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第2話 初めまして先生
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入学式を終えたボクは、教室へ行かなくてはいけない。
ボクは名残惜しくて叫ぶ。
「オズワルドォォォ、別れたくないよぉぉぉぉ」
むろん涙目である。
「大げさだね、アイリスは」
オズワルド呆れたように、でもちょっと嬉しそうに笑うと少しかがみ、大きな手でボクの頭を撫でてくれた。
へへへっ。うれしい。
「週末の入学祝いのお茶会へは行けるから、クラスメイトたちと楽しんでおいで」
「うんっ」
ボクはオズワルドに大きくうなずいてみせると、クルリと踵を返して教室へと向かった。
いけない、いけない。
お父さまとお兄さまの存在を、さりげなく無視しちゃったぁ~。
へへへ~。
オズワルドと別れて辿り着いたのは、校舎の1階にある2年生の教室だ。
貴族は自宅に教師を招いて学ぶため、クラスは年齢で分けられる。
学力が高くてもスキップして上の学年のクラスへ行ったりしない。
なぜなら貴族として繋がりを作るための学校生活でもあるからだ。
同年代と繋がっておいて損はない。
「今日からココで学ぶのかぁ~」
ボクはしみじみとつぶやくと、教室のなかへと入った。
昨日までは屋敷で家庭教師に教えてもらっていたが、今日からはここで勉強するのだ。
もちろん屋敷にいるときには、家庭教師からも教えてもらうけどね~。
貴族は学ぶことがたくさんあるのだ。
学校で勉強するだけじゃ足りない。
しかもボクは未来の宰相さま、オズワルドの奥さまになる予定なのだ。
覚えなきゃいけないことはたくさんある。
ボクは頑張っているんだよ、へっえん。
教室に入ったボクは自分の名前が書かれた机を見つけて、その前に置かれた椅子に腰かけた。
でも今日は勉強するわけでしゃないよ。
学校に関する説明があるのだ。
ポンッと軽やかな音と白い煙が立って、気付いたら教壇の前に、フード付きの紫色のローブを羽織っている人が立っていた。
フードを後ろにペッと軽くはたき落とすと、モコモコした紫色の長いくせ毛が現れた。
「はーい、皆さん。席についてー」
かわいらしい顔立ちの、背が低くて細身の少年のような容姿の男性だ。
「僕は、このクラスの担任のオーレリアだよ。オーレリア先生って呼んでねー」
オーレリア先生は、学校についての説明を始めた。
「まずは入学おめでとう。今日ここに来た皆は、2年生ってことで。1年生から入学したクラスメイトには明日会えるからね。楽しみにしてて」
おおー。
まだ他にもクラスメイトがいるんだ。
ボクは教室のなかをキョロキョロと見まわした。
教室にある机は、半分くらい生徒が座っている。
家庭で教育を受ける貴族は、2年生から入る生徒も多いと聞いていたけれど、本当だったみたいだ。
「えーと、ここで学校の説明を軽くしておくね。親御さんや家庭教師から聞いているとおもうけれど、王立学園は12歳までは初等科、13歳から15歳までは中等科、16歳から18歳までは高等科で学びます。学年が上がるごとに専門分野に分かれて学ぶことになるけど、高等科に進むまではお試しで色々な体験ができるよ」
オーレリア先生は右手に持った木の杖を天井に向けて掲げた。
「僕の専門は魔法だよ。魔法を専門に学んだ者には、王国魔法師になる道もあるし、研究職に就くことも可能です。最近は魔法と武術を合わせて戦う魔法騎士なんかもいるよ。進路は色々と選べるから、悩んじゃったら先生に相談してね」
そう言いながらオーレリア先生は、天井に向けた木の杖を大きく振った。
すると木の杖の先から青い光を放つ球がババッと複数飛び出した。
おおー! と生徒たちから声が上がる。
教室の天井は高い。
青い光の玉は天井までふわふわと昇って行くとパンと大きく膨らんだ。
そして大きく広がった青い光のなかに、映像が浮かび上がる。
「これは授業風景を映し出したものだよ。専門は魔法のほかに、武官と文官のコースがあるよ。武官は国防や護衛になりたい人たちが行くコースだ。文官のコースは事務方に行くのが一般的だ。だけど、文官といっても財政に携わる者もいれば、政治にかかわる者もいる。商人を目指すなら文官のコースがいいし、冒険者なら武官のコースが一般的だね」
青い球のなかでは、武官や文官のコースで学ぶ生徒たちの姿が映っている。
もちろん魔法コースの生徒たちの姿もあった。
「どのコースを選んでも、将来が決まってしまうわけじゃない。君たちくらいの年だと『なりたいもの』はコロコロかわるだろう」
青い球のなかへ様々な職業に携わる卒業生の姿が映った。
ボクはオズワルドの姿を探すも見つけられなかった。
オズワルドは未来の宰相さまだけど、いまは文官の一人にすぎないからかな?
でも将来は、この青い球のなかに宰相さまとして映るんだろうなぁ。
「初等科のうちは色々な授業を体験できるから、もしも進路に悩んだら先生へ相談してね」
ボクは全く迷わない。
将来はオズワルドの夫になるんだ。
ボクの頬は自然と緩んでしまう。
オメガとアルファなら男同士の結婚も簡単だ。
夫夫になって、ボクはオズワルドの子どもを産んで【お母さま】になるんだよ。
それ以外の未来はボク、認めないからね!
