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僕の彼女
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___突然だが、僕こと一肇彼方には彼女がいる。僕自身はなんてことない普通の高校生だが、僕の彼女の遠戸崎瞬華は美人さんだ。・・・それはもう途轍もないくらいの美人だ。その上明るくて性格もいい完璧な女性だ。
だが、美人過ぎるが故によくナンパにあい、時には無理やり迫られたりすることもあるそうだ。
「彼方君!そこのクレープ屋さんによってこうよ!」
「ああ、いいよ。何食べる?」
放課後の帰り道、瞬華は街中で見つけた移動式のクレープ屋を笑顔で指差す。
その笑顔はとても可愛く、僕はその誘いを断る事は出来なかった。まあ断る理由も無いのだが。
「やっぱりイチゴのクレープかな~?結局基本が一番なのだよ!」
「じゃあ、僕も同じのにしよ。あ、イチゴのクレープ2つお願いします」
僕は店員に注文を言う。もちろんクレープを作るのは時間が掛かるので、店員は「少々お待ちください」と言ってクレープを作り出す。
「まあ、トッピングもしてないしすぐに出来るだろ」
「そうだねぇ、そこのベンチで座って待っていようか!」
そう言って瞬華が指差した方向には木が生えており、その木を囲うような円状にベンチが設置されている。
瞬華の提案通り、僕たちはベンチに座り、クレープが出来るのを待つ。
「そういえば、私たちが始めて会ったのもこの辺だったね~」
3ヶ月ほど前、夜コンビニに行くためにこの辺を歩いていると、ガラの悪い男たち数名にナンパされている瞬華を見つけた。
瞬華は学校でも美人で有名で、話したことは無かったが、僕も名前は知っている程度だった。
だが、困っている人を見つけたのに無視をしてしまうのは心が痛むため、僕は少し考えた後に、瞬華の手を引いてナンパ男たちから遠ざけようと走った。男たちは追いかけて来ていたが、近くの交番に逃げ込む事でなんとか助かった。
初対面の男に突然手を引かれて、ドン引きされないか不安だったが、瞬華はとても感謝してくれて、そこから僕たちは仲良くなっていった。
「・・・確かにそうだったな」
僕はそんな事を思い出しつつ、空を見上げる。・・・木の枝と葉っぱのせいで青空が見えなかった。
「彼方君、あの時かっこ良かったよぉ?王子様みたいで!」
「そう言われると恥ずかしいな」
「まあ、王子様なら悪い奴らを成敗するんだけどね~」
「僕にそんな腕は無いよ?」
僕にそんな事を求められても困る・・・いや本当に困ってしまう。
「分かってるって~!」
瞬華はそう言いながらこちらを見てウインクをする。
・・・かわいい。
「さてと、そろそろクレープができる頃かな?僕が取ってくるよ」
「うん、ありがと!」
僕はそう言ってベンチを立ち、クレープ屋の方へ向かう。
店員から2つのイチゴクレープを受け取ってお金を払い、「ありがとうございました」という言葉を聞いて身を翻し瞬華のいるベンチへ向かおうとする。
「・・・っ!」
だが、僕はそこでそれを目撃する。
ベンチに座っている瞬華に2人の男が話しかけているのを。瞬華はかなり嫌そうな顔をしており、友達という訳でも無さそうだ。
「・・・・・」
こうなればやることは決まっている。僕は男のたちの後ろまで歩き、男の一人の肩を叩く。
「・・・あんたら、僕の彼女になんの用?」
男は突然肩を叩かれて少し驚いたようだが、振り向いて僕を見るなりニヤリとした。
まあ、身長もガタイも男の方がいいし、何より相手は2人でこっちは1人だ。ナメられて当然だな。
僕は男たちを睨みながら瞬華に近づき、手を握る。一瞬だけ瞬華の方を見て小さく「せ~の」と僕が言った瞬間僕たちは走り出す。
後ろから「おい待て!」と聞こえてくるが、そんな事は気にせずに無視して走る。ひたすら走る。
