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12、石川 孝介
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「ハァハァ……」
写真を左手に持ちながら右手を上下に動かすと、視覚による刺激と摩擦による刺激が脳内を支配してあっという間に射精した、毎度のことながら罪悪感を覚えて写真を伏せると陰部をティッシュで拭き取り手を洗う、そのままベッドにダイブすると性交後憂鬱、賢者タイムが始まった。
自分はおかしいのではないか――。
石川孝介はその考えが疑惑から確信に変わるまでそう時間を要さなかった、寝転んだまま伏せた写真をもう一度手に取る、笑顔の麗菜が満面の笑みを浮かべて写っている、隣には母親と姉が同様に笑っているがまるで興味が沸かない。
姉はともかく母の英子はかなり美しい容姿をしているにも関わらず、下半身はなんの興味も示さなかった。再び麗菜に視線を戻す、愛らしい笑顔に小さな手、あの小さな手で陰部を握ってもらい上下にシコシコと動かす麗菜、我慢できずにその可愛らしい口に押し込むとそのまま口径内で射精する、先程萎んだばかりの物はいつの間にか固くなっていた、ハァ、とため息をついて再び自慰行為を開始する。
麗菜と初めて会ったのは半年前、駅前を姉の成美と手を繋いで歩いている所を目撃して、あまりの可愛さに衝撃を受けた。フラフラと二人の後を追うように喫茶店に入ると、飲みたくもない珈琲をいつの間にか注文していた、バニラアイスが乗ったメロンソーダをストローで吸い込む麗菜を見てテーブルの下で勃起していた、どうやらこの店の次女だと知ると、アルバイト募集中の貼り紙を見てその場で直談判、人手不足の聚楽は履歴書もない孝介をその場で採用した。
それからは妄想の毎日で、それまでに世話になっていたエロ本やビデオは部屋の端に追いやられている、なんなら次のゴミの日に出しても構わない、歴戦の勇者達をあっという間に抜き去った一枚の写真は姉妹と親しくなってから、流行りの使い捨てカメラで撮ったものだ、すでに何度抜いたかは分からなかった。
大人の女性が無理なわけでも、幼女が好きなわけでもない、麗菜、そう、彼女だけが全て……、それ以外には興味がなくなった。例えば毎日、米に塩をかけるだけの食事を摂っていた男、この世には塩しかないと信じて疑わなかった男は何の不満もなく塩ご飯を平らげていた。
しかしある日いきなり鮭が登場する、ホカホカの鮭にかるく醤油をふりご飯をかき込む、果たしてその男は再び塩ご飯に戻る事が出来るのだろうか、いーや無理だ、自分に言い聞かせて瞼を閉じる。
何とか麗菜をこの部屋に連れ込めないだろうか、もちろん犯罪になるような真似はしない、彼女が使用したスプーンやコップを拝借するだけで構わなかった、そこまで考えてやはり自分は普通ではないと再度認識した。
「好きです、付き合ってくれませんか」
大学の友達に紹介された女は中々の美人だった、特定の彼女がいない今ならすぐにでも付き合って良かっただろう、しかし万が一、麗菜を連れ込む事に成功した場合その存在は一気に邪魔になる、大学生の身分で都内に一人暮らし、金持ちの親が所有するマンションの一室で悠々自適な一人暮らしを堪能していた。
彼女が出来れば当然とばかりに入り浸り若い肉体を貪り合う生活になるのは必然と言えた、ある意味でそれは健全な大学生の姿であり幼女の写真で自慰をする今の方がはるかに異常である事も自覚している。
ぐったりと横たわったまま壁に掛かった時計を確認するとすでに夕方の五時を回っていた、日曜日なので一日中家でゴロゴロとしていたが六時から聚楽でアルバイトが入っている、日曜日は比較的、麗菜が遊びに来ることが多いので必ずシフトに入れてもらうようにしていた。
重い腰を上げて洗面所で顔を洗う、気合を入れ直してから、近所のアルバイトに行くにはオシャレ過ぎる洋風を身にまとい、まるで恋する乙女のように軽やかな足取りで家を出た。
