賞金王と呼ばれた男 〜童貞の果てしなき挑戦〜

桐谷 碧

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第二十八話 強姦

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 『なぜ薬物を使用した?』

 電話越しに詰められた、口調は穏やかだがかなり怒っていそうだ、白石の高圧的な態度には以前から憤慨していたが、今回に限っては非を認めざるを得ない。

 対象者の脅迫――。

 今回、渡辺正義わたなべまさよしに課せられた任務はあくまでも組織に協力しなければ周りの人間に被害が及ぶかも知れない。そう対象者に認識させる事だった。

 つまり実際に危害を加えるわけではなく、仄めかす事だった、実際に当初の予定では車で拉致、数十分の監禁で解放の手はずだったが、しかし。

 渡辺は失態をおかした当日の記憶を呼び覚ますと、下半身が熱くなるのを感じた。四月某日、ターゲットの女は予定通り駅から自宅への道程を鼻歌まじりで歩いていた、時刻は夜の十一時、商店街を抜けて住宅街に差し掛かる、最後のコンビニに立ち寄ると砂場に鉄棒、滑り台があるだけの薄暗い公園を横断する。この公園を通らないで道なりに帰路するならば三分はロスになる、何もかも調査済みだ。

 薄いピンクのフレアスカートに白のトップス、まるで女子アナなような服装の女は軽やかな足取りで公園を抜けていく、あと三メートル、二メートル、一。
 
 出口付近の茂みに隠れていた、目出し帽を被った男が音もなく女を後ろから羽交締めにする、薬品を染み込ませたタオルを口に当てるとすぐに意識を失った。男が軽そうな女を担ぐとタイミングよく黒のワンボックスが滑り込んでくる、スライドドアはすでに開いていて素早く乗り込むと、あっという間に車は発進した。

 渡辺は時計に目を落とす、覆面男が茂みから飛び出してから車を出すまで三十秒、上出来だ。辺りを見渡すが目撃者もいないようだった。
 スムーズな仕事ぶりに満足すると、待ち合わせている小学校の裏門に向かった、薄暗い電灯に、この先は行き止まりのため人の気配はない。

 真っ黒なワンボックスが気配を殺すように佇んでいた、助手席のドアを開くと体を滑り込ませた。

「どうでしたか?」

 運転席の男が話しかけてくる、痩せぎすでゴボウの様な体型をしているノッポの男が、自分でも手応えがあったのだろう、自信に満ち溢れた表情をしている。

「ああ、完璧だ」
 運転席の男は満足そうに頷いた。後部座席に目をやる、と言っても三列シートの二列目と三列目は取り外されて、大人二人は悠々寝れるくらいのスペースが確保してあった。

「渡辺さん、すげー良い女ですよ」
 覆面を脱いだ男の顔はニキビだらけで脂が浮いていた、神経質な渡辺は嫌悪感を抱いたが態度には出さない。

「名前を呼ぶな」
 どうせ偽名なので構わないが、嫌悪感を露出する代わりに苦言を呈した。

「すみません」

 男の傍らに女は寝かされていた、短いスカートからは細い脚が伸びている。調査の段階で分かっていたが、改めて近くで見ると考えられない程の美少女だった、いや、確か年齢は二十二だったから美少女と言う表現は些か語弊があるか。

 こんなに美しい女を生で見るのは初めてだった、テレビでだって中々お目にかかれない。今日の依頼は拉致して監禁、すぐに解放する手筈だ、ここで三十分程、時間を潰したら小学校の校門前に放置する。どんなに遅くても二時間もあれば目を覚ますはずだ。

「やっちゃいましょうよ」

 ニキビの男が口の端を上げた、たしかにこの面では綺麗な女と付き合うのは困難だろう。

「まずいんですか、白石さんの案件ですよね」

 末端の二人は姿も見せずに指示を送る白石を心よく思っていない、もっとも使い捨ての人間に姿を見せるほど組織の人間も暇じゃないが。

「まずいだろう、指示された以外の事をしたら」
 嗜める気は無い、むしろ煽るような口調で言葉を返すと二人からは不満が漏れた。

 もちろんコイツらは闇競艇の事は何も知らない、暗にヤクザな組織だと仄めかしているだけだ、しかしこういった木端こっぱをしっかりと使えるかどうか、上の人間が観察しているのはそこだ、将来の幹部候補、組織の若返り、結局悪党だって普通の企業となんら変わらない。

「秘密を守れるか?」
 二人に念を押す、鞭だけ与えていても反発するだけだ、たまには良い思いもさせてやるのが上に立つ人間の使命だろう。

「さすが兄貴」
 なんて自分に言い訳してみたが、結局この美しい女を犯したいだけだ、後付けも甚だしい。

「出せ、埼玉のラブホテルにしよう」

 二十分ほど車を走らせると目当てのホテルに到着した、通常のラブホテルであれば男三人に、気を失った女一人でチェックインする事は不可能だろう。
 しかし、こういった郊外の国道沿いにあるホテルの中には駐車場から部屋が直結していて、受付を通さないで入室できるホテルが乱立していた、現金かカードで自動精算なので誰にも会うこと無く逢瀬を重ねることが出来る、不倫や訳ありのカップルにもってこいだ。 

