唇に自分の唇を押し当てて、すぐに離れた。
「もっとしろよ」
「は、恥ずかしいですよ……」
「舌出せ」
観念して舌をベーッと出せば、先輩がその舌を吸った。
そのまま角度を変えて先輩の舌に深く絡め取られた。
先輩の舌は、甘いチョコレートの味がした。
激しいキスは俺の全てを奪うようで先輩に縋り付く。
腰にあった手も背中に回されて、抱きしめられる。
「ふっ……んんっ……はっ……」
チュゥ……ピチャ……ヌル……クチュ……チュッ。
長い長いキスの後に見つめ合う。
はぁはぁとお互いの呼吸音が間近に聞こえる。
「俺のこと好きって言え……」
先輩は、俺を物欲しそうに見つめる。
本当は……意地悪なこの人に、最初から心臓を鷲掴みにされていた。
蒼斗先輩だから……保健室の事とか……今もこんな事ができちゃうんだ……。
好きって言ってあげたらどんな顔をする?
俺と先輩は、どうなるの?
ちょっと怖くて勇気が出ない。
「言えよ……」
耳元で囁かれて耳をクチュリと音を立てながら舐められた。
耳たぶを甘噛みされる。
「んっ……蒼斗……先輩……」
好きって言っても……いいかな……。
首筋にキスされてゾクゾクする。
「先輩……俺──」
キーンコーンカーンコーン──。
午後の授業を知らせる予鈴にビクッとした。
「あーあ……時間切れだな……」
ため息をついた先輩は、俺を離して立ち上がった。
手を差し伸べて俺の事も立たせてくれる。
次の機会があれば……好きって言えるといいな……。
二人で屋上から出ようとドアを開けたら、ドシンッと音がした。
不審に思って見れば、すぐそこで和也と圭介先輩が尻餅をついている。
「二人とも何やってんの?」
屋上の出入り口で何を?
「あははっ。何してたんだろうね?」
圭介先輩は、笑って誤魔化そうとする。
こんな所で二人でする事って──まさか!
「今の見てたんですか⁉︎」
めちゃめちゃキスしてた……。
「大丈夫だよ。キスしてる所しか見てないから」
和也が笑いながらそんな事を言う。
「それ全部だろ! 蒼斗先輩も二人に何か言って下さい!」
真っ赤になって二人に抗議する。
「こいつらずっと覗いてたぞ」
「え⁉︎ 先輩は気付いてたんですか⁉︎」
聞き捨てならない!
「気付いてたなら、なんであんな事するんですか⁉︎」
蒼斗先輩に詰め寄る。
「今のその真っ赤になったトモくんの顔が見たかったから」
し、信じられない……!
二人が覗いてるって知ってて舌出せとか言ったよな! この人……!
羞恥心が最高潮でプルプルと震える。
「お。かぁわいい」
嬉しそうに何言ってんだ!
「意地悪! 鬼! ドS!」
俺が何を言おうとニヤニヤと笑う。
こんな人に好きだと言いそうになるなんて!
俺はどうかしていた!
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