2分ほど走り、僕たちは交番に逃げ込んでいた。
「ハァハァハァ・・・」
「・・・ふぅ」
かなり本気で走ったため、瞬華は息切れしている。男たちから逃げ切れたことで僕もホッと息を付く。
「お前ら、また来たのか」
そんな声のした方向に視線を向けると、交番の女性が呆れた目でこちらを見ていた。
「あ、こんにちは」
「ハァハァ・・・こ、こんにちは」
「で、今回も逃げてきたのか?」
交番勤務の女性、日向さんが呆れるのも無理はない。なぜならこの3ヶ月でこの交番に逃げ込んできた回数は一度や二度じゃない。
「まあ、そんなところです」
「・・・そうか。大変だな」
日向さんは何か言いたげな様子でこちらを見てくる。
僕はそこで手に持っているクレープがグチャグチャになっていることに気がつく。
「あ、クレープですか」
「・・・それもそうだが」
「あ、あの!」
日向さんが何か言いかけた所で、それを遮るように瞬華が言葉を発する。
「お手洗い借りてもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
日向さんが許可を出すと、瞬華は早足でトイレの方に歩いていく。
「・・・で、私が言いたいこと。分かってるよな?」
「さあ?さっぱりですね」
瞬華がトイレに入ったことを確認すると、日向さんは目を細めてそんな事を言ってくる。
僕はそれに対して首を振り、とぼけるようにして返す。
「なんでわざわざ逃げてくるんだ。ナンパなんてシバいてやればいいじゃないか」
「・・・仮にも警察の発言とは思えませんね」
「私はナンパには厳しいんだよ。で、なんでそうしない?お前なら出来るだろう?」
僕は昔、かなり荒れていた時期があった。校内の不良と喧嘩をし、全員シバいて警察沙汰になった事もあった。日向さんとはその時からの顔見知りだ。
「まあ、色々あったんですよ」
これに関しては言いたく無い。
「お前が話したくないなら深く聞くつもりは無いがな。まあ、今度の"恋愛"は上手く行くことを祈ってるよ」
「・・・ありがとうございますね。」
そんな話をしているとドアが開く音がして、そこから瞬華が出てきた。
「にゃはは、緊張が解けたらトイレに行きたくなっちゃって・・・」
「全然大丈夫だよ。じゃあ、そろそろ帰ろうか」
そう言って僕たちは日向さんに礼をして交番から出る。
「あ!クレープ食べるの忘れてた!」
交番を出た瞬華は、思い出したようにそう叫ぶ。そんな瞬華に僕はグチャグチャになってしまったクレープを手渡す。
「ごめん、逃げた時にグチャグチャになっちゃったよ」
「大丈夫大丈夫!味は変わらないから」
そう言って美味しそうにクレープを食べる瞬華はとても可愛くて、僕は「こんな幸せがずっと続けばいいな」と思いつつ、クレープを食べるのだった。
「・・・ふんふんふふ~ん♪」
あれから数週間後の夜中、僕は鼻歌を歌いながら街中を歩いていた。
理由は単純で、腹が減ったが家になにも無かったのでコンビニに何か買いに行くためだ。
「・・・こっちから行くか」
早く何かが食べたくて、いつもとは違う近道の裏路地を通ることにする。
「・・・っ、やめっ・・・!」
「ん?」
そこで何か声が聞こえたような気がして、僕は声がした方向である右側を向き、気配を消してそちら側に歩いていく。
曲がり角で先を覗き込むと、そこには目を疑いたくなるような光景が映っていた。
「・・・っ!やめて!!」
瞬華が男数人に囲まれており、腕などを掴まれている。
いつものナンパとは訳が違う。これは明確な犯罪であり、瞬華の尊厳を奪うものだ。
「・・・・・!」
僕は何も考えずに男たちに近づいていく。
「ん?なんだぁ?」
僕に気がついた男の一人は、瞬華の服を脱がそうとする手を止め、こちらを見る。
「お前、前に俺等の邪魔をしたやつじゃねぇか!」
よく見るとそいつはこの間、瞬華をナンパしていた男の一人だった。
「彼方君!!」
瞬華は目に涙を浮かべてこちらを見てくる。「君だけでも早く逃げて」と言いたげな目で。