ボクは名残惜しくて叫ぶ。
「オズワルドォォォ、別れたくないよぉぉぉぉ」
むろん涙目である。
「大げさだね、アイリスは」
オズワルド呆れたように、でもちょっと嬉しそうに笑うと少しかがみ、大きな手でボクの頭を撫でてくれた。
へへへっ。うれしい。
「週末の入学祝いのお茶会へは行けるから、クラスメイトたちと楽しんでおいで」
「うんっ」
ボクはオズワルドに大きくうなずいてみせると、クルリと踵を返して教室へと向かった。
いけない、いけない。
お父さまとお兄さまの存在を、さりげなく無視しちゃったぁ~。
へへへ~。
オズワルドと別れて辿り着いたのは、校舎の1階にある2年生の教室だ。
貴族は自宅に教師を招いて学ぶため、クラスは年齢で分けられる。
学力が高くてもスキップして上の学年のクラスへ行ったりしない。
なぜなら貴族として繋がりを作るための学校生活でもあるからだ。
同年代と繋がっておいて損はない。
「今日からココで学ぶのかぁ~」
ボクはしみじみとつぶやくと、教室のなかへと入った。
昨日までは屋敷で家庭教師に教えてもらっていたが、今日からはここで勉強するのだ。
もちろん屋敷にいるときには、家庭教師からも教えてもらうけどね~。
貴族は学ぶことがたくさんあるのだ。
学校で勉強するだけじゃ足りない。
しかもボクは未来の宰相さま、オズワルドの奥さまになる予定なのだ。
覚えなきゃいけないことはたくさんある。
ボクは頑張っているんだよ、へっえん。
教室に入ったボクは自分の名前が書かれた机を見つけて、その前に置かれた椅子に腰かけた。
でも今日は勉強するわけでしゃないよ。
学校に関する説明があるのだ。
ポンッと軽やかな音と白い煙が立って、気付いたら教壇の前に、フード付きの紫色のローブを羽織っている人が立っていた。
フードを後ろにペッと軽くはたき落とすと、モコモコした紫色の長いくせ毛が現れた。
「はーい、皆さん。席についてー」
かわいらしい顔立ちの、背が低くて細身の少年のような容姿の男性だ。
「僕は、このクラスの担任のオーレリアだよ。オーレリア先生って呼んでねー」
オーレリア先生は、学校についての説明を始めた。
「まずは入学おめでとう。今日ここに来た皆は、2年生ってことで。1年生から入学したクラスメイトには明日会えるからね。楽しみにしてて」
おおー。
まだ他にもクラスメイトがいるんだ。
ボクは教室のなかをキョロキョロと見まわした。
教室にある机は、半分くらい生徒が座っている。
家庭で教育を受ける貴族は、2年生から入る生徒も多いと聞いていたけれど、本当だったみたいだ。
「えーと、ここで学校の説明を軽くしておくね。親御さんや家庭教師から聞いているとおもうけれど、王立学園は12歳までは初等科、13歳から15歳までは中等科、16歳から18歳までは高等科で学びます。学年が上がるごとに専門分野に分かれて学ぶことになるけど、高等科に進むまではお試しで色々な体験ができるよ」
オーレリア先生は右手に持った木の杖を天井に向けて掲げた。
「僕の専門は魔法だよ。魔法を専門に学んだ者には、王国魔法師になる道もあるし、研究職に就くことも可能です。最近は魔法と武術を合わせて戦う魔法騎士なんかもいるよ。進路は色々と選べるから、悩んじゃったら先生に相談してね」
そう言いながらオーレリア先生は、天井に向けた木の杖を大きく振った。
すると木の杖の先から青い光を放つ球がババッと複数飛び出した。
おおー! と生徒たちから声が上がる。
教室の天井は高い。
青い光の玉は天井までふわふわと昇って行くとパンと大きく膨らんだ。
そして大きく広がった青い光のなかに、映像が浮かび上がる。
「これは授業風景を映し出したものだよ。専門は魔法のほかに、武官と文官のコースがあるよ。武官は国防や護衛になりたい人たちが行くコースだ。文官のコースは事務方に行くのが一般的だ。だけど、文官といっても財政に携わる者もいれば、政治にかかわる者もいる。商人を目指すなら文官のコースがいいし、冒険者なら武官のコースが一般的だね」
青い球のなかでは、武官や文官のコースで学ぶ生徒たちの姿が映っている。
もちろん魔法コースの生徒たちの姿もあった。
「どのコースを選んでも、将来が決まってしまうわけじゃない。君たちくらいの年だと『なりたいもの』はコロコロかわるだろう」
青い球のなかへ様々な職業に携わる卒業生の姿が映った。
ボクはオズワルドの姿を探すも見つけられなかった。
オズワルドは未来の宰相さまだけど、いまは文官の一人にすぎないからかな?
でも将来は、この青い球のなかに宰相さまとして映るんだろうなぁ。
「初等科のうちは色々な授業を体験できるから、もしも進路に悩んだら先生へ相談してね」
ボクは全く迷わない。
将来はオズワルドの夫になるんだ。
ボクの頬は自然と緩んでしまう。
オメガとアルファなら男同士の結婚も簡単だ。
夫夫になって、ボクはオズワルドの子どもを産んで【お母さま】になるんだよ。
それ以外の未来はボク、認めないからね!
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