夕飯前の聚楽はまばらな客入りだった、インベーダーゲームの前に座って熱中しているガッチリとした男は最近よく店に訪れるようになった警察官だ。犯罪を犯すようなことはしていないし、これからもする予定はないがなぜか背筋がピンと伸びた。麗菜の姿を探すが見当たらない、夕飯を食べに来るにはまだ少し早いのだろう。
「おはようございます」
社長の英子――、いや実際の社長は旦那さんなのだろうが、この店に入って三ヶ月、孝介は一度も会ったことがなかった。
「おはよう孝介くん、今日は一日退屈だったわ」
「そうですか、きっとこれからですよ」
そうは言ったが特に根拠はない、なにせこの店が混んでいる所など見た事がない、駅前一等地にも関わらず客が入らない理由は大学生の自分にだってわかる。
喫茶店にも関わらずインスタントの珈琲を出して食べ物も殆どがレトルト、国籍不明の外国人が作るパスタはお世辞にも美味いとは言えなかった、インベーダーゲームの席は常連客で埋まるが、それ以外の一元客がリピートする確率は極めて低いだろう。もっとも麗菜が目的の自分にはなんの関係もないが。
事務所で聚楽のロゴが入った緑のエプロンを付けてからホールに出る、パチェラがレジ前で何やら怪しい動きをしているがいつもの事なので気にも留めなかった。
カランカランとドアベルが鳴って振り返るが期待した人物じゃない、それどころかその若い女を見て舌打ちしそうになった。
「イラッシャイマセー」
パチェラが女を開いている席に案内する、視線が合わないように俯いたままキッチンに引っ込んだ。
小泉真希――。
半年前まで付き合っていた同じ大学の学生だが、別れを告げてからも度々自分の前に現れては復縁を迫まってきた。贔屓目に見ても美人な彼女はなぜ自分が捨てられたのか納得がいかないようだ。
他に好きな子が出来たと言ったのが良くなかったようだ、一目その子に会わせろときかなかったが、当然そんな訳にはいかない。
「あら、あの子、孝介くんの彼女じゃない」
英子は目を輝かせながら話しかけてきた、この手の恋愛話が好きなのは若い女だけじゃないようだ、
「いや、元ですよ、今は別れました」
三回くらい説明しているが覚える気がないのかわざとなのか判断がつかない。
「まあ、でも知り合いならお願いね」
アイス珈琲を渡される、どうやら彼女が注文した物らしい、断る訳にもいかないので渋々テーブルまで運んだ、視線を合わせないようにグラスを睨みつけながら置くと視界の外からじっと自分の横顔を見つめているのが分かる。「お待たせしました」と一言だけ言って立ち去ろうとするが案の定、声をかけられた。
「今日は何時まで?」
「九時、だけど……」
目を合わせないようして答える。
「家行っていい?」
大きく息を吸ってから相手に分かるようにため息を吐いた、どんなチヤホヤされた人生を送ってくればこんな図々しい人間が出来上がるのだろうか、いや、彼女は自分が家に行きたいと言って断る男などいる訳がないと本気で思っているのかも知れない。
最近ではご飯を奢るだけの役目であるメッシー君や、送り迎えするだけのアッシー君など凡そ自分には理解できない男達で溢れていた、そして彼女達もそれがまるでブランド品であるかのように自分のステータスにしているから始末が悪い。
調子に乗った女達をさらに我儘にしたのは世の男達といえる、多分に漏れず真希にもそういった輩が取り巻きにいる、これだけ美人だと群がる男の数も桁違いだろう、さっさとその中の一人とでも付き合えば良いのに、いつまでも自分にこだわる理由が不明だった。
「俺達はもう別れたんだから、勘弁してくれよ」
ここにも来ないでくれと付け加えたが、彼女は全く意にかえさない様子でニコニコとアイス珈琲をストローで吸っていた。
再びドアベルが鳴る、振り返ると今度こそ目当ての人物はやってきた、麗菜が両手で木のドアを押して入ってくる、後ろには姉の成美もいた。
「麗菜、成美ー!」
後ろから二人を呼ぶ声を聞いてギョッとして振り返ると、真希が手を振りながら入り口に視線を送っていた、どうして彼女が二人の事を、考えがまとまる前に二人が駆け寄ってきた。