「彼氏君かなぁ?かわいい彼女が犯されるのを、何も出来ずに見てるといいよぉ!」
「「ハハハハハ!」」
男の一人がそんな事を言うと他の男たちが笑い出す。
「落ち込むなって!この人数相手にお前はどうしようも無かっ・・・」
そう言いながら僕の腕を掴もうとしてくる男はそのセリフを最後まで言い終える事はなく、凄い勢いで吹き飛び、壁に激突して意識を失った。
「・・・何だお前!?」
もう限界だ。この狭い路地ではこの人数相手に瞬華を連れて逃げれないし、何より瞬華にこんなことをする奴らを許せない。
___僕は昔いた彼女を助けるために、相手をボコボコにして痛めつけた。だが、それを見た彼女は僕を嫌い、離れて行ってしまった。僕は彼女を救いたかっただけだったのに。
それ以来、僕は暴力を振るうことは無くなり、性格も以前よりは温厚になっていったと自分でも分かる。
瞬華を助けるときも毎回逃げるのは、もし相手に暴力を振るって瞬華に嫌われたら僕は立ち直れないからだ。僕は瞬華に嫌われたくないと思い続けていたからだ。
だが、今回は違う。いくら瞬華に嫌われようとも、瞬華を守れればそれでいい。
僕は一切の迷いなくその覚悟を決めて男たちを次々と倒していく。
「・・・・・」
僕は数秒で6人の男を全員気絶させることに成功する。
「・・・・・」
瞬華の方を見るのが怖い。
瞬華に嫌われるのが怖い。
瞬華に拒絶されるのが怖い。
僕はそう考えて、男たちから攻撃を受けてもいないのにフラフラになりながら、瞬華に背を向けて歩き出す。
「・・・!?」
が、突然後ろから何かに優しく抱きしめられた様な感じがした。
「・・・っ!ありがとう!」
僕が後ろを見ると、そこには涙を流している瞬華の顔が視界に入ってきた。
「・・・っ」
その顔を見て、僕も泣きそうになる。
「ごめん・・・ごめん」
僕は瞬華の方を向き、膝から崩れ落ちて、涙を流しながら瞬華に謝る。
「どうして彼方君があやまるんだい?」
「だって・・・し・・・」
僕のその言葉は最後まで言い終えることは無かった。何故なら___
___瞬華の唇が僕の口を塞いだから。
だが、美人過ぎるが故によくナンパにあい、時には無理やり迫られたりすることもあるそうだ。
「彼方君!そこのクレープ屋さんによってこうよ!」
「ああ、いいよ。何食べる?」
放課後の帰り道、瞬華は街中で見つけた移動式のクレープ屋を笑顔で指差す。
その笑顔はとても可愛く、僕はその誘いを断る事は出来なかった。まあ断る理由も無いのだが。
「やっぱりイチゴのクレープかな~?結局基本が一番なのだよ!」
「じゃあ、僕も同じのにしよ。あ、イチゴのクレープ2つお願いします」
僕は店員に注文を言う。もちろんクレープを作るのは時間が掛かるので、店員は「少々お待ちください」と言ってクレープを作り出す。
「まあ、トッピングもしてないしすぐに出来るだろ」
「そうだねぇ、そこのベンチで座って待っていようか!」
そう言って瞬華が指差した方向には木が生えており、その木を囲うような円状にベンチが設置されている。
瞬華の提案通り、僕たちはベンチに座り、クレープが出来るのを待つ。
「そういえば、私たちが始めて会ったのもこの辺だったね~」
3ヶ月ほど前、夜コンビニに行くためにこの辺を歩いていると、ガラの悪い男たち数名にナンパされている瞬華を見つけた。
瞬華は学校でも美人で有名で、話したことは無かったが、僕も名前は知っている程度だった。
だが、困っている人を見つけたのに無視をしてしまうのは心が痛むため、僕は少し考えた後に、瞬華の手を引いてナンパ男たちから遠ざけようと走った。男たちは追いかけて来ていたが、近くの交番に逃げ込む事でなんとか助かった。
初対面の男に突然手を引かれて、ドン引きされないか不安だったが、瞬華はとても感謝してくれて、そこから僕たちは仲良くなっていった。
「・・・確かにそうだったな」
