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第21話

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花さんの講義が終わった後、僕達は本殿へと向かう
陽菜さんの視線がなんだか鋭いのは気のせいだろうか‥

花「はい!では、左をご覧ください!よく写真で見る随身門です!」
芽衣「うわぁ、遠くからでも豪華なのがわかる!」
加奈「早く近くに行こう!」
花「ちょっと待ったぁ!」
加奈「ひっ!」
花「お嬢さん方、はやる気持ちは分かりやすが、ちょっとお待ちくだせい!」
芽衣「お姉ちゃんのスイッチが入った!」

花「煌びやかな山門もいいですがここは、ちょっとあっしに着いて来てくだせぃ!」
芽衣「へぃ、がってんだい!」
花と芽衣は随身門とは反対に歩いて行った
加奈「‥‥」
蓮「ふふ、変わった兄弟ね」
茜が小刻みに震えている
茜「‥姐さんって呼ばせてもらいやすぜ!」
茜も足早に花の後を追って行った
蓮「それじゃあ、私達も‥いや、あっし達も行きましょうぜい!」
加奈「合点承知!」
蓮も加奈も楽しそうに走り出した

隆太「若いっていいね」
陽菜「‥‥」
健太「陽菜さんは行かなくていいんですか?」
陽菜「‥行くに決まってるわ!当たり前だのクラッカーよ!」
陽菜も走り出した
健太「意味わかんないすけど、ついていきやすぜ、アネキ!」
変なノリについていけないが、僕は急いで後を追った
隆太「結構急な階段だな‥よ、良く走れるな‥」
僕は意を決し階段を登る

途中からさっきまで騒がしかった声が聞こえなくなっている。
僕は気になりながらも階段を登る
階段を登り切ると古めかしい鳥居があった。
僕はお辞儀をして鳥居をくぐるとそこには‥‥

隆太「す、すごい‥」
隆太「こんな景色が見られるなんて‥」
鳥居をくぐると眼前に雄大な秩父の山々が広がる
下には集落が見えるがまるでミニチュアを見ているみたいだ

花「‥この景色はみんなに見て欲しかったの。みんなこの景色を見ずに山門から本殿に向かっちゃうの」
陽菜「うん‥、この景色はすごい!」
茜「‥心が洗われる」
蓮「うん‥ここには言葉はいらないね」
芽衣「車もおもちゃみたいだ‥」
加奈「小さな悩みとかどうでも良くなる‥」
健太「俺とした事が泣きそう‥」
隆太「分かる‥」
僕達はしばらく景色を堪能した後、随身門へと向かう

花「さぁ、いよいよ随身門です!この2つの像もすごいでしょ?それからここの天井も覚えておいてね!後でテストに出ます!」
一同「はーい!」

陽菜「ここの参道、苔むしてて凄く雰囲気いいわ♪」
花「さすが、陽菜分かってる!ここも私の好きな場所♪」
芽衣「見所が沢山で全然飽きないなぁ‥」
加奈「あっ、そろそろ本殿に近づいて来たかな」
花「はい、そうです!お待たせしました!ここを登れば本殿です!ここからはお喋り禁止で、神様に感謝の気持ちで階段を登りましょう♪」
僕達は静かに階段を登る

本殿が見えて来た

花「ここで身体を清めます。まずは左手に水をかけて、次に右手、それから左手に水をそそぎ、口を清めます。そして最後に杓子を洗います♪」
身体を清めた後、本殿へ
鮮やかな色彩が神聖な社だと改めて認識させられた

花「まずはお賽銭を感謝の気持ちを込めて静かに入れます。そして、ニ礼二拍手一礼をして自分の名前と感謝の気持ちを伝えましょう♪」
静かに感謝とこれからもお守りして下さるようお祈りをした
花「‥それでは、お守りを貰いに行きましょう!」

芽衣「ふぅ‥なんだか緊張した」
加奈「うん‥。ん、あれ、この模様どこかで‥」
茜「確かにどこかで‥。由緒書きには、この龍ある日突然現れたんだね」
蓮「あっ‥!そうだ、思い出した!随身門の天井に描かれてた龍だよ!」
陽菜「本当だ!言われてみればそっくり!」
花「うんうん、蓮さん正解!まさかそっくりの龍がいきなり現れるなんて驚きだよね!」
陽菜「普段、天井とか見ないから、知る人ぞ知るだね‥」
隆太「こ、これは奇跡だ‥しっかりと胸に刻んでパワーを貰おう!」
改めて思うけど、この三峯神社はほんとにパワースポットなんだな‥気持ちも穏やかになる

花「まだまだ、紹介したい所あるんだけど一旦休憩にしましょう♪」
僕達の三峯神社の旅はまだまだ続く。

続く
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