「真希ちゃん、こんにちわ」
「ここ座りなよ」
「うん」
真希が奥に詰めると、麗菜が小さな体を滑り込ませて彼女の隣に座った、成美はインベーダーゲームをする警察官に一言挨拶を終えると、当たり前のように二人の前に腰掛ける、何が起きているのか分からず唖然としていると麗菜から声がかかる。
「孝介ー、なに、ぼーっとしてるのよ」
ハッと、我に返り三人を見渡した。
「え、なに、君達いつから知り合いに……」
「こんな美人の彼女がいるなんてー、麗菜嫉妬しちゃうなー」
手を股の間に挟んでモジモジしている、何かのアニメのモノマネだろうか。
「いや、だから彼女じゃないって――」
「オムライスとカレーね」
だめだ、全く話を聞いてくれない、もっともこんな幼い女の子に必死に言い訳をするなんて滑稽すぎる、すでに三人はキャッキャとよく分からないアイドルの話で盛り上がっていた。小さくため息をついてキッチンに入るとオムライスとカレーのオーダーを通した。
店内には姉妹と話す元彼女、インベーダーゲームに熱中していたと思ったらいつの間にか英子と談笑している警察官の他に客はいなかった、いくらなんでもこれでは店が潰れてしまうのではないか、そうなれば麗菜にあう機会は永久になくなってしまう、想像すると胸が張り裂ける想いだった、これほどまでに麗菜に夢中になっている自分が怖いがどうする事も出来ない。
それにしても――。
真希のテーブルに視線を送る、一体いつの間にあの姉妹と仲良くなったのだろうか、もちろん毎日シフトに入っている訳じゃないから自分がいない日に彼女達が意気投合した可能性が高いが、一体何を話しているのか気になった、真希が有る事無い事を麗菜に吹き込んでいるんじゃないか、そんな不安が頭をよぎる。
――家行っていい?
仕方がない、真希には少し話を聞く必要がありそうだ、そして出来れば二度とこの店には来ないように説得しなければならない、勘の鋭い女だ、万が一にも麗菜への思いが露見したなら大学にもここにも自分の居場所はなくなるだろう。
この日何度目か分からないため息をつくと、暇な店内で時間までひたすら立ち尽くした。
写真を左手に持ちながら右手を上下に動かすと、視覚による刺激と摩擦による刺激が脳内を支配してあっという間に射精した、毎度のことながら罪悪感を覚えて写真を伏せると陰部をティッシュで拭き取り手を洗う、そのままベッドにダイブすると性交後憂鬱、賢者タイムが始まった。
自分はおかしいのではないか――。
石川孝介はその考えが疑惑から確信に変わるまでそう時間を要さなかった、寝転んだまま伏せた写真をもう一度手に取る、笑顔の麗菜が満面の笑みを浮かべて写っている、隣には母親と姉が同様に笑っているがまるで興味が沸かない。
姉はともかく母の英子はかなり美しい容姿をしているにも関わらず、下半身はなんの興味も示さなかった。再び麗菜に視線を戻す、愛らしい笑顔に小さな手、あの小さな手で陰部を握ってもらい上下にシコシコと動かす麗菜、我慢できずにその可愛らしい口に押し込むとそのまま口径内で射精する、先程萎んだばかりの物はいつの間にか固くなっていた、ハァ、とため息をついて再び自慰行為を開始する。
麗菜と初めて会ったのは半年前、駅前を姉の成美と手を繋いで歩いている所を目撃して、あまりの可愛さに衝撃を受けた。フラフラと二人の後を追うように喫茶店に入ると、飲みたくもない珈琲をいつの間にか注文していた、バニラアイスが乗ったメロンソーダをストローで吸い込む麗菜を見てテーブルの下で勃起していた、どうやらこの店の次女だと知ると、アルバイト募集中の貼り紙を見てその場で直談判、人手不足の聚楽は履歴書もない孝介をその場で採用した。
それからは妄想の毎日で、それまでに世話になっていたエロ本やビデオは部屋の端に追いやられている、なんなら次のゴミの日に出しても構わない、歴戦の勇者達をあっという間に抜き去った一枚の写真は姉妹と親しくなってから、流行りの使い捨てカメラで撮ったものだ、すでに何度抜いたかは分からなかった。