僕はそんな事を思い出しつつ、空を見上げる。・・・木の枝と葉っぱのせいで青空が見えなかった。
「彼方君、あの時かっこ良かったよぉ?王子様みたいで!」
「そう言われると恥ずかしいな」
「まあ、王子様なら悪い奴らを成敗するんだけどね~」
「僕にそんな腕は無いよ?」
僕にそんな事を求められても困る・・・いや本当に困ってしまう。
「分かってるって~!」
瞬華はそう言いながらこちらを見てウインクをする。
・・・かわいい。
「さてと、そろそろクレープができる頃かな?僕が取ってくるよ」
「うん、ありがと!」
僕はそう言ってベンチを立ち、クレープ屋の方へ向かう。
店員から2つのイチゴクレープを受け取ってお金を払い、「ありがとうございました」という言葉を聞いて身を翻し瞬華のいるベンチへ向かおうとする。
「・・・っ!」
だが、僕はそこでそれを目撃する。
ベンチに座っている瞬華に2人の男が話しかけているのを。瞬華はかなり嫌そうな顔をしており、友達という訳でも無さそうだ。
「・・・・・」
こうなればやることは決まっている。僕は男のたちの後ろまで歩き、男の一人の肩を叩く。
「・・・あんたら、僕の彼女になんの用?」
男は突然肩を叩かれて少し驚いたようだが、振り向いて僕を見るなりニヤリとした。
まあ、身長もガタイも男の方がいいし、何より相手は2人でこっちは1人だ。ナメられて当然だな。
僕は男たちを睨みながら瞬華に近づき、手を握る。一瞬だけ瞬華の方を見て小さく「せ~の」と僕が言った瞬間僕たちは走り出す。
後ろから「おい待て!」と聞こえてくるが、そんな事は気にせずに無視して走る。ひたすら走る。
2分ほど走り、僕たちは交番に逃げ込んでいた。
「ハァハァハァ・・・」
「・・・ふぅ」
かなり本気で走ったため、瞬華は息切れしている。男たちから逃げ切れたことで僕もホッと息を付く。
「お前ら、また来たのか」
そんな声のした方向に視線を向けると、交番の女性が呆れた目でこちらを見ていた。
「あ、こんにちは」
「ハァハァ・・・こ、こんにちは」
「で、今回も逃げてきたのか?」
交番勤務の女性、日向さんが呆れるのも無理はない。なぜならこの3ヶ月でこの交番に逃げ込んできた回数は一度や二度じゃない。
「まあ、そんなところです」
「・・・そうか。大変だな」
日向さんは何か言いたげな様子でこちらを見てくる。
僕はそこで手に持っているクレープがグチャグチャになっていることに気がつく。
「あ、クレープですか」
「・・・それもそうだが」
「あ、あの!」
日向さんが何か言いかけた所で、それを遮るように瞬華が言葉を発する。
「お手洗い借りてもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
日向さんが許可を出すと、瞬華は早足でトイレの方に歩いていく。
「・・・で、私が言いたいこと。分かってるよな?」
「さあ?さっぱりですね」
瞬華がトイレに入ったことを確認すると、日向さんは目を細めてそんな事を言ってくる。
僕はそれに対して首を振り、とぼけるようにして返す。
「なんでわざわざ逃げてくるんだ。ナンパなんてシバいてやればいいじゃないか」
「・・・仮にも警察の発言とは思えませんね」
「私はナンパには厳しいんだよ。で、なんでそうしない?お前なら出来るだろう?」
僕は昔、かなり荒れていた時期があった。校内の不良と喧嘩をし、全員シバいて警察沙汰になった事もあった。日向さんとはその時からの顔見知りだ。
「まあ、色々あったんですよ」
これに関しては言いたく無い。
「お前が話したくないなら深く聞くつもりは無いがな。まあ、今度の"恋愛"は上手く行くことを祈ってるよ」
「・・・ありがとうございますね。」
そんな話をしているとドアが開く音がして、そこから瞬華が出てきた。
「にゃはは、緊張が解けたらトイレに行きたくなっちゃって・・・」
「全然大丈夫だよ。じゃあ、そろそろ帰ろうか」
