願い石~絵本の中でも双子たちと私の愛は変わりません!!~

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「あの…聞きたいことがあります。」

『うん。何かな?』

ずっと気になってたの…
デリケートなことだろうから、聞いてもいいかわからないんだけど…
だけど、気づかないフリはできないし。
そんなことしたくない。
うん。
余計なことだって怒られちゃっても、やっぱり聞かなきゃ。
私を見て欲しい。

「るーちゃんのことです。いつも目線は遠くを見てますよね?るーちゃんの心の時間だけ止まっちゃってるんですか?」

『ルーは…1年前からあの状態なんだ。今から話す内容は、少し長い話しになるけれど聞いてくれる?そして、里來にだけしか話さないから里來の胸にしまっておいて欲しいんだ。』

私が頷くと、スターリーさんは少し悲しそうな表情で話し初めたの…。

─────────────

1年前までこの国の国王は兄上だった。
とても、国民に慕われて家族思いの優しい兄上。
僕とは、年が離れていたのもあるけれど忙しい父上の代わりのように僕を大切に愛してくれていたんだ。大好きな兄上。

いつも忙しくて寂しい思いをさせているから…と言って兄上と姉上は忙しい公務を調整して…楽しみにしていた家族旅行へ出発したんだ

「しばらく留守を頼むね。スターリーがいるから安心して出かけることができるよ。ありがとう。」

本当に素敵な2人で大好きだったんだ。
出発の時の笑顔のみんなを見送ったのが最後になるなんて…思わないよ。
帰り道…嵐に巻き込まれて、馬車ごと転落するなんて。王族の馬車はとてもとても頑丈に作られているのに…。

発見された馬車の中で兄上と姉上が子どもたちを衝撃から守るように2人で双子たちの上で倒れていた…双子たちは、かすり傷1つも無くスヤスヤと眠っていたけれど2人は…息をしていなかった。

随分と昔はこの国にも、魔法を使える人達が存在していたらしいんだけど…今は魔法が使えるほどの魔力がある者はいないんだけど…王族には少しだけ魔力がある。
魔力が少しあっても、魔法を発動するほどでは無いんだ。
でもね…王族にだけは使える魔法が一つだけあるんだよ…それは、国王になった時にのみ伝えられる

”生涯で一度だけ使える防御魔法”


自らの命を魔力に変えて発動できる。

その発動の方法は、秘匿とされているんだ。

2人はその魔法を発動することで、子どもたちを守ったんだよ。
だから発見された時…双子たちは怪我も無く眠っていた。

目が覚めてからも…すぐに兄上と姉上のことは言えなかった。
僕自身が受け止められなかった…信じたくなかったんだ。
夢なら早く覚めて!!と何度も何度も思った。
僕が、勇気が無くてグズグズしていたせいで、双子たちは使用人たちがしていた話しを聞いてしまったんだ。

ムーは、両親が守ってくれたから生きていることを自分なりに受け入れられたようだったんだけど…

ルーは…心を閉ざしてしまった。

両親が居なくなったこと。
自分たちを命懸けで守ってくれたこと。
死んじゃったこと。
受け入れられなくて当然だよ…

ムーもまだ5歳だ。
だけど、ルーが心を閉ざしてしまってからムーはずっと離れず傍にいる。

ムーとルーは、本当にワンパクで2人で勝手に探検に出かけたりメイドにイタズラをしたり…元気いっぱいでいつも笑っていたんだ。
姉上はいつも言っていた。

「怒ろうとしてるのに、変顔をするから笑っちゃうの!」

ムーとルーは2人で一つ。
どちらが欠けてもダメなんだ。
泣くのも笑うのも怒るのも眠くなるのも…何でも一緒だったのに…今…ルーの心はここに無い。
ムーは、そんなルーから片時も離れないんだ。

ムーは、母がいればまたルーが戻ってくるかも知れないと思ったんだろうね。
だから”願い石”を探しに行ったんだ。
”願い石”のお話しは、双子たちが大好きなお話しで姉上が何度も話して聞かせていたんだ。
”大切な思い出のお話し”

【かぁさまをください】

願い石を見つけることができて
願いを叶えてもらえたけれど…
里來が来てくれたけれど…

僕が里來に話したことを聞いていて
里來が家族の元に帰れないことをあの子なりに理解したんだろうね。

だから…ごめんなさいって言ったんだと思う。

双子たちは、年齢以上に理解する力があるんだと思う。

僕が…もっと早く…双子たちに兄上と姉上の話しをすれば良かったんだ。
僕に勇気がなかったばっかりに…
心無い大人たちが、噂話をしていた時に兄上と姉上の馬車の中のことを話しているのを聞いてしまったんだ。
本当のことだけじゃなくて…
誇張されて…
まるで双子たちのせいで死んでしまったように…。
犠牲になったかのように…。

それを聞いたルーが暴れて泣き叫んで、繋いでいたムーの手を振り払って走り出して隠れてしまった。
ムーが見つけた時は気を失って倒れていたんだ。

そして…目を覚ましたら心を閉ざしていた。
ムーは、手を離してしまった自分のせいでルーがこんな風になってしまったんだと思ってるんだ。
だから…
ムーは、あの日から絶対ルーから離れないんだ。

全部…僕のせいなんだ。
僕が意気地無しで勇気がなかったばかりに…傷だらけの双子たちを…
双子たちを守りきることもできずに…
傷を更に増やしてしまったんだ。

───────────────

スターリーさんのグッっと握った両手は、細かく震えている…
私は涙がポロリと零れちゃった。
泣いちゃダメだよ!
私!!堪えるんだ!
辛いのは私じゃない。
私にできることがあるのかな…
わからないけど…
だけどね…
森の女神さまが願い石の願いを叶えるために私を選んでこの世界へと導いたんなら…
きっと、何か意味があるんだよね。
私にできることがきっとあるんだよね。

「あの…」

私の言葉に重ねるようにスターリーさんは話しだしたの。

『里來…話しを聞いてくれてありがとう。
僕は、王になる器じゃないんだよ…。
自分の気持ちを優先してしまって、1番大切にしなきゃダメなことを後回しにしてしまった。
王は、いつでもどんな時も冷静に最優先しなければいけない事を瞬時に判断して指示を出せなければ国を…民を守ることは出来ない。
泣き虫で決断力のない僕ではダメなんだ。
だけど、兄上と姉上が命を懸けて守った双子たちを僕も命を懸けて守ると決めたんだ。
双子たちのどちらかが王になるその日まで、僕はこの国と双子たちを守っていくんだ。

ごめんね…里來にこんな話しまでしちゃって。困っちゃうよね…。
僕はホントに、弱虫で泣き虫な王さまなんだ。』


ずっと空を見上げながら話しをしていたスターリーさんが私の方に向いてから、一度深く長い深呼吸をしてから立ち上がった。
そして…私の前に跪いたの。


『里來…森の女神さまとその子どもたちに愛される愛し子。どうか、双子たちの未来を見守っていただけませんか?お願い致します。』




















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