大人の女性が無理なわけでも、幼女が好きなわけでもない、麗菜、そう、彼女だけが全て……、それ以外には興味がなくなった。例えば毎日、米に塩をかけるだけの食事を摂っていた男、この世には塩しかないと信じて疑わなかった男は何の不満もなく塩ご飯を平らげていた。
しかしある日いきなり鮭が登場する、ホカホカの鮭にかるく醤油をふりご飯をかき込む、果たしてその男は再び塩ご飯に戻る事が出来るのだろうか、いーや無理だ、自分に言い聞かせて瞼を閉じる。
何とか麗菜をこの部屋に連れ込めないだろうか、もちろん犯罪になるような真似はしない、彼女が使用したスプーンやコップを拝借するだけで構わなかった、そこまで考えてやはり自分は普通ではないと再度認識した。
「好きです、付き合ってくれませんか」
大学の友達に紹介された女は中々の美人だった、特定の彼女がいない今ならすぐにでも付き合って良かっただろう、しかし万が一、麗菜を連れ込む事に成功した場合その存在は一気に邪魔になる、大学生の身分で都内に一人暮らし、金持ちの親が所有するマンションの一室で悠々自適な一人暮らしを堪能していた。
彼女が出来れば当然とばかりに入り浸り若い肉体を貪り合う生活になるのは必然と言えた、ある意味でそれは健全な大学生の姿であり幼女の写真で自慰をする今の方がはるかに異常である事も自覚している。
ぐったりと横たわったまま壁に掛かった時計を確認するとすでに夕方の五時を回っていた、日曜日なので一日中家でゴロゴロとしていたが六時から聚楽でアルバイトが入っている、日曜日は比較的、麗菜が遊びに来ることが多いので必ずシフトに入れてもらうようにしていた。
重い腰を上げて洗面所で顔を洗う、気合を入れ直してから、近所のアルバイトに行くにはオシャレ過ぎる洋風を身にまとい、まるで恋する乙女のように軽やかな足取りで家を出た。
夕飯前の聚楽はまばらな客入りだった、インベーダーゲームの前に座って熱中しているガッチリとした男は最近よく店に訪れるようになった警察官だ。犯罪を犯すようなことはしていないし、これからもする予定はないがなぜか背筋がピンと伸びた。麗菜の姿を探すが見当たらない、夕飯を食べに来るにはまだ少し早いのだろう。
「おはようございます」
社長の英子――、いや実際の社長は旦那さんなのだろうが、この店に入って三ヶ月、孝介は一度も会ったことがなかった。
「おはよう孝介くん、今日は一日退屈だったわ」
「そうですか、きっとこれからですよ」
そうは言ったが特に根拠はない、なにせこの店が混んでいる所など見た事がない、駅前一等地にも関わらず客が入らない理由は大学生の自分にだってわかる。
喫茶店にも関わらずインスタントの珈琲を出して食べ物も殆どがレトルト、国籍不明の外国人が作るパスタはお世辞にも美味いとは言えなかった、インベーダーゲームの席は常連客で埋まるが、それ以外の一元客がリピートする確率は極めて低いだろう。もっとも麗菜が目的の自分にはなんの関係もないが。
事務所で聚楽のロゴが入った緑のエプロンを付けてからホールに出る、パチェラがレジ前で何やら怪しい動きをしているがいつもの事なので気にも留めなかった。
カランカランとドアベルが鳴って振り返るが期待した人物じゃない、それどころかその若い女を見て舌打ちしそうになった。
「イラッシャイマセー」
パチェラが女を開いている席に案内する、視線が合わないように俯いたままキッチンに引っ込んだ。
小泉真希――。
半年前まで付き合っていた同じ大学の学生だが、別れを告げてからも度々自分の前に現れては復縁を迫まってきた。贔屓目に見ても美人な彼女はなぜ自分が捨てられたのか納得がいかないようだ。
他に好きな子が出来たと言ったのが良くなかったようだ、一目その子に会わせろときかなかったが、当然そんな訳にはいかない。
「あら、あの子、孝介くんの彼女じゃない」
英子は目を輝かせながら話しかけてきた、この手の恋愛話が好きなのは若い女だけじゃないようだ、
「いや、元ですよ、今は別れました」
三回くらい説明しているが覚える気がないのかわざとなのか判断がつかない。
「まあ、でも知り合いならお願いね」