 部屋に入ると女の口に猿ぐつわを噛ませて、通販で購入した二つの手錠で両腕をベッドに固定するとバンザイの体勢になる、そろそろ目が覚めてしまう頃合いだ。

「じゃじゃーん! いほーやくぶつー」

 子供たちのアイドル、青い猫型ロボットがポケットからMDMAを出す姿を想像して不覚にも笑ってしまう。このニキビ、中々笑いのセンスがあるかも知れない。

 数年前に芸能人が使用して話題になったこの薬は、依存性こそあまりないが粗悪品が多く、服用したままぽっくり死に至る輩が跡をたたなかった。

「おい、分かってると思うが女には使用するなよ」

 流石にそこまで馬鹿では無いと思うが、念を押しておいた、服用してぽっくり死んでしまったら後処理が大変だ。

「ん、んーーーーー」 

 どうやら姫がお目覚めのようだ、出来れば大人しくしていて欲しい、折角の美人なので猿ぐつわを外してあげたい。ガチャガチャと両腕を引っ張りながら暴れているが、女の力で引き千切れるような代物ではなかった。

「落ち着いてください、悪いようにはしませんから」

 目出し帽を被った渡辺は何の説得力も無いことを言い放った、女は尚も抵抗を続けているので、仕方なく大人しくなるまで待つことにした、二人の部下は車で待つように指示をしたのでこの部屋には二人きりだ。

 抵抗すること三十分、力尽きたのか、ようやく大人しくなってくれた、静かにすれば猿ぐつわを外しますと約束すると、静かに頷いた。渡辺は満足して女の口からそれを外してやると、女はベッドのヘッドボードに背中を付けて座った。

「何なんですか、あなたは」
 当然の疑問だろう、しかし答えることは出来ない。

「申し訳ないが、それは言えない」
「どうするつもりなんですか」 

 ごもっとも、それが一番気になる所だろう。

「勘違いしないで欲しい、暴力を振るったり、まして殺してしまおうなんて考えは一切ないんだ」  

 これは本当の話だ。

「じゃあ、はやく、これ外して家に帰らせてください」
 そうしてあげたいのは山々なんだが、説明するのが面倒になってきたので、とにかくセックスしようと提案してみた、出来ることなら無理やりではなく合意の元するのが渡辺の流儀だ。

「あなた、何を言っているんですか、頭おかしいの?」

 女は畜生を見るような蔑んだ目で渡辺を見下した、小学校の時の若い女教師が同じ目で渡辺を見ていたのを思い出した、その女は渡辺が十六歳の時にレイプしてやったが、目の前の女はそいつの数倍いい女だった。

「じゃあ、残念ですが」

 やれやれ、仕方ない、どうせ犯されるのだから、お互いに気持ちよくなったほうが数倍有意義な時間を過ごせるのに、調査によると東大生のようだが、あまり賢く無いのだろうか。

 今度は布製のガムテープで女の口を覆った、猿ぐつわは痕が残らない代わりに声が多少漏れる。シャツとズボンを脱ぐとソファの上に綺麗に畳んだ、トランクスと靴下をその上に乗せると渡辺の鍛え上げられた肉体が顕になる、学生時代から勉強の代わりに体ばかり鍛えてきた、今でも暇さえあれば筋トレをしている。

 女は後ずさりしようとするが、当然ヘッドボード以上に後ろに下がる事は出来ない、目線が渡辺の黒光りした陰部を捉えた、畏怖の眼差しで見つめられると些かショックを受ける、確かに他人と比べたら若干巨大かも知れないが、女性ウケはそんなに悪くなかった。

「んーーーーーーーーー!」 

 足をバタつかせて渡辺の侵入を阻止しようとするが、構わずにスカートに手を入れるとパンツを脱がせた、こんな時はスカートを履いている女は楽ちんでいい、意外にズボンを脱がすのは重労働なのだ。

「失礼しまーす」
 あらかじめホテルの自動販売機で購入しておいたローションをたっぷりと塗り込んだ陰部を挿入していく、入口こそ狭かったが一度入ってしまうとスルリと中に収まった。 

「んーー、んーーーーーーー!」 

 女は、この期に及んで尚も激しく抵抗をしているが、両足をしっかりと掴んでいるので蹴られる心配もない、構わずに腰を振り続けた。

「うーん、やっぱり無理やりってのは良くないなあ」

 備え付けのティッシュでヌラヌラにテカった陰部を拭きながら呟いた、女も流石にぐったりとしている。丁寧に畳んでおいた服に着替えると、スマートフォンで二人を呼び出した、待ってましたとばかりに入室してくる。

「どうっすか、やばいっすか」

 ニキビがハイテンションで訪ねてくるが、特に他の女との違いは無かった、考えてみれば当然か、顔面でセックスする訳じゃない。

「じゃあ、俺は先に帰るから、ちゃんと後始末しておけよ」

 女を運ぶ為に車は置いて行かなければならないから帰りはタクシーを捕まえるしかない、しかし、コイツらのプレイを鑑賞するよりはマシだろう。
 扉を空けて辞去する直前に鏡越しに女と目があった、つい三十分程前の女とは別人のように、死んだ魚のような、光が失われた目をしていた。 
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