真面目な貴族は甘えん坊!?

十人 秋夜

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悪質ないたずら

離れたいのに

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 陽の当たらない部屋。メイド以上に粗雑な扱い。

 こんな生活をどれだけ重ねたら、幸せと呼べる日々と変わるのだろう。もしかしたら今の生活が幸せなのかもしれない。つまらない恋に溺れるよりも、決められた一日をきちんと過ごすことが今の自分にとっても周りにとっても良いことは確かだ。

 

「サユナ!サユナ!いるんだろ!」

 怒鳴るような声に、叩きつけるようなノック。久しぶりに聞く声。
 重い足を引きずるように歩き、ゆっくりとドアを開ける。

「全くどれだけ待たせるんだ!」

 偉そうして、無理に貴族らしく振舞っているだけ。痩せ細った顔、色あせた服。全てネフェル家の現状である。

「父上、ご用件を伺いたいのですが、よろしいでしょうか。」

 散々放って置いて、突然なんなのだろう。

「良いから荷物をまとめろ。」

 荷物をまとめる。いったいどういう意味なのか全く分からず、呆然としてしまう。

「ですが・・・」

「お前の意見など聞いてない。」

 




 言われるがまま荷物をまとめ、言われたように玄関の前で待っている。追い出されるのか、働きにどこかへ行くのか分からないが、もうなんでも良いと思っていた。

「サユナ、行くぞ。」

 父は一体どこに連れて行くのだろう。

「どこに行くのですか?」

 父の顔を見ると、先ほどのような威張った顔ではなく、俯いていた。そんな所で働かせるのだろうか。

「知らなくて良い。」

 働く場所が分からなければ、どう働けば良いのか分からないし、そもそも何をするつもりなのだろう。

「ただ、今よりは楽な生活ができるだろう。あっちで婚約者でも見つければいいし、見つかっても帰って来なくても良い。ネフェル家などと名乗る必要も無い。」

 どういう意味かさっぱり分からない。あっちとはどこなのか、楽な生活とはなんなのか、どうして父はそんなことを言うのだろう。

「父上それはどういう意味でしょう?」

 何を考えてそんなことを言っているのだろう。

「もう、そんな手でいることも無い。昔のことなんて忘れていい。」

 忘れていい、なんて父親が言って良いことなのだろうか。忘れられる訳がない。これから先、人生をかけて償うと決めたのだから・・・

「父上、私はそのようなことを望んでは・・・・・」

「とにかく、働いて来てくれれば良い。」

 今日の父は変だ。妙に親切になったり、強引だったり情緒不安定である。





 え・・・・・・・

 以前来たことのある豪華な屋敷。
 ここで立ち止まる父。

「父上?」

 働く。どんな仕事か、ここにくれば大体分かるが、なぜわざわざここなのか。

「なんだ? 明日から、ここでメイドとして働きなさい。朝になったら、主人(あるじ)となるアンデオール家の方々に挨拶をするように。」

 さらりといわれたけれど、アンデオール家のメイドとして明日から働く。ということは毎日のようにゼライと顔を合わせることに・・・・・・

「父上、他の所ではダメなのですか?どうして、アンデオール家なんですか?」

 アンデオール家以外にも、いくらだってメイドとして働けるはずだ。

「アンデオール家はまだご長男が結婚してないから、何かの偶然でお前と婚約すればこれから先苦労しなくても良いだろう。」






 ただ仕事をするだけで、家にお金を入れるため。

 終わった恋愛に未練を残して、家にも自分にも余計な時間も労力も使ってくだらないことをする訳にはいかない。



  忘れることが幸せに繋がる

  ただそれだけ
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