アイス珈琲を渡される、どうやら彼女が注文した物らしい、断る訳にもいかないので渋々テーブルまで運んだ、視線を合わせないようにグラスを睨みつけながら置くと視界の外からじっと自分の横顔を見つめているのが分かる。「お待たせしました」と一言だけ言って立ち去ろうとするが案の定、声をかけられた。
「今日は何時まで?」
「九時、だけど……」
目を合わせないようして答える。
「家行っていい?」
大きく息を吸ってから相手に分かるようにため息を吐いた、どんなチヤホヤされた人生を送ってくればこんな図々しい人間が出来上がるのだろうか、いや、彼女は自分が家に行きたいと言って断る男などいる訳がないと本気で思っているのかも知れない。
最近ではご飯を奢るだけの役目であるメッシー君や、送り迎えするだけのアッシー君など凡そ自分には理解できない男達で溢れていた、そして彼女達もそれがまるでブランド品であるかのように自分のステータスにしているから始末が悪い。
調子に乗った女達をさらに我儘にしたのは世の男達といえる、多分に漏れず真希にもそういった輩が取り巻きにいる、これだけ美人だと群がる男の数も桁違いだろう、さっさとその中の一人とでも付き合えば良いのに、いつまでも自分にこだわる理由が不明だった。
「俺達はもう別れたんだから、勘弁してくれよ」
ここにも来ないでくれと付け加えたが、彼女は全く意にかえさない様子でニコニコとアイス珈琲をストローで吸っていた。
再びドアベルが鳴る、振り返ると今度こそ目当ての人物はやってきた、麗菜が両手で木のドアを押して入ってくる、後ろには姉の成美もいた。
「麗菜、成美ー!」
後ろから二人を呼ぶ声を聞いてギョッとして振り返ると、真希が手を振りながら入り口に視線を送っていた、どうして彼女が二人の事を、考えがまとまる前に二人が駆け寄ってきた。
「真希ちゃん、こんにちわ」
「ここ座りなよ」
「うん」
真希が奥に詰めると、麗菜が小さな体を滑り込ませて彼女の隣に座った、成美はインベーダーゲームをする警察官に一言挨拶を終えると、当たり前のように二人の前に腰掛ける、何が起きているのか分からず唖然としていると麗菜から声がかかる。
「孝介ー、なに、ぼーっとしてるのよ」
ハッと、我に返り三人を見渡した。
「え、なに、君達いつから知り合いに……」
「こんな美人の彼女がいるなんてー、麗菜嫉妬しちゃうなー」
手を股の間に挟んでモジモジしている、何かのアニメのモノマネだろうか。
「いや、だから彼女じゃないって――」
「オムライスとカレーね」
だめだ、全く話を聞いてくれない、もっともこんな幼い女の子に必死に言い訳をするなんて滑稽すぎる、すでに三人はキャッキャとよく分からないアイドルの話で盛り上がっていた。小さくため息をついてキッチンに入るとオムライスとカレーのオーダーを通した。
店内には姉妹と話す元彼女、インベーダーゲームに熱中していたと思ったらいつの間にか英子と談笑している警察官の他に客はいなかった、いくらなんでもこれでは店が潰れてしまうのではないか、そうなれば麗菜にあう機会は永久になくなってしまう、想像すると胸が張り裂ける想いだった、これほどまでに麗菜に夢中になっている自分が怖いがどうする事も出来ない。
それにしても――。
真希のテーブルに視線を送る、一体いつの間にあの姉妹と仲良くなったのだろうか、もちろん毎日シフトに入っている訳じゃないから自分がいない日に彼女達が意気投合した可能性が高いが、一体何を話しているのか気になった、真希が有る事無い事を麗菜に吹き込んでいるんじゃないか、そんな不安が頭をよぎる。
――家行っていい?
仕方がない、真希には少し話を聞く必要がありそうだ、そして出来れば二度とこの店には来ないように説得しなければならない、勘の鋭い女だ、万が一にも麗菜への思いが露見したなら大学にもここにも自分の居場所はなくなるだろう。
この日何度目か分からないため息をつくと、暇な店内で時間までひたすら立ち尽くした。
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