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第39話 最終話

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埼玉スーパーアリーナツアー中止発表から一週間後‥

花は目を覚ました。

陽子「花!」
陽子は花を優しく抱きしめた
花「お、お、お母さん?‥こ、ここは?」
陽子「‥病院よ。」
花「えっ‥」
陽子は花にこれまでの経緯を説明をした。
花「そ、そんな‥」
陽子「花‥」
花「お母さん‥ご、ごめん、しばらく1人になりたい‥」
陽子「分かった‥」
陽子は病室を後にした

ルピナス

マスター「芽衣!花さんの意識が戻ったって!」
芽衣「ほんと⁉︎」
隆太「よ、よかったぁ‥す、すぐに秩父に行こう!」
マスター「いや、陽子から今日は花を1人にして欲しいって‥」
芽衣「そ、そうだね‥」
隆太「花さん‥ショックだろうな‥」
それから数日後、芽衣は1人秩父に向かう事にした。


秩父病院

芽衣「お姉ちゃん‥おはよう」
花「芽衣‥おはよう」
芽衣「なんだか久しぶりだね。」
花「そうだね。」
芽衣「‥‥」
花「‥‥芽衣、ごめんね」
芽衣「ううん、お姉ちゃんの方が辛かったよね‥」
花「‥ほんとに‥辛い‥」
芽衣「お姉ちゃん‥」
芽衣と花は2人抱き寄せあい、泣きじゃくった‥

芽衣は花を車椅子に乗せて屋上に向かう。
今日は12月3日。
そう、この日は秩父夜祭りの日だ。
特別に夜まで面会がゆるされ、屋上も解放されている。看護師も同伴なので安心だ。

病院の屋上からはお囃子の音と楽しそうに笑う人々の声が聞こえる‥
ダイナミックな山車の曳き回しも良く見える。
おばあちゃん、お母さんも到着した。
芽衣「山車凄いね、かっこいい!」
花「うん、何度見ても興奮する‥!」
花「ねぇ、芽衣。もう辞めようとしてるでしょ?」
芽衣「えっ‥」
花「ふふ、分かるわよ。お姉ちゃんに遠慮しなくていい。芽衣の歌をみんなに届けて‥それが私の願い。そして、いつかまた一緒に舞台に立ちたい‥」
芽衣「お姉ちゃん‥」
その時‥

ドドン!

大きな花火が打ち上がった‥

秩父の夜空をまばゆい光で埋め尽くすかのような豪華な花火‥

まるでわたし達を応援してくれているような‥

わたし達、家族は花火を眺めながら幸せな時を過ごした。

3カ月後‥

茜はメジャーデビュー後、最初の曲がいきなりの大ヒット!
亜里沙のたっての希望もあり、全国ツアーに参加する事になった。
来年のワールドツアーに参加出来るかどうかはこのツアーに掛かっている。
そして今日、芽衣がメジャーデビューする。Vtuberが出演する『Vの歌魂」
で初披露する事になっている。

隆太「いよいよだね‥」
芽衣「うん‥緊張してきた‥」
スタッフ「メイメイさん、出番です。お願いします!」
隆太「頑張って!」
芽衣「はい!」

坂戸メイメイ『みなさん、初めまして。坂戸市非公認Vtuber坂戸メイメイです♪今日、クイーンレコードからデビューする事になりました!宜しくお願いいたします!』

出演V達『宜しく♪』

その出演者の中にシャークもいる
今月からシャークはこの番組のメインMCに選ばれた。
シャーク『さぁ、メイメイ頑張って歌ってください♪メジャーデビュー曲『君に捧げる歌』どうぞ!』
メイメイ『君が好き ただ君が好き 
はにかむ笑顔 なびく髪も 焦げたハンバーグでさえも 君の全てだ 
君が好き ただ君が好き 
ありきたりな言葉だけど ただ君が好き』
芽衣は震えながらも、歌いきった。

ルピナス
勇「はは、最高だな。親父」
マスター「あぁ、あの頃を思い出す‥」

秩父病院
幸子「芽衣、がんばったね‥」
花「うんうん‥」
陽子「彰さん‥、見てる?芽衣があなたの曲でデビューしたわ‥」

スタジオ収録後

健太「芽衣さん、最高だったよ!」
芽衣「ありがとう、健太さん!」
隆太「ほんとに良く頑張ったね」
芽衣「うん、めちゃくちゃ緊張したけど‥」
健太「また次の収録で会おうね。じゃあ、また!」
健太は控え室に向かって行った
隆太「僕達も帰ろうか」
芽衣「はい!」

翌日
色々なメディアで坂戸メイメイが取り上げられた。
あの大ヒット歌手の娘がVtuberとしてデビューしたと。ただそれはほんの小さな一文で、ほとんどはその歌声が大絶賛された。
完全に中の人が身バレしたが、大成功だ。
‥そして、僕はマネージャーを辞める事にした。

クイーンレコード
勇「本当にいいのか?」
隆太「はい‥。芽衣さんはもう大丈夫ですし、ここからはプロのマネージャーにお任せいたします。」
勇「分かった。これから頑張れよ。」
隆太「はい!」

僕はこれまでご当地Vtuverや沢山の人に出会い、埼玉の素晴らしさを改めて知った。
‥それと現在ご当地Vtuverの置かれている現状。
やはり広告収入だけでは中々暮らす事は出来ない。
だから僕はVtuber達が活動に集中出来るように多方面的に支援する事業を立ち上げる事にした。
勇さんに出資してもらっての事業開始だからまだまだこれからだけど、まず手始めに若葉ウォークにご当地Vtuver達のアンテナショップをオープンする。
来月には2号店を所沢にオープン予定。
もちろん、若葉は坂戸メイメイを中心にする予定。
これからは忙しくなる‥芽衣さんのライブも控えているからね。
このライブは特別な物になるはず‥

3ヶ月後

坂戸市民文化会館

マスター「いやぁ、芽衣がここでライブするなんて感慨深い‥」
陽子「そうですね、夢みたいです。」
幸子「だね。芽衣よくやったよ」
向こうに背広姿の男性がみえる

マスター「おっ、勇がいるな。」
勇「親父おはよう。それに陽子さん、幸子さんも、おはようございます。今日は参加していただきありがとうございます!」
陽子「いえいえ、いい思い出になりそうです」
勇「そうですね‥天国で彰さんも見てくれていると思います」
勇「まもなく開演ですね。席に向かいましょう」

ロビーを入った所に坂戸メイメイや他のご当地Vtuverのグッズが売られている。
隆太「マスターおはようございます!」
マスター「おう、おはよう。」
隆太「陽子さん、幸子さん、お久しぶりです!」
陽子「お久しぶりですね。お店順調みたいですね。あら、メイメイの可愛いグッズがこんなに沢山‥お母さん、どうしましょう‥」
幸子「全種類買っちゃいましょ♪」
陽子「そうよね、記念だもの♪」
隆太「お買い上げありがとうございます‼︎」
陽子「それじゃあ、また。」
隆太「ライブ楽しんでください!」

会場内は暗くなり、スタッフによる開演の案内放送が流れる‥
坂戸メイメイの単独ライブの幕が今開いた。

新曲を歌いながらステージの真ん中にホログラムのメイメイが現れる。
一曲目からもう観客の心はメイメイに魅了されてしまった。
そして、次の曲は坂戸音頭。
会場内は地元の曲という事もあり、お年寄りから子どもまで大盛り上がりだ。
3曲目に入る前にメイメイのMCが始まる。
メイメイ『えっと‥みなさん、こんにちわ!メジャーデビューしてすぐにこんなライブ出来た事に感謝いたします!何よりも、この坂戸市で最初のライブが出来た事を誇りに思います!本当にありがとうございます‼︎』

観客「待ってたよぉー!」
観客「これからも頑張ってー!」

メイメイ『あぁ、皆さんありがとうございます!‥次の曲は、『坂戸よさこい』です!ずっと開催中止でしたが、今年こそは、開催出来る様にわたしも応援しています!それでは、みんなも一緒に踊りましょう!』
ドドンドドンドンドン!
太鼓の音が鳴り響き、メイメイの歌声に合わせてみんな思い思いに踊っている。
笑顔のまま3曲目も終わった。

メイメイ『いやぁ、よさこい、やっぱいいですね♪楽しかった‥♪』
観客「俺たちもたのしかったよぉー!」
メイメイ『だよねぇー!ありがとう♪』
メイメイ『えっと‥次はですね‥わたしの友達と一緒に歌いたいと思います!みんなお願いしまーす!』

シャーク『坂戸のみんな、こんにちわ!3倍喋って3倍スベる!赤い水星のシャークです!よろしく♪』

レン『ネギネギネーギネーギネギ、ネギといえば深谷ネギ!ネギの妖精、花園レンです♪』

カナ『何処にいるかな?入間カナ?狭山茶の事ならなんでも来い!入間カナです♪』

まつり『坂戸の哀れな民よ‥あたいが浄化してあげるわ!歌の女神、氷川まつりとはあたいの事よ!』

メイメイ『みんな、坂戸にようこそ!
カナさんも、復活おめでとう♪さぁ、今日は楽しみましょう!みんなで歌うのは埼玉ラブマーチ‼︎』

軽快な音楽とともにそれぞれの地元の名産をいれながら歌っている。
前回のライブより、アドリブが効いてて成長が感じられた。
会場も大盛り上がりだ!

メイメイ『埼玉最高ー!』
シャーク『だな!』
カナ『楽しかったぁ‥』
レン『久しぶりにこんなにはしゃいじゃった♪』
まつり『ふふ、たまにはこういうのもありだわ』

まつり『メイメイ‥、さぁ、そろそろ呼びましょう』

メイメイ『うん‥』
ステージが暗くなる

メイメイ『今から数ヶ月前、わたしのお姉ちゃんが倒れました。目を覚ました後も、しばらく、うまく喋る事も、歩く事も出来ませんでした。大好きな歌さえも歌えませんでした‥』

メイメイ『そんなお姉ちゃんが、リハビリを頑張ってやっと歌う事が出来るようになりました。そして、今日1日だけ復活します‼︎』

ドーンっと轟音とともに花吹雪が舞い、恋花が登場した。

恋花『み、皆さん、お久しぶりです。秩父ご当地Vtuber恋花です!今日、またステージに立てた事本当に嬉しく思います。まだ、歩けないので踊りはまだまだ出来ませんが必ずまた戻って来ます!楽しみに待っててください‼︎』

観客「恋花!頑張れー!」
観客「ずっと待ってるよぉー!」

恋花『み、皆さんありがとう‥」

奏が花束を持って静かに登場した。
奏『恋花‥私も待ってる。いつかまた『恋桜』の桜咲かせようね♪』
恋花『うん‥ありがとう!』
観客「わぁー!」
会場は大歓声に包まれた。

メイメイ『今日はわたしのわがままでお姉ちゃん‥ううん、恋花と『君に捧げる歌』を歌わせて頂きます。』
メイメイは恋花の隣に寄り添い、歌い出す‥

メイメイ『君が好き ただ君が好き‥』
恋花『ありきたりな言葉だけど‥君が好き‥』
恋花は涙が溢れて歌えなくなった‥
芽衣は恋花を抱き寄せ、最後まで歌いきった‥
恋花『芽衣‥ありがとう‥』
メイメイ『お姉ちゃん‥大好きだよ!』

ステージの演者も観客も全員泣いている‥
それからしばらくして大きな拍手に包まれた。

メイメイ『会場のみなさん、そして今日集まってくれた友達、みんな、みんなに感謝です♪まだまだ未熟者ですが、これからも応援宜しくお願いします!坂戸にいらっ坂戸♪』

観客「いらっ坂戸!」

こうしてライブは大盛況のうちにおわった‥

芽衣「隆太さん、本当に今までありがとうございました。」
隆太「こちらこそ。芽衣さんのおかげで自分を取り戻せたよ。芽衣さんの歌はやっぱり力をくれる!」
芽衣「へへ、ありがとうございます♪隆太さんに会わなかったら歌も歌わなかったし、友達も出来なかった‥。隆太さん、本当に、本当にありがとうございました!」
隆太「‥芽衣さん‥うぅ‥泣きそうになるから、やめて‥
少し違う道だけどこれからも2人頑張っていこうね‥!」
芽衣「ふふふ、はい!」
芽衣「じゃあ、次は隆太さんが勇気を出す番だね♪もう、用意してるんでしょ?」
隆太「あ、あぁ‥」
芽衣「隆太さん、幸せになってね!さぁ、いってらっしゃい♪」
隆太「うん、い、行ってくる!」

僕は彼女の元へと走っていった‥
これまで散々な人生だったけど、芽衣さんに出会って、それから彼女にも出会えて僕の人生に光が差したんだ。
こんな経験するなんて思いもしてなかった‥本当に充実した日々だった。
だから、結果がどうあれ、この気持ちを伝えなければならない。
君に会うと今でも緊張してしまう‥
でも、でも、やっぱりこれからもずっと一緒にいたいんだ‥

隆太「ぼ、僕と一緒にこれからの人生歩んでください!」
彼女は少し照れながら、笑顔でうなずいた







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