そう言って僕たちは日向さんに礼をして交番から出る。
「あ!クレープ食べるの忘れてた!」
交番を出た瞬華は、思い出したようにそう叫ぶ。そんな瞬華に僕はグチャグチャになってしまったクレープを手渡す。
「ごめん、逃げた時にグチャグチャになっちゃったよ」
「大丈夫大丈夫!味は変わらないから」
そう言って美味しそうにクレープを食べる瞬華はとても可愛くて、僕は「こんな幸せがずっと続けばいいな」と思いつつ、クレープを食べるのだった。
「・・・ふんふんふふ~ん♪」
あれから数週間後の夜中、僕は鼻歌を歌いながら街中を歩いていた。
理由は単純で、腹が減ったが家になにも無かったのでコンビニに何か買いに行くためだ。
「・・・こっちから行くか」
早く何かが食べたくて、いつもとは違う近道の裏路地を通ることにする。
「・・・っ、やめっ・・・!」
「ん?」
そこで何か声が聞こえたような気がして、僕は声がした方向である右側を向き、気配を消してそちら側に歩いていく。
曲がり角で先を覗き込むと、そこには目を疑いたくなるような光景が映っていた。
「・・・っ!やめて!!」
瞬華が男数人に囲まれており、腕などを掴まれている。
いつものナンパとは訳が違う。これは明確な犯罪であり、瞬華の尊厳を奪うものだ。
「・・・・・!」
僕は何も考えずに男たちに近づいていく。
「ん?なんだぁ?」
僕に気がついた男の一人は、瞬華の服を脱がそうとする手を止め、こちらを見る。
「お前、前に俺等の邪魔をしたやつじゃねぇか!」
よく見るとそいつはこの間、瞬華をナンパしていた男の一人だった。
「彼方君!!」
瞬華は目に涙を浮かべてこちらを見てくる。「君だけでも早く逃げて」と言いたげな目で。
「彼氏君かなぁ?かわいい彼女が犯されるのを、何も出来ずに見てるといいよぉ!」
「「ハハハハハ!」」
男の一人がそんな事を言うと他の男たちが笑い出す。
「落ち込むなって!この人数相手にお前はどうしようも無かっ・・・」
そう言いながら僕の腕を掴もうとしてくる男はそのセリフを最後まで言い終える事はなく、凄い勢いで吹き飛び、壁に激突して意識を失った。
「・・・何だお前!?」
もう限界だ。この狭い路地ではこの人数相手に瞬華を連れて逃げれないし、何より瞬華にこんなことをする奴らを許せない。
___僕は昔いた彼女を助けるために、相手をボコボコにして痛めつけた。だが、それを見た彼女は僕を嫌い、離れて行ってしまった。僕は彼女を救いたかっただけだったのに。
それ以来、僕は暴力を振るうことは無くなり、性格も以前よりは温厚になっていったと自分でも分かる。
瞬華を助けるときも毎回逃げるのは、もし相手に暴力を振るって瞬華に嫌われたら僕は立ち直れないからだ。僕は瞬華に嫌われたくないと思い続けていたからだ。
だが、今回は違う。いくら瞬華に嫌われようとも、瞬華を守れればそれでいい。
僕は一切の迷いなくその覚悟を決めて男たちを次々と倒していく。
「・・・・・」
僕は数秒で6人の男を全員気絶させることに成功する。
「・・・・・」
瞬華の方を見るのが怖い。
瞬華に嫌われるのが怖い。
瞬華に拒絶されるのが怖い。
僕はそう考えて、男たちから攻撃を受けてもいないのにフラフラになりながら、瞬華に背を向けて歩き出す。
「・・・!?」
が、突然後ろから何かに優しく抱きしめられた様な感じがした。
「・・・っ!ありがとう!」
僕が後ろを見ると、そこには涙を流している瞬華の顔が視界に入ってきた。
「・・・っ」
その顔を見て、僕も泣きそうになる。
「ごめん・・・ごめん」
僕は瞬華の方を向き、膝から崩れ落ちて、涙を流しながら瞬華に謝る。
「どうして彼方君があやまるんだい?」
「だって・・・し・・・」
僕のその言葉は最後まで言い終えることは無かった。何故なら___
___瞬華の唇が僕の口を塞